関門海峡を渡るというのは、なぜこうも気持ちが逸るのでしょうか。
それこそ距離にしたら、レインボーブリッジや横浜のベイブリッジといくらも変わらないと思うのです。
さあいよいよ九州だ!と胸騒ぎがするものです。小さいとはいえ、海峡を渡るということがそうさせるのか、九州が持つ固有の魅力というかパワーのなせる技なのでしょうか。
関門大橋を渡り中国自動車道は九州自動車道になります。北九州の街の中心をぐるっと回るように山間のルートをしばらく走ると、九州最初のパーキングが吉志(きし)パーキングエリアです。
そばの代わりにうどんを焼いた焼うどん。小倉発祥というのでいただいてみることに。
具はシンプルに肉とキャベツともやし? ソースでさっと焼かれたうどんは香りもよく食欲をそそります。最後にちょっと海苔が載っていたりして。
もともとは小倉のお店がお土産用につくり始めたと説明書きにはありますが、何しろ待ちません。早くできますし、口にしたときの麺の弾力と、甘辛いばかりでなくソースの酸味が爽やかささえともないまして、簡単メニューながら食後の満足感がしっかり!
関門海峡を渡って30分なんてかかりませんが「おかえりなさい! ここからは九州ですよ」と迎え入れてくれるかのよう。食でフォーマット完了。
吉志のメニュー、ことさらに九州名物!とかではなく、東に西に駆け回る九州の営業マンたち(九州北部の営業所が本州の山口あたりも担当するとかは割とあるようで、昔筆者が勤めていた会社もそうだったことを思い出しました)の腹をたちまち満たす、ソウルフードにしてパワーフード。そんなのが多く、この焼うどんもそんなメニューかと。
クルマで九州を訪れた際にはぜひまた食べたい“食の通行手形”のような一皿でした。
(Text & photos by Kentaro Nakagomi)