イタリア発のスポーツ ホイールのトップブランド「OZ Racing」。F1やWRCといった世界最高峰の舞台で鍛えられながら、ストリートでも高い支持を集め続けてきたその理由とは?
今回、4月中旬に来日していたイタリア本社(OZ S.p.A.)クラウディオ・ベルノーニ会長にインタビューが実現。ベルノーニのキャリアやOZブランドへの想い、日本のファンに向けたメッセージなどを伺いました。
「OZ Racing」を設立したベルノーニ氏

OZ S.p.A. クラウディオ・ベルノーニ会長
1971年に創業したOZ。ベルノーニ氏が入社したのは1984年とのことです。少年の頃から、将来はエンジニアになってフェラーリに入りたいという想いを抱いていた語るベルノーニ氏。実際に入社したのは、Ferrari F40の純正ホイールにも採用された「SPEEDLINE」社だったそうです。当時、7割近いF1マシンに装着されていたほか、WRCにおける装着率も100%のシェアを誇っていたといいます。
こうして、同社に入社したベルノーニ氏は、F1やWRCをはじめとするさまざまなレースカテゴリーにおいてキャリアを重ねていくこととなるのです。

OZホイールは、Audi V8 quattro DTMカーにも装置されていた。
そして1984年、それまでのキャリアを買われたベルノーニ氏は、OZからの誘いを受けてキャリアチェンジ。OZのモータースポーツ用ホイールのみを製造する企業「OZ Racing」の設立に携わります。
驚くべきことに、当時「OZ Racing」のメンバーは、ベルノーニ氏を含めてわずか3人だったそうです。しかし、ベルノーニ氏が代表として同社を任されたのち、F1向けのホイールの製造を開始。翌85年には早くもF1のカテゴリーに参入することとなります。ホイールの供給先はF1 Alfa Romeo EURO RACING。最初に使用したドライバーは、リカルド・パトレーゼとエディ・チーバーの2名でした。
その後、新型コロナウイルスが猛威を振るうことになる2020年頃までの35年間のあいだに10チーム中7チームのF1チームにOZホイールを供給するまでに大躍進を遂げたのです。また、F1以外のカテゴリーにおいても、F2やF3はほぼOZホイールのワンメイク状態。また、1986年から現在にいたるまでWRC参戦するマシンにもOZホイールを供給しています。さらに、WECに参戦するマシンにもOZホイールを供給しつづけており、あらゆるレースカテゴリーにおいて支持されていることが分かります。
各カテゴリー別では、WEC Hyper Carクラスは90%、Formula EおよびINDYは100%という圧倒的なシェアを誇ります。このほか、数多くのGR3、4車両へのOE供給を行っているのです。
OZ「Rally Racing」の生みの親でもあるベルノーニ氏

エロス・サレッタ社長(左)とクラウディオ・ベルノーニ会長(右)
トヨタ セリカのラリーカーに装着されているOZホイールといえば「Rally Racing」を思い浮かべる人も多いでしょう。「Rally Racing」を装置したトヨタ セリカ(ST165)は、WRC1990年シーズンにおいて、カルロス・サインツがWRCドライバーズチャンピオンを獲得し、このホイールも一躍有名なモデルとなります。その結果、トヨタのライバルメーカーであるPeugeotやCitroenをはじめとする、WRCにおけるトップチームからオファーが舞い込みます。また、この「Rally Racing」ホイールは市販され、ユーザーの愛車の足元を彩るモデルとして人気を博すこととなるのです。

「Rally Racing」ホイールを一躍有名にした、トヨタ セリカ(ST165)WRC
この、OZホイールを代表するモデルのひとつである「Rally Racing」の生みの親がベルノーニ氏なのです。ベルノーニ氏は、Audi Sports Quattroに装着されていた5本スポークのホイールが、レース中に石を噛み込んでしまい、マシントラブルの原因となっていることに着目。「Rally Racing」は、レース中に跳ね石や土埃から足まわりを守るために設計されているのです。さらに「OZ Racing」のロゴを配し、ディッシュ形状と大きなロゴを特徴とするこのホイールは機能美とデザインを見事に両立しています。「Rally Racing」が採用した「ラリーグラベルデザイン」は、長年にわたりグラベル用ホイールの象徴として存在感を放つこととなります。

