豊橋ナンバーを付けたポロ1.4コンフォートラインを借り受け、夕方の混雑が始まった東京の街を走り出す。普通、ニューカーで走り出した特は、そのクルマのボディ感覚に慣れるまで慎重な運転になるものだが、新型ポロの場合、そんな気遣いはまったく必要ない。なにしろ、ポロのボディは従来モデルよりは大きくなったというものの、全長4m以下で、全幅は輸入車のなかでは今時珍しいともいえる1.7m以下。小型車枠に入る5ナンバー車だ。
室内空間は必要にして十分だ。当然、ゴルフ6ほど横方向に余裕があるわけではないが、といって、助手席の人と肩が触れ合ってしまうほど狭いわけでもない。気になるリアシートの空間も、決して広々としているとはいえず、ヘッドクリアランスも少なめだが、キチッと座れば狭さを感じることはないだろう。座面と背もたれの角度は自然なもので、長時間座っていても疲労は少ないと思われる。なにより、好ましいと思われるのは、そのヒップポイントとがフロントシートよりも高いことで、前方視界も悪くなく、閉じ込められた感じがしないことだ。多分、リアに座ることが多いと思われる子供達や、お爺さま、お婆さまからも、不満の声はあがらないと思う。
ダブルフォールディング式に折りたたむと、現れるのはフルフラットの床面。このフラットなフロアは、トランクルーム下のフロアを二重底とし、ワザワザ上げ底にすることで実現しているが、これはゴルフプラスやゴルフ・ヴァリアントに用いられている手法。ゴルフ5が割り切ってしまい、ゴルフ6でも復活させていないフラットフロアを、この新型ポロは実現しているのだ。しかも、床面の下は、浅いけれども、エクストラスペースとして使える。その床面(ボード)を上げた時には、トノカバーのステー側に付くストッパーが働いて、手で持っておく必要がないというのもいい。
国産車並みに確保されているのが、小物収納スペースだ。ドアポケットはペットボトルがおける形状となっているのをはじめ、フロアコンソールには前席用に2つ、後席用に1つのカップホルダーがあって、それは別体となる灰皿を差し込めるようにもなっている。フロントシートは左右ともシートアンダートレーが装備され、シートバックポケットも付く。
グローブボックス内には、下面にもうひとつ小さな収納スペースが設けられて、そこに車検証(分厚い取扱説明書も)を入れられるようになっている。このあたり、これまではどちらかといえばフォルクスワーゲンの不得意分野だっただけに、驚くほどの進歩。小物の持ち物が多い女性ユーザーの好感度アップは間違いない。
ジックリと付き合ってみて、初めて分かることも多い。そのボディサイズから予想された扱いやすさは予想できたことではあるが、たとえば、ザックリとした試乗では小物収納スペースの有用性などは見逃しがち。ということもあって、つい書き込んでしまったが、次回のPart2では、走りの面をリポートしてみたい。
(Text by M.OGURA)