(Photo by Volkswagen Group Japan)
5月なかばのコートダジュールは、初夏を通り越して、真夏の陽射しが降り注いでいた。日本人の僕には暑いくらいだが、太陽を愛するヨーロッパの人々にとっては、絶好のオープンカー日和である。
そんな素晴らしいコンディションのもと、2011年のジュネーブショーでデビューしたゴルフカブリオレに試乗するチャンスを得た。
2003年にゴルフ5が登場すると、ゴルフ4ルックのゴルフカブリオレはそのモデルライフにピリオドを打った。当然、多くのファンは、ゴルフ5ベースの4代目が登場するものと信じていた。ところが、当時はクーペカブリオレブームの真っ只中で、フォルクスワーゲンもクーペカブリオレの開発を進めていたのだ。
イオスの登場によりゴルフカブリオレの時代は終わったかのように見えたが、その復活を望む声が止むことはなかった。よりカジュアルで安いカブリオレがほしい......。これに応えるべく登場したのが、ゴルフ6をベースとした4代目ゴルフカブリオレというわけである。
4代目もゴルフカブリオレの伝統に基づき、ソフトトップのスタイルを受け継いでいる。しかし、これまでとは明らかに違う雰囲気に包まれているのは見てのとおりだ。
実は新型ゴルフカブリオレのソフトトップは、下の写真のようなフレームで構成されていて、一番前には"フロントルーフボウ"という幅広いフレームが渡されている。これが収納時に蓋がわりになるとともに、ソフトトップを閉じたときにはハードトップに迫る強度を生みだす。高速でソフトトップが膨らむ"バルーン現象"も解消できる。
ソフトトップが後席の背後にコンパクトに収まるので、ルーフを開けてもラゲッジスペースが侵食されることはない。容量は250L。開口部がさほど広くないので大きな荷物の出し入れは面倒だが、幅100×奥行60〜80×高さ35〜50cmのスペースはカブリオレとしてはかなり広い。
ちなみに、ソフトトップをコンパクトにするには、できるだけAピラーを後方まで延ばせばいいが、やりすぎるとオープン時の開放感が損なわれてしまう。開放感を確保しながらソフトトップのコンパクト化を実現した結果が、このAピラーの形状というわけである。
脱線ついでに記しておくと、新型ゴルフカブリオレの外板のうち、ハッチバックと共通なのはボンネットとフロントフェンダーのみ。Aピラーはシロッコ用をモディファイしたといい、またフロアはイオス用、リアセクションはA3カブリオレをベースとしているそうだ。
そんな新型ゴルフカブリオレを、フランスのニースからサントロペまで走らせた。そのインプレッションは後編で!
(Text by S.Ubukata)