フォルクスワーゲンが3月11日に発表したのが下表のデータ。お膝元のドイツや西ヨーロッパでは販売台数が増加しており、「ヨーロッパでは、2月に好調な販売を記録した」(プレスリリース)とグループセールス責任者のフレッド・カップラー氏がコメントするほどだ。
市場別販売台数 | 2016年2月 | 2015年2月 | ||||
ヨーロッパ | 312,000 | 295,200 | +5.7 | 604,600 | 582,700 | +3.8 |
西ヨーロッパ | 262,300 | 246,200 | +6.5 | 510,800 | 487,800 | +4.7 |
ドイツ | 105,400 | 97,900 | +7.7 | 195,100 | 187,200 | +4.2 |
中央・東ヨーロッパ | 49,700 | 49,000 | +1.6 | 93,800 | 94,900 | -1.2 |
ロシア | 12,400 | 14,900 | -17.0 | 22,100 | 28,700 | -23.0 |
北米 | 62,300 | 64,000 | -2.5 | 123,400 | 127,200 | -2.9 |
米国 | 37,700 | 40,700 | -7.2 | 74,200 | 79,800 | -7.1 |
南米 | 34,100 | 46,000 | -26.0 | 70,600 | 99,900 | -29.3 |
ブラジル | 21,700 | 33,700 | -35.8 | 45,200 | 72,200 | -37.4 |
アジア太平洋 | 254,000 | 263,000 | -3.4 | 681,200 | 644,300 | +5.7 |
中国 | 227,400 | 231,600 | -1.8 | 627,500 | 583,100 | +7.6 |
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全世界 | 693,300 | 701,500 | -1.2 | 1,541,100 | 1,519,100 | +1.4 |
一方、ブラジルは1〜2月が前年に比べて4割近く落ち込んでいるが、これはブラジルの景気後退により自動車販売全体が2割減少しており、さらに、新規参入ブランドによりGM、フォルクスワーゲン、フォードといった老舗ブランドのシェアが軒並み下がったことが原因だ。
ロシアの不振も景気後退の影響が大きいという。
一方、日本では輸入車(外国メーカー)の1〜2月の販売は1.5%の減となったとはいえ、前年比でがフォルクスワーゲンが77.3%、アウディが81.0%というのは、あまりにも落ち込みが大きい。2015年上半期(4月〜9月)の販売台数が前年比でフォルクスワーゲンが96.9%、アウディが105.3%だったことを考えると、やはり排ガス問題が尾を引いているということになる。
ただ、この排ガス問題に関しては、日本に正規輸入されたフォルクスワーゲン/アウディは無関係だったし、日本のユーザーには何の不都合もなかった。いま販売されている新車も問題がないどころか、他のブランドよりも優れたクルマが多い。
それでも売れないのは、日本の多くの輸入車ユーザーが、その性能ではなく、ブランドやモデルのイメージでクルマを買っているからだろう。皆さんのようにクルマに興味を持ち、その性能の違いがわかる人ならともかく、ほとんどの人は「このブランドのほうがかっこいい」とか「このブランドのほうが安心」ということでクルマを選んでいる。
おかげで、中身が変わらなくても、ブランドイメージが低下しただけでクルマは売れなくなるし、反対にうまく上辺をつくろえば、それだけで売れることもある。
だからこそ、本質を見きわめよう......なんてエラそうなことをいいたい私も、クルマ以外に関してはイメージ先行でモノを選んでしまっているわけだが、少なくともクルマに限っては、その価値を見きわめる感覚を磨き、確かで楽しい情報を伝えていきたいと思う。
(Text by S.Ubukata)