Qシリーズ初のRSモデルとして興味津々の「Audi RS Q3」に試乗。果たしてどんな走りを見せてくれたのか?

※2014年4月の記事を再構成して掲載しました。

このところ、積極的にS/RSモデルを国内導入しているアウディ ジャパン。RSモデルだけでも、気がつけば7タイプが選べるようになっている。

このなかで、最近国内発売になったのがこの「Audi RS Q3」だ。Qシリーズとしては初となるRSモデル、正直なところ日本で販売されるとは思っていなかった。こんなニッチなモデルが果たして日本市場で売れるのか?

反面、RSモデルを手がけるquattro GmbHが、このQ3をどう料理するのかはとても興味があった。それだけに、Audi RS Q3を日本で思い切りドライブできることに、まずは感謝したい。

その概要についてはニュースをご覧いただくとして、降り注ぐ太陽光のもと目の当たりにするAudi RS Q3はなかなかの迫力だ。RSモデルの特徴であるハニカムメッシュのシングルフレームグリルが大きく口を開け、さらにサイドの大型エアインテーク、そして、センターの「quattro」の文字、張り出したフェンダーアーチなど、ひと目でノーマルモデルとの違いを感じ取れるデザインに仕上がっている。

インテリアも各所に施されたカーボンパネルをはじめ、メーターやステアリングホイール、シフトレバーなどに記されたRSの文字にドライバーの心は躍る。

オプションのダイヤモンドステッチング仕様のファインナッパレザーシートも高級感とスポーティな雰囲気を強めている。ちなみに、このオプション、11万円(税込)というかなりお買い得な価格で提供されるのがうれしいところだ。

しかし、Audi RS Q3の一番の魅力は、ノーズに収まるハイパワーユニット。標準モデルには用意されない、RSモデル限定の2.5L 直列5気筒ターボが搭載されるのだ。2.5 TFSIといえば、Audi TT RSにも搭載されるエンジンだが、こちらはSUVという性格を加味して、最高出力310ps/5200〜6700rpm、最大トルク420Nm/1500〜5200rpmにデチューンされている。

当然、RSモデルだけに、駆動方式はquattro。これに7速Sトロニックが組み合わされる。

スターターボタンを押すと、ブウォンという音とともにエンジンが目覚める。ちなみに、Audi RS Q3にも、アイドリングストップ機構が搭載されるので、発進のたびにそのサウンドが楽しめてしまう。

排気量に余裕があるだけに走り出しは力強く、アクセルを軽く踏むだけでスッと、しかもスムーズに加速するから、街中の扱いもストレスがない。しかし、これは2.5 TFSIの一面に過ぎない。やや大きくアクセルペダルを踏んでやると、4気筒とも6気筒とも違う、5気筒独特のエンジンサウンドを奏でながら、シュワッと回転を上げる2.5 TFSI。このフィーリングがたまらない!

さらにアクセルペダルを踏み込むと、4000rpmを超えたあたりからトップエンドまで心地よいサウンドを響かせながら、力強い加速を見せてくれるのだ。エンジンのスペックやボディ重量の異なるAudi TT RSに比べるとマイルドだが、それでも、2.5 TFSIの魅力は充分に堪能できる。

一方、その走りは、Q3であることをまったく意識させないもの。アイポイントが高いことを除けば、運転感覚はスポーティなサスペンションが与えられたAudi A3という印象。挙動がとてもフラットであるにもかかわらず、乗り心地は十分な快適さを確保している。

さすがにハッチバックほどのシャープさは感じられないが、コーナリング時のロールはよく抑えられていて、ワインディングロードを楽しく飛ばすことができた。

しかもこのAudi RS Q3、最低地上高に余裕があるから、いざというときには躊躇せずにオフロードに足を踏み入れることができるし、雪道の轍を気にする必要がない。

そういう意味では、オールマイティなプレミアムコンパクトスポーツといえるAudi RS Q3。魅力的なエンジンと、バランスの良いシャシーのおかげで、どんな場面でもドライビングをエキサイティングにしてくれる楽しいクルマである。

(Text by Satoshi Ubukata)