お初にお目にかかります。私、フェルディナント・ヤマグチと申す若輩者です。この度、当8speed.netで連載を開始することとなりました。
何卒よろしくお願い申し上げます。
「この度」と申し上げましたが、実は連載開始は昨年から決まっておりまして、編集部側は準備万端整っていたのですが、米中の対立やら香港のデモやら対韓輸出規制問題やら、執筆の妨げになる政治問題が次々に持ち上がりまして、思うように出稿できなかったというのが実情です。
これらの問題は混迷を深めるばかりで一向に解決を見ませんが、よくよく考えてみれば私の原稿には何の関係もございませんで、しかも気がつけば7月も終わろうとしておりまして、編集部からは見苦しい言い訳は大概にせいと叱責もされてしまいまして、ついに観念して、こうして原稿を書いている次第でございます。
8speed.netはフォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの専門媒体として業界に広く知られる存在ですが、ここではそうした枠にとらわれることなく、クルマ業界全般を網羅できればと考えております。
要するに節操なく何でもダボハゼのように食いついて書いていく方針です。
とはいえめでたい連載第一号。せっかくですからポルシェのネタから参りましょう。
海外で販売し、日本では売られないクルマが有るのはご存知のとおり。トヨタが北米を中心に販売している「タンドラ」とか、マツダが中国で“のみ”売っている「CX-4」とか、日本で売ればそれなにり売れるのに……と思われる隠れた名車は数多く存在します。
そしてそんなクルマがポルシェにもあるのです。
ポルシェ911カーゴ。
992型911がデビューし、いまや2世代前のモデルとなってしまった997型911をベースにし、大きなカーゴを設けた超レアなモデルです。
日本はもちろんのこと、ポルシェ最大のマーケットであるアメリカでも販売されず、欧州の一部コレクターを対象に販売された特殊車両。販売台数は正式に発表されていませんが、ドイツの大手ディーラーから流れてきた話だと200台限定と噂されているそうです。当然プライスは“鰻のぼり”でありまして、走行距離の少ない個体であれば、4000万とも5000万ともいわれています。
ただ、売りに出ているクルマはいまのところ一台も存在しないので、囁かれる価格は「希望買取価格」というところなのでしょう。日本におけるGT3のように、中古価格がイッキに値崩れしてしまうこともありますからね。自動車バブルには安易に乗っからないほうが賢明です。
というのは真っ赤なウソでございまして、このクルマはF1の前座で行われている、「ポルシェ
スーパーカップ」に出場するチームが冗談で作ったワンオフのカートです。
あまりに良く出来ているので、思わずパチリと撮ってきてしまいました。
初号からバカなことを書いて申し訳ございません。次号からは真面目な記事を書こうと思います。
(Text by Ferdinand Yamaguchi)