姫路より西、岡山よりは東。このあたりを通ると関西か中国・瀬戸内かというより「播州」に浸りたくなる衝動にかられます。瀬戸内海の幸、加えて、だしや醤油の塩梅が上品で、山の幸も豊か。このあたりも食べ物が美味しいなあと感じることが多い地域。通るだけでも心踊る、そんなエリアのように感じます。
すでに暗くなってから通ることが多いこのあたりを、まだ日のあるうちに通ったときに、そんな気持ちを旨に、つい何か食べたいなと立ち寄るのが龍野西サービスエリアです。西の方から走ってくると兵庫県に入って最初の大きなサービスエリアでもある龍野西サービスエリア。早い時間はフードコートではなく、少しゆっくり、座って腹ごしらえと行きましょう！
最近ではレストランのないサービスエリアも増えてきましたが、やはり緩やかな山々と瀬戸内海に囲まれた播州の広い空のもとの自然豊かな雰囲気もあって、なんだかとても「ゆったりとひと休み」したくなるのです。
まだ早い時間で営業時間内でしたので、かごの屋さんでゆっくりと食事を摂ることにしました。龍野といえば素麺「揖保乃糸」の産地。ここは選べる麺セットが充実で、よくある蕎麦うどんの他、そうめん、にゅうめんも組み合わせられるメニューが充実しています。
この日頼んだのは、鯛釜飯と素麺のセット。さっぱりといい香りの鯛釜飯。身をほぐしながら茶碗によそっていただきます。ひとくち運ぶと、いい香りが口の中に広がります。どうしても、焼き魚にしても煮魚にしても、脂ののりに気がとられ、甘辛い味付けだったり、さっぱりとしつつも口に広がる香り、のような楽しみを瀬戸内の海の幸には求めてしまいますし、播磨のあたりではその魚の味を楽しめるような食べ方が多い印象がありました。また氷でしめられた素麺も喉越しがよく、少し早いですが夏先取り、そんな感じがいたします……素麺はどうしても普通は夏に食べることが多いですからね。
ちょっと席でやすみがてら摂る「播磨メシ」探せば名店もあるでしょうし、地元の人一押しのメニューなんかもあるかもしれませんが、通りがかりでもこんなふうに楽しめるというのはちょっとうれしいですね。
だいぶ日も落ちてきました。もう少し走りますか。ほんとはもっとゆっくりしたい、そんな播磨、ちょっと寄って気軽に楽しめるので、素麺も選べるセット、ちょっと好きなメニューです。
(Text & photos by Kentaro Nakagomi)
