パワートレインが変更された「ゴルフ トゥーラン」に試乗。今回は1.5L直列4気筒ターボを搭載する「ゴルフ トゥーラン TSI ハイライン」をチェックする。

最新版のゴルフ トゥーランは、VWエンブレムが最新のデザインに変わったことに加えて、パワートレインが従来の1.4 TSIエンジンに代えて1.5 TSIエンジンを採用。TDIモデルでは、6速DSGから7速DSGに変更になった。

変更の概要は上のニュースをご覧いただくとして、実車を見て大きく変わったなぁと感じるのが、コックピットのデザイン。ついにゴルフ トゥーランにもデジタルメータークラスターの“Digital Cockpit Pro”が装着されるようになったのだ。

さらに、インフォテインメントも、常時オンライン接続が可能な最新世代のインフォテインメント「Ready 2 Discover」および「Discover Pro」が採用され、We Connectに対応しており、一気に進化した印象を受ける。

一方、シートアレンジなどユーティリティについては仕様変更前と変わらない。

それについては上記のレポートをご覧いただくとして、今回は最新のゴルフ トゥーランを箱根方面に連れ出してみた。

一番の関心事は、1.5 TSIエンジンがもたらす走りの変化だ。この「1.5 TSI evo」は、従来の1.4 TSIの進化型で、気筒休止機構のACT(アクティブシリンダーマネージメント)や高圧の直噴システムなどに採用により、最高出力110kW(150ps)/5000〜6000rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/1500〜3500rpmを発揮する。

さっそく走り出すと、1.5 TSIは1570kgのゴルフ トゥーランに対して、低回転から必要十分なトルクを発揮する。しかも、従来の1.4 TSIに比べてアクセルペダルを踏んだときの反応が素早く、静粛性やスムーズさも向上している印象なのだ。これはうれしい進化である。

ふだん走るうえでは2000rpm以下で余裕あるトルクを絞り出す一方、追い越しなどの場面でアクセルペダルを深く踏み込めば、力強く爽快な加速が6000rpm付近まで続く。

アクセルペダルに軽く右足を載せている状態では気筒休止機構のACTが作動し、瞬間燃費がぐんと跳ね上がる。同時にメーターに“eco”や“2シリンダーモード”の表示が現れるが、4気筒と2気筒の切り替えの際にショックやタイムラグが発生することはなく、2気筒時のノイズや振動もまったく気にならない。

2シリンダーモードの恩恵は燃費にも現れており、首都高速道路から東名、そして、小田原厚木道路を法定速度で巡航した場合の燃費は19.1km/Lをマーク。2シリンダーモードをうまく活用するドライビングを心がければ、カタログ燃費を超えることは難しくない。

ミニバンらしからぬ爽快な走りも健在だった。優れた高速安定性や比較的落ち着いた挙動に加えて、軽快なハンドリングがゴルフ トゥーランの魅力である。今回は箱根のワインディングロードを走るチャンスがあったが、ロールを抑えながら、しなやかな動きを見せるサスペンションにより、素早くコーナーを抜けることができた。思いどおりに向きを変えるハンドリングの良さには、いつも惚れ惚れする。

ただ、乗り心地はやや硬めで、路面の凹凸や、目地段差を超えたときのショックを伝えがち。この部分についてはあまり進化が見られなかったのが残念。DCCが選べないのも不満である。しかし、このあたりはタイヤやホイールを交換したり、「MCB」や「ボディダンパー」といったパーツで改善できるので、諦める必要はない。

ということで、1.5 TSIの搭載により魅力を増したゴルフ トゥーラン。機会を見て、2.0 TDI搭載車も試乗したいと思う。

(Text & photos by Satoshi Ubukata)