ID.Buzzの登場で、VWは、ブリ(Bulli)を電気自動車の時代へと導いた。そして2025年には、キッチンとポップアップルーフがセットになったキャンプ仕様の「ID.Buzzカリフォルニア」が追加される。

1989年、「VW T3」をベースに「VWカリフォルニア」が登場し、以来、VWバスのキャンピングカー版として人気を博してきた。フォルクスワーゲンは、オール電化の「ID.Buzz」によって、伝統を重んじるこのシリーズを、電動化の時代へと導いた。しかし、電動キャンピングカーが市場に出回るまでには、まだしばらく時間がかかりそうだ。我々は、ブリのモーターホームバージョン、「VW ID.Buzzカリフォルニア」がどのような姿になるか紹介しよう!

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

典型的なカリフォルニア:オーニングとポップアップルーフ付き

今のところ、「ID.Buzz」は、モーターホームとしての用途は限られているが、少なくとも、短期間のキャンプに対応することは可能だ。「カリフォルニア」は、モーターホームを実現しようとしている。もっとも重要な視覚的ディテールは、油圧式に上げられたルーフだろう。このルーフによって、ドライバーは室内で直立することができ、またダブルベッドを収容することができる。

2脚のキャンピングチェアと小さなテーブルとともに、車体の横に座るのに最適な場所を提供する。

広々とした空間とサステイナブルな素材を使用した室内

外見だけでなく、内装にも工夫が凝らされている。例えば、クッキングシステムとシンクを備えた簡易キッチンや、カトラリー、食器、衣類、その他身の回りのものを収納できる多数のスペースがVW純正で装備されている。

モジュール式のシートは、移動、折りたたみ、回転が可能で、居心地のよいリビングルームのような雰囲気を演出することができるだろう。

「ID.Buzzカリフォルニア」には、現在販売されている中でもっとも高いインフォテイメント装備パッケージが搭載されるようだ。10インチのデジタルコックピット、12インチ画面の中央タッチディスプレイなどが含まれる。また、VWはインテリアにビーガン素材やリサイクル素材の採用をより重視するようだ。

VW ID.Buzzカリフォルニアはロングホイールベース仕様か

キャンプに出かけるのに十分な室内スペースを確保するため、カリフォルニアはおそらく、まだ登場していない「ID.Buzz」のロングホイールベースバージョンをベースにしたものになると思われる。室内空間の確保に加え、最大111kWhの大容量バッテリーパックを搭載することが可能になる。

「ID.Buzz」は現在、リヤアクスルに電動モーターを搭載し、150kW(204馬力)と310Nmの最大トルクを車輪に伝達しているが、キャンピングカーとしては十分なパワーを持っている。

カリフォルニアバスは高価になる可能性大

オール電化のモーターホームが市場に出回るまで、しばらくは我慢が必要だ。VWは、2025年に「ID.Buzzカリフォルニア」をディーラーに導入する予定だ。そこまで待ちたくないという人のために、「アルピンキャンパー(Alpincamper)」のような専門店が「ID.Buzz」のための後付けのキャンプソリューションを提供している。

また、電気自動車の価格も大幅に上昇することが予想される。現在、内燃機関の「カリフォルニア」は、ベースモデルの「VW T6.1」よりも、17,000ユーロ(約255万円)も高い。「ID.Buzz」のスタート価格は59,990ユーロ(約900万円)なので、カリフォルニア版のベース価格は約77,000ユーロ(約1,155万円)ということになる。

(Text by Sebastian Friemel / Photos by B. Reichel)