燃費調査を兼ねて、ひさしぶりにT-RocのTDI仕様で走り回ってみました!

今回お借りしたのは2.0TDIエンジンとフルタイム4WDの4MOTIONを搭載する「T-Roc TDI 4MOTION R-Line Black Style」です。2025年1月に追加されたこのモデルは、T-Roc TDI 4MOTIONのなかでもスポーティなR-Line仕様をベースに、内外装をさらにブラック仕上げで引き締めたスタイリッシュな一台。「T-Roc R」以外では唯一アダプティブシャシープログラムのDCCが搭載可能です。試乗車もDCCパッケージが搭載され、タイヤも215/50R18から225/40R19にインチアップされています。

運転席に座ると、最新のフォルクスワーゲンとはすこし違った眺めが目に入ってきます。センターディスプレイとは別に、タッチ式のエアコン調整パネルが用意されていて、直感的に操作できるのがまずうれしい。さらに、操作しやすい大きさのシフトレバーや、乗員に風が当たりやすい位置にあるエアコンの吹き出し口、すぐに見つかるハザードランプのスイッチなど、一世代前のユーザーインターフェースが懐かしく、しかもこれが案外使いやすくて、落ち着く感じがします。

このT-Roc TDI 4MOTION R-Line Black Styleには、ツインドージングシステムを採用した最新型の2.0 TDIエンジンが搭載され、最高出力110kW(150ps)、最大トルク360Nmを発揮します。

街中では、低回転からしっかりとしたトルクが湧き上がり、アクセル操作に対する反応も軽快。ストップ&ゴーの多い場面でもストレスなく走れて、扱いやすさが際立ちます。また、高速道路の合流などでアクセルを踏み込めば、4000rpmを超えるあたりまで力強い加速が続き、スポーティな走りを楽しめます。

ただし、同じTDIエンジンを搭載する最新のGolf8と比べると、加速時のノイズはGolf8のほうが上手です。このあたりは設計の新しさが影響しているのでしょう。

T-Roc TDI 4MOTIONの走りを語るうえで欠かせないのが、足まわりの違いです。FF版がリヤにトーションビーム式を採用するのに対して、4WD版ではリヤが4リンク(マルチリンク)式になります。この変更だけでも走りの質感はぐっと上がります。

さらに今回の試乗車にはDCCが備わっていました。乗り心地はやや硬めとはいえ、街中での快適な乗り心地と高速道路でのフラットな安定感、プログレッシブステアリングによる俊敏なハンドリングが高い次元で両立していました。コンパクトSUVでありながら、ひとクラス上のドライビングフィールが楽しめました。

気になる燃費は、高速道路を100km/h巡航したときが20.2km/L、120km/hにペースを上げたときが17.8km/L、一般道を含めて約600を走った総平均が18.2km/Lでした。TDIがもたらす力強い走りや4MOTIONによる安定感のある走りを考えると、十分納得のいく数字です。

Golfに比べると少し着座位置が高いのですが、ドライバーが感じるサイズはほぼGolfと同じで、気軽に運転できるのもT-Rocのいいところ。しかも最新版はコックピットのつくりも上質。力強い走りや燃費を含めて、個人的には結構気に入りました。

すでにヨーロッパでは新型が登場していますが、最終型のT-Rocもなかなか魅力的です。最新のデジタルコックピットよりもこちらのほうがいいという人は、いまが最後のチャンスですよ!

(Text & Photos by Satoshi Ubukata)