ついに日本でも発売になった「ゴルフ8」から、1.5 eTSIを積む「ゴルフeTSI Style」「ゴルフeTSI R-Line」の2台を報道試乗会でチェックした。
新型ゴルフには、1.0 eTSIを積む「ゴルフeTSI Active Basic」と「ゴルフeTSI Active」、1.5 eTSIの「ゴルフeTSI Style」「ゴルフeTSI R-Line」の4グレードが用意されている。
コックピットのデザインやユーザーインターフェイスなどについては上記のレポートをご覧いただくとして、ここでは1.5 eTSI搭載モデルの走りをレポートする。
まずは、クリーンなデザインが特徴のゴルフeTSI Styleから。試乗車には、Discover Proパッケージとテクノロジーパッケージが装着されている。
1.5 eTSI搭載グレードには、ドライビングプロファイル機能が採用されるが、モード設定スイッチがダッシュボード中央のハザードスイッチのまわりに配置されるのはうれしい配慮。従来はシフトレバーのまわりにあり、スイッチを押すのに視線を変更しなければならなかったからだ。その点、ゴルフ8のレイアウトは格段に使いやすいといえる。
搭載される1.5Lエンジンは、従来の1.4 TSIの進化型。これまでの1.4 TSIも低速から必要十分なトルクを発揮していたが、この1.5 eTSIは静粛性やスムーズさが向上するとともに、低回転からこれまで以上に素早く、力強い加速を見せてくれる。エンジンの進化に加えて、このゴルフ8から搭載される48Vマイルドハイブリッドシステムが、加速時にモーターがエンジンをアシストすることで、低回転でも素早く力強い加速を実現しているのだろう。
高速道路への合流や追い越しといった場面でアクセルペダルを強く踏み込めば、3000rpm半ばからさらに力強さを増し、その勢いはレブリミットまで続く。
一方、走行中にアクセルペダルから足を離すと、エンジンを停止して燃料の消費を抑える「エココースティング機能」が頻繁に働くのは、ゴルフeTSI Activeと同様である。さらに、この1.5 eTSIでは低負荷時に2気筒運転に変わる「アクティブシリンダーマネージメント」機構が備わり、アクセルペダルを軽く踏んで巡航する場面では、燃費表示画面に「2シリンダーモード」の表示が現れ、燃料をセーブしているのがわかる。エココースティング機能や2シリンダーモードではメーターに「eco」のアイコンが表示され、これをうまく活用すればかなりの低燃費が期待できる。
マルチリンクリヤサスペンションと225/45R17タイヤが装着されるゴルフeTSI Styleは、タイヤをインチアップしたぶんゴルフeTSI Activeよりも多少バネ下の重さが感じられるが、乗り心地は十分快適で、バランスは悪くない。ハンドリングもゴルフeTSI Activeよりも軽快な印象だ。
挙動も落ち着いているが、路面によっては軽いピッチングが気になることがあった。その点、専用スポーツサスペンションが装着されるゴルフeTSI R-Lineは、多少乗り心地が硬めになるが、無駄な動きが抑えられるぶん、運転していて気持ちが良い。ワインディングロードでも、クイックなステアリングレシオのプログレッシブステアリングが装着されるおかげでハンドリングは軽快さを増し、キレのある走りが楽しめるのがいい。
ゴルフeTSI R-Lineには、ヘッドレスト一体型のトップスポーツシートやタッチスイッチを採用する専用レザーマルチファンクションステアリングホイールなどが搭載され、これで車両本体価格がゴルフeTSI Styleの5万円増しというのは見逃せない。
高速道路で「トラベルアシスト」を試すチャンスがあったが、先行車がいる場合の速度調整や、車線を維持するためのステアリングへの介入などはより自然さを増した印象で、とくに渋滞時には威力を発揮しそうだ。ゴルフ7同様、このゴルフ8でも、走行中にステアリングホイールから手を離す「ハンズオフ」は認められていないが、旧型ではステアリングの操作でそれを検知していたため、ステアリングホイールを握っていても動きが少ないと警告が発せられることがよくあった。一方、新型では静電容量式タッチセンサーを搭載したことで、ステアリングホイールに軽く手を触れているだけで検知され、誤って警告されなくなったのがうれしい。
パワフルでより軽快な走りが自慢の1.5 eTSI搭載グレード。マイルドな乗り心地が好みならゴルフeTSI Style、スポーティな走りを楽しみたければゴルフeTSI R-Lineがお勧めである。
(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Satoshi Ubukata, VGJ)