最近少しブームのようになっていますが、中国地方には自販機そばが多いように感じます。高速道路が整備される前は関西と中国、九州方面を結ぶ道路として、かなり重用されていたのでしょう。

画像1: 【満腹ドライブ】国道9号線の楽しみ 〜「後藤商店」の(自販機)スタミナうどん!〜

国道9号線は今でも信号が比較的少なく、日没まで午後はまるまるサンセットを楽しめる日本海沿いを走るルートもあって、筆者も好きな道のひとつです。

そして国道9号線の楽しみの一つが麺類の自動販売機に寄ることなのです。

今は高速道路にはアミューズメント施設のような楽しいサービスエリアも多く、一般道沿いにはコンビニもファミリーレストランも多数ありますから、長距離ドライブでの食事に困ることはありません。

もしかすると、昔はこういうものがものすごくありがたい存在だったんではなかろうか。そんな昭和の元気でやや乱暴ながら、それをモノともせずに生きて走り回っていた頃の日本に想いを馳せるアイテム。やはりちょっと感傷的になってしまうものです。

画像2: 【満腹ドライブ】国道9号線の楽しみ 〜「後藤商店」の(自販機)スタミナうどん!〜

実は今でも割と全国にあるこの販売機。しかし見た目はこれ同じ販売機で、確かに機械自体は基本的に同じなのでしょうが、中に入っている、お金を払って我々が買う麺類は、管理されているお店の「仕込」によるため、けっこう個性があるのです。そんなのも、最近にわかにブームのようになっている一因かもしれません。

そんな数ある販売機の中でも、個人的にこの後藤商店さんのは屈指の「推し麺」なのであります。

島根県益田市。京都から出発して丹波を抜けて鳥取からずっと海に沿って走る国道9号線。益田からはいよいよ山の中に進路を進めます。この先は津和野、山口市、そして2号線とぶつかり下関に至ります。そんなこれから山に入るというエリアの道端に、自動販売機をたくさん並べている商店がポツンとあるのです。

小さなお店ですが、仕事の途中で、家族連れで、友達としめし合わせて訪れる学生。最近では気ままに旅するキャンピングカーの人など、お店の前はけっこういつも人が途切れません。

画像3: 【満腹ドライブ】国道9号線の楽しみ 〜「後藤商店」の(自販機)スタミナうどん!〜

ここには麺の販売機が3台。これは一箇所とすると多い方かも。私の好きな麺は「スタミナうどん」400円です。コインを入れてボタンを押すと残り時間のカウントダウン。完成すると下の取り出し口から飛び出すように出てくるのですが、ここの「マナー」が後藤商店さんのマシンはどれも良いのが印象的です。

けっこう勢い良すぎて、湯が飛び散ったり、うまく出てこなかったりするマシンも。こちらのはそんなことはありませんから。メンテナンスも大変だろうと思います。

このスタミナうどん、具は肉、海老天、ゆで卵、きつね(おあげ)、かまぼこ、とろろ昆布、ネギ、そして柚子の皮。

これらの具が別々に調理されていて、しっかり味がついています。関西風の透き通った出汁のおつゆと相性も抜群。小ぶりなので二杯以上食べる人も少なくないようです。

中でも柚子の皮が入っているのがここの特徴かも。特に、以前お邪魔したときは、まだまだ春ももう少し先かもという肌寒い時期。そんな季節に柚子はなんだか爽やかながら温まりますよね。そして口に含むと柔らかい柚子の皮からいい香りが口の中いっぱいに広がるのです。

長いドライブのときに小腹がすいて、400円くらいで食べられる麺の満足度ではありませんね。まだ寒いですが、まだまだ細い陽射しに、春はもうすぐかな、などとひとりぶつぶつと言ってみたり。

自販機そば、私の場合はうどんが多いですが、国道9号、走るとつい寄ってしまう島根県益田市の後藤商店さん。

画像4: 【満腹ドライブ】国道9号線の楽しみ 〜「後藤商店」の(自販機)スタミナうどん!〜

そうそう、この手の自販機で麺を買ったら、取り出して色が薄いなあとか、そのまま食べてはいけません。お椀を底の方から混ぜてから食べるべし!具やおつゆが混ざりきらずに残っていることもありますから!

(Text & photos by Kentaro Nakagomi)

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