地方をドライブすると折々の旬の味覚に触れることがありますね。とくに果物は喉を潤し、ビタミンで体内を浄化、食べるだけで何かリフレッシュできるようで、とても好きです。
しかしながら、保存が難しいとか、生の果実は結構原価が、とかでご商売が難しいということもあるかもしれませんが、なかなかカットフルーツで食べられる機会、果物の産地などに出向いてもなかなかありつけないとは思いませんか? それでつい、皮を剥いたりしないでも食べられるもの。手で皮の剥けるものに終始してしまう傾向があるのです。
これは秋深まり、温暖な遠州灘から岡崎平野もいよいよ秋深まるという季節に、関西方面に向かっていたときのこと。
国道23号線のバイパスを、蒲郡から上がってほどないところにある「道の駅 筆柿の里 幸田」に立ち寄ることがありました。
海からも近いものの、少し山林に向かったあたり、休憩に車外へ出ると紅葉のいい香り。肥沃さを感じさせる、豊穣のとき! 伸びをするだけでいいひとときになるようなそんな頃でした。この施設の名前自体に「筆柿の里」などと謳われていることもありますが、何か柿が食べられないだろうか? そう思って店内をキョロキョロしていると、見つけました! 次郎柿の杏仁豆腐!
筆柿が何かも知りませんが、何か美味い柿が食べたいと思っていましたし、杏仁豆腐も好ましいスイーツ。これをさっそく買って表のベンチで食べることに。
皆考えることは同じようで、何種類もあるのに、午前中のこの時間で柿はもう残りひとつ。私の手に取ったものがラスト1個でした。
蓋を開けて数えると、多分丸っと柿ひとつにぶん以上、もしかすると2個分くらい入っているかも。ゴロンとカットした柿と、その下にはプレーンというか、白い杏仁豆腐の層があるのみ。食べられる緩衝材という感じさえいたします。
秋の柔らかい日差しのもと、少し肌寒い風にあたりながら、ゴロンとした柿の実のカットしたのを口に放り込む。上等な蜂蜜? カラメルソース? メイプルシロップ? 高級な甘味の要素はそんな感じがありますね。でも爽やかで凛とした硬さのありながら、表面が少しゼラチン質のようにトロンとしている。
気がつくとたちまち平らげていました。濃厚な甘味が口に残りますが、白い杏仁豆腐は綺麗さっぱりと流し去るというほどではなく、かすかに口の中に満足感を止めるのにいい仕事をしてくれるかのよう。
いい休憩ができました。カット柿が食べられたこともうれしいし、その柿がおいしかったのがよかった。なかなかフルーツナイフを持ち歩いては切って皮を捨てて、ナイフを洗ってというのも億劫なものです。どこでもこんなカットフルーツが食べられたらいいのになあと思ったものでした。
(Text & photos by Kentaro Nakagomi)