■Golf ■ HotWheels ■Mattel(U.S.A)

“Kawaii:the quality of being pretty and attractive”

いまや、オックスフォードの 辞書にも載っているという「かわいい」という言葉。単にcuteでもpretteyでもない「かわいい」特有のニュアンスは、なかなか適切な言葉に置き換えられなかったと見えて、もうそのまま「Kawaii」でいいんじゃないか、という流れで定着したと思われます。Mottainai、なんかと同じでしょうね。さて、この「かわいい」を自動車模型に当てはめるとなると、真っ先にチョロQなどが思い浮かびます。

トミカは、小さいけれど、どちらかといえばスケールモデル寄りで「かわいい」という形容詞ではない感じです。と考えると、自動車模型は、いわゆるデフォルメの要素があると「かわいい」といわれるのでしょうか。

デフォルメ、語源はフランス語ですが、イラストや漫画、キャラクターなどで、特徴を強調したり、目立たせたいところを浮き立たせるために他を省略したり、といった処理に対して使われていますね。今回取り上げるゴルフのミニカーは、まさにこのデフォルメものです。実在の車両のスケールダウンから奇想天外な乗り物まで、幅広く展開するホットウィールですが、これはTOONEDというシリーズになります。

マンガやアニメを表すCARTOONから来てると思われますが、自動車だけに、CAR-TOONEDでもよかったんじゃないか……ということはさておき、初代ゴルフの特徴を誇張しつつ、それでいてオーバーフェンダーやスポイラーを盛り込んだレーシングカー仕様をモデル化。張り出したタイヤも相まってアツイ存在感を放ちます。

ホットウィール発祥のアメリカやわが国は、こういったKawaii系ミニカーを受け入れる素地があるから、このような製品が作られるのだと思いますが、フォルクスワーゲンの故郷、ドイツのコレクターさんたちは少し違うのかも、という印象を持っています。

以前、ドイツで大規模なミニカートレードショウに行ったとき、彼の地のコレクターと交換しようと日本からチョロQなど持ち込んだのですが、この手のデフォルメミニカーは、ドイツの人には全然響かず、持て余してしまったことがあります。見渡せば、大小さまざまなミニチュアはあれど、デフォルメ系はほとんど見かけることなく、「あぁ、ドイツ人はKawaiiよりも、スケールモデル好きなんだな」と認識を新たにした次第です。

かつてのNew Beetleでさえ、ドイツ本国ではウケなかった、といわれるあたり、「真面目なモデル」がお好きなのでしょうね。

das kleine Golfgang(ダス クライネゴルフガング)は、ゴルフのミニカー、"Golf玩具"にまつわるコラム。1974年に実車が誕生して以来、古今東西でつくられてきたゴルフのミニカーたちの小さなボディに垣間見えるストーリーを、小さく紹介しています。101回目以降、ゴルフ以外の水冷VWも紹介していきます。