ヤマザキのブランドは、私の中でかなり絶対的な信頼感がある。そう、言わずと知れたヤマザキパンのヤマザキである。そもそも私はパンが大好きというわけではない。嫌いではないが、ご飯と比べてパンに特別な感慨はない。なので、世の中からパンというものが無くなってしまっても、泣いて悲しんだりはしない。パンがなければご飯を食べれば問題ないのである。
そんな私なので、パンを食べるならあの白くて四角くて耳のある食パンよりも、菓子パンや惣菜パンの方を好む。パンそのものの味が云々とかいう造詣は深くなく、チョコや惣菜の味のついたパンの方がずっと食べやすい。そして、菓子パンや惣菜パンを選ぶ際に最優先する選択基準は、ヤマザキのパンなのだ。なぜヤマザキなのか?理由は明確で、ハズレがないのである。
うちの妻はパン好きで、妻が買ってきたパンはPascoでも第一パンでも、わりと食える場合が多い。どうやって見分けているのか?私には分からない。パンに特別な思い入れのない私は、パンの商品を見てもそれが美味しいか美味しくないか、上手く判断できない。買ってみたら予想と全然違う味とか、思ってたよりも格段に不味いということが良くある。どうしてこんな味なのか?こんな商品があって良いのか?全部食えずに残してしまう。
ヤマザキのパンは感動するほど美味しい高級パンとかではない。普通のパンである。しかし、必ず一定以上のレベルにある。不味くて残してしまったという経験は皆無だ。パンを買って不味くて食えない場合、買ったお金を損するだけでなく、結局お腹が空いたままという、二重にむなしい状況になる。そのリスクをほぼ100%回避できる。私が失敗を重ねて行き着いた私なりの結論、それはヤマザキのパンを買うことなのである。
そしてヤマザキに感心するのは、この信頼感がおにぎりにも一貫していることである。おにぎりを買って失敗する(不味くて食えない)確率は、菓子パンや惣菜パンよりは一般的に低い。それでも、美味いと言えないおにぎりは多い。ヤマザキのおにぎりは「大丈夫か?」と疑うほど奇をてらったものであっても、確実に美味しい。「五穀祭」とか「ごぼうマヨ」とか、ヤバそうなのをチョイスしても絶対に裏切られないのである。
行きつけのストアでは、2つのブランド(メーカー)のおにぎりを扱っている。ひとつがヤマザキで、もうひとつは木村屋だ。木村屋は食えるのもあるが、不味いものある。ヤマザキは確実に美味しい。そしてこの差が最も明確になるのは、赤飯のおにぎりである。ヤマザキが売り切れで、木村屋の赤飯のおにぎりを買ったことがある。いつものつもりで一口頬張って、その違いに愕然とした。そしてそれまで何の気なしに食べていたヤマザキの赤飯のおにぎりに、偉大さを感じた。
ヤマザキの赤飯のおにぎりは、まず米が美味しい。そして小豆が美味しい。塩加減は程良く、しかも天然塩の味わいがある。そして最後に黒胡麻のアクセントが絶妙である。その赤飯のおにぎりを、今日もお昼に食べていた。インターネットを見ながら。ついさっきのことである。っと、あろうことか黒胡麻が一粒、キーボードの上に落ちた、「K」と「L」間くらいのところ。拾おうとすると、何とキーとキーの隙間に入ってしまった。
キーを押すと、胡麻が挟まって明らかにタッチが変だ。このまま捨て置くわけにいかなくなった。ノートPCごと傾けたりしたが、出てこない。正直、冷や汗が出た。・・・最後は「←」キーを取り外して胡麻を除去した。絶対の信頼感、ノーリスクと思っていたヤマザキのおにぎりにも、思わぬリスクがあることに気づかされた。何事も過信は禁物。油断大敵ということか。木村屋のだったら、あのベタベタ感のある不味い赤飯のお陰で胡麻は落ちなかったに違いない。
かといって、今更木村屋に鞍替えする気にはならないのである。・・・あぁ、ヤマザキ。