Passat Variantにプラグインハイブリッドシステムを搭載したPassat GTE Variantに試乗。その印象は?

Passat/Passat Variantのマイナーチェンジ版が日本に上陸してからちょうど1年、プラグインハイブリッドシステムを搭載したPassat GTE Variantが発売になった。従来はセダンとステーションワゴンの二本立てだったが、今回はVariantのみの設定になる。

生まれ変わったPassat GTE Variantについては上記のニュースをご一読いただくとして、今回試乗したのは上級グレードのPassat GTE Variant Advance。標準仕様のPassat GTE Variantに対して、ヘッドアップディスプレイ、アラウンドビューカメラ「Area View」、ナパレザー製パワーシート、アダプティブシャシーコントロール「DCC」、235/45R18モビリティタイヤ+8J×18インチアルミホールなどが追加される。

他のグレード同様、前後バンパーやラジエターグリルの変更、タッチ式の空調パネルの採用などによりデザインのリニューアルを図る一方、搭載されるパワートレインは基本的には従来と同じスペックを持つ。すなわち、115kW(156ps)の1.4 TSIと専用の6速DSG、そして、エンジンとトランスミッションに挟み込まれた85kW(116ps)の電気モーターの組み合わせにより、前輪を駆動する。

一方、マイナーチェンジにより、駆動用リチウムイオンバッテリーの容量が9.9kWhから13.0kWhにアップしたのが見どころで、これにより、EV走行の航続可能距離が51.7kmから57.0kWhに延びている。それでも、Passat Variant自慢の広く使いやすいラゲッジスペースが健在なのがうれしいところだ。

これまで同様、バッテリーの電力だけで走る「EVモード」、走行状況にあわせて電気モーター、エンジンを切り替えたり、両方を使うことで効率的な走行を行う「ハイブリッドモード」、電気モーターとエンジンのパフォーマンスを最大限に引き出すことで、スポーティな走りが楽しめる「GTEモード」があり、システム始動直後は自動的にEVモードが選択される。

さっそくゼロエミッションのEVモードで走り出すと、116ps/330Nmの電気モーターが、一般道はいうまでもなく、高速道路でもスムーズで必要十分な加速を見せてくれる。バッテリー残量に余裕がある場合は、EVモードだけで事足りるだけの実力がある。

一方、ハイブリッドモードを選択すると、発進は電気モーターが担当し、ある程度スピードが上がるとエンジンが始動。ここからはエンジンが主役になるが、アクセルペダルを軽く踏み込むような場合でも電気モーターがアシストしてくれるおかげで、1.4 TSI単体よりも力強く、素早い加速を楽しむことができる。

さらにGTEモードを選ぶと、やはり発進は電気モーターが担うが、アクセルペダルをより深く踏んだときのモーターのアシスト量が明らかに多く、さらに爽快な加速が手に入る。その際、DCCがよりハードなセッティングになったり、加速時の“演出音”が大きくなったりとスポーティな振る舞いを見せる。

反面、GTEモードは、18インチタイヤを履くこのPassat GTE Variant Advanceでは目地段差を越えたときなどにはショックを伝えてくることがあり、通常は快適で落ち着いた乗り心地を示すEVモードやハイブリッドモードを使うことで、ここぞという場面でGTEモードに切り替えるというのが良さそうだ。

外出先での充電を気にせず使える身近な電動車のPassat GTE Variantは、ゼロエミッション走行も、スポーティな走りも両方得意な二刀流である。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)