100%電気で走るフォーミュラカーの世界選手権、「ABB FIA Formula E」が、2024年3月30日、東京で初開催されました。この記念すべき大会を取材で訪れることができました。Formula Eを生で観戦(取材)するのはこれが初めてです!

東京・有明にある「東京ビッグサイト」周辺の一般道を封鎖して行われた2024第5戦「TOKYO E-PRIX」。この手の市街地レースが開催されるのは日本初! フォルクスワーゲングループからもポルシェとクプラが参戦しているということもあり、会場を覗いてみることにしました。

マセラティのギュンター選手が今季初勝利

今回は、縁あってライバルチームのマセラティMSGレーシングを取材することができました。チーム代表は日本のレースでも活躍したジェームス・ロシター氏。ドライバーは7号車がマキシミリアン・ギュンター選手、18号車がルーキーのジェハン・ダルヴァラ選手。F2からステップしたダルヴァラ選手は事前のインタビューで、「F2はタイヤマネージメント、Formula Eはエネルギーマネージメントが勝負のカギ」と話していましたが、まさにその言葉どおりのレース展開になりました。

実際レースでは、ポールポジションを獲得した日産のオリバー・ローランド選手を2番グリッドからスタートしたマセラティのギュンター選手が追う展開になりました。しかし終盤、トップを走っていたローランド選手をギュンター選手があっさりとパス。ギュンター選手はローランド選手をそのままファイナルラップまで抑えきって、今シーズン初勝利を収めています。ローランド選手は「あのままトップを走っていたら3位も厳しかったかもしれない」とコメント。2番手でエネルギー消費を抑え、トップに踊り出るタイミングを虎視眈々とうかがっていたギュンター選手の作戦勝ちだったというわけです。

ポルシェの戦いぶりについては、こちらのニュースをご覧ください。

レース以外にも見どころいっぱい

ところで、今回のTOKYO E-PRIX、レーススケジュールは次のとおり。

  • 3月29日 16:30-17:10 フリー走行1
  • 3月30日 08:00-08:30 フリー走行2
  • 3月30日 10:20-11:43 予選
  • 3月30日 15:03-16:00 決勝

これからもわかるように、3月30日の土曜だけでほぼレースは完結します。私は29日はYouTubeでフリー走行1を観戦し、30日はフリー走行2が始まる前に会場に到着。スタンド席には入れなかったのですが、スタンド裏の大型ビジョンの前で、ピエール北川さんの場内実況を聞きながら観戦しました。マシンの“爆音”がないので、場内放送が聞きやすいのもFormula Eの特徴です。ちなみに、大型ビジョンの付近にはキッチンカーが並んでいましたが、ここで使う電気は水素エンジンで発電してまかなっていたのには驚きました。

走行のない時間は、東京ビッグサイトのホールに設けられた「ファンビレッジ」や「E-Tokyo Festival 2024」を見て回りました。EVや充電インフラに関する展示のほか、子供向けのアトラクションが用意されていたので、家族連れでも楽しめるのがうれしいところです。

個人的な関心は、E-Tokyo Festival 2024の会場で、欧風カレーの銘店である神保町「ボンディ」のカレーが食べられること。まずはそこで腹ごしらえしたおかげで、取材のエネルギーをたっぷりチャージすることができました!

一発の速さに加えて、エネルギーマネージメントが勝利のカギとなるFormula E。エスケープゾーンがほとんどない狭いコースでの接近戦もなかなか迫力があり、ぜひまた来年も見に行きたいと思います。

(Text by Satoshi Ubukata)