2026年は「Rally Racing」の誕生40周年にあたる。これを記念した新作ホイール「RR40」。
奇しくも、2026年は「Rally Racing」の誕生40周年にあたります。これを記念した新作ホイール「RR40」を発表したばかり。モデル名の「RR」は、「Rally Racing」の略であることはいうまでもありません。この「RR40」は、象徴的なディッシュデザインとレーシングスピリットを継承しながら、現代の車両に求められる強度、剛性、フィットメント性能を向上させています。

ベルノーニ氏にとって、それぞれのホイールは子どものような存在だと語るあたり、製品への深い愛情が伝わってくる。
ベルノーニ氏にとって、手塩にかけて生み出したすべてのOZホイールは「いずれも我が子のような存在」であるといいます。そのなかでも「Rally Racing」は特別な想い入れがあるホイールとのことです。
複数のF1チームにOZホイールを供給

OZ S.p.A.には200名の従業員が在籍しているという。
今回の取材にあたり8speed.net編集部で調べたところ、2026年現在、「OZ Racing」は、Mercrdes AMG F1、Red Bull Racing、ALPINE F1 TEAMをはじめとする、全5チームにOZホイールを供給しています。
「OZ Racing」にとってF1は常に最高峰の舞台であり、言うまでもく各チームから求められる要件はそれぞれ異なるとベルノーニ氏はいいます。さらに、極めてハイレベルな要求に応え、完全にカスタマイズされた専用設計のホイールを開発しているそうです。ちなみに、F1用のホイールの素材にはマグネシウムが用いられ、1本あたりの重量はわずか5kgとのことです。

F1用のホイール。左の赤いホイールが初代モデルにあたる。
OZブランドはすべてイタリアで製造されており、それはF1用のホイールにおいても同様です。イタリアのファクトリーの従業員は200名。レース部門専属、アフターマーケット部門専属、そして両部門を兼任するスタッフに分けられています。レースの世界で得たノウハウが、アフターマーケット用のホイールに反映されていることはいうまでもありません。また、イタリア本社から世界70か国以上の国に向けて一般車両向けのホイールを販売しています。
実は日本車が大好きなベルノーニ氏

ブルーのインプレッサWRX、ブラックのランサーエボリューション9は、いずれもベルノーニ氏の愛車だ。
プライベートでもクルマが好きだというベルノーニ氏。なかでも日本車、WRCに参戦したモデルが好みで、50歳のときに手に入れた三菱ランサーエボリューション9や、52歳のときに手に入れたスバル インプレッサWRXを所有し「結構いいペースで」出勤しているのだとか。
しかも、インプレッサにいたっては、イギリスのレーシングカーコンストラクターおよびレーシングチームである「Prodrive」社でチューニングを行い、最高出力は380psにまで引き上げられているとのことです。
日本のファンに向けて「ありがとう」

オーゼットジャパンの代表を務める内山晶弘氏(左)と談笑するエロス・サレッタ社長(中)とクラウディオ・ベルノーニ会長(右)。
現在76歳とは思えないほど若々しいベルノーニ氏は、日本という国に対して「清潔で正確、そして洗練」というイメージを抱いているといいます。また、細部にいたるまでこだわりを持ったユーザーが多いことも熟知しています。OZホイールを愛用しているユーザーに対して「ありがとう」というメッセージを伝えて欲しい。そして、まだOZホイールを手に入れたことのない未来のユーザーに対しては「レースの世界で支持されてきた機能美とクオリティを確かめてみて欲しい」と語ってくれました。
自身のスマートフォンで撮影した愛車の画像を自慢げに取材チームに見せてくれた光景は、まさにクルマ好きの行為そのもの(笑)。この熱量がOZホイールに込められていることは間違いなさそうです。情熱がほとばしるOZホイールを自慢の愛車に装置することで、新たな一面を知ることになるはずです。
OZ Racingについて
F1をはじめ、WRC、WECなど、モータースポーツのさまざまなカテゴリーに ホイールを提供し、数々の勝利を支えてきたOZ。そこで培ってきたテクノロジーとイタリアの芸術的なデザインが融合するOZのホイールは、ヨーロッパはもちろんのこと、世界で、そして日本でも数多くのファンから支持されている。
OZ公式サイト:https://www.ozracing.com/jp/
(Text & Photos by 8speed.net Editorial Team)


