「ID. Polo GTI」は成功するのか? 初代Golf GTIの登場から50年を経て、ID. Polo GTIはGTIの名を冠する初のVolkswagen製電気自動車となる。AUTO BILDはその詳細を紹介するとともに、ひと足先に実車のコックピットをチェックした!

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

1975年に「Golf GTI」が発表された当時、この3文字が数十年後にコンパクトスポーツカーの代名詞になるとは、誰も予想していなかっただろう。しかし、2027年初頭、GTIの世界に小さな革命が訪れる。「ID. Polo」が、初めて電気自動車版GTIとして登場するのだ!

そしてVolkswagenは約束どおり、ID. Polo GTIを4万ユーロ(約736万円)未満で提供する。電気自動車版GTIのベース価格は3万9995ユーロ(約735万円)で、最初の顧客への納車は2027年初頭を予定している。

しかし、ニュースはそれだけではない。顧客の要望に応え、VolkswagenはID. Polo GTIの最高速度を引き上げたのだ。当初は175km/hに制限する予定だったが、これではオリジナルのGTIよりも遅くなってしまう。何しろ、初代Golf GTIですら、51年前にすでに182km/hを記録していたのだから。おそらくこうした事情もあり、ウォルフスブルクのメーカーは最高速度をさらに15km/h引き上げ、190km/hに設定した。

GTXからGTIへ

正直なところ、ほとんど誰にもその意味が理解されていなかった「GTX」という名称は、今後、徐々にラインアップから姿を消していく。これからは電気自動車のトップモデルも、車種やクラスにふさわしいものであれば、伝説的な3文字であるGTIを名乗ることができるようになる。ただし、ID. Buzz GTIが登場する可能性は低いだろう。

一方、全長わずか4.10mのID. Polo GTIは、まさに伝統的なホットハッチそのものだ。ただし、パワートレインが電気になったという違いがある。標準仕様のID. Poloが持つ控えめな外観に対し、GTIではフロントの赤いアクセントストライプ、張り出したサイドスカート、迫力あるディフューザーなど、GTIならではのデザイン要素が加えられている。

ちなみに、フロントスカートに設けられた2つの赤いパーツは、一見すると牽引フックのように見えるが、あくまで装飾用だ。

最上位モデルとなるID. Polo GTIには、マトリックスLEDヘッドライトと19インチホイールが標準装備される。ボディカラーは全6色から選択可能だ。

GTI専用の新型ステアリングホイール

インテリアも、さらに洗練された仕上がりとなっている。GTI伝統のチェック柄を現代的にアレンジした「スーパークラーク」を採用するスポーツシートは、見た目が魅力的なだけでなく、座り心地も非常に快適だ。

2本スポークのステアリングホイールも新設計で、12時位置のマーキングや赤いステッチに加え、センターキャップの下には小さなGTIロゴが配置されている。このロゴを押すと、追加のドライビングモードである「Sport+」が作動する。

一見するとシフトパドルのように見える部分は、通常のID. Poloには装備されていないものだが、ギヤチェンジ用ではなく、回生ブレーキの強さを調整するためのものだ。Hyundaiなどが採用する、デュアルクラッチトランスミッションの変速を模擬した機能は、Volkswagenには搭載されていない。

その一方で、GTIのインテリアは、もともと素材選びに優れたID. Poloをさらに上回る仕上がりとなっている。パンチング加工が施されたステアリングホイールや、マイクロファイバーで覆われたドアパネルなど、ID. Polo GTIのインテリアは細部に至るまで非常に高い質感を備えている。

通常のID. Poloと出力差はわずか

スポーティな外観と高級感のあるインテリアは素晴らしい。では、肝心の性能面はどうだろうか?

226PSを発揮する初の電気自動車版GTIは、初代Golf GTIの2倍以上のパワーを誇る。しかし、その一方で、最大211PSを発揮する通常版ID. Poloとの差は、それほど大きくない。

車両重量1540kgのID. Polo GTIは、Volkswagenによると最大航続距離が424kmで、最大105kWの急速充電に対応する。

スポーティな走行性能を実現するため、電子制御式フロントディファレンシャルロックに加え、アダプティブダンパーを備えたDCCサスペンションを採用している。しかも、どちらも追加料金なしの標準装備だ!

まとめ

GTI誕生から50周年。そして今、このアイコンが電気自動車として生まれ変わった。理にかなった一歩のように思えるが、Volkswagenにとっては大きな賭けでもある。

ID. Polo GTIのエクステリアとインテリアは気に入った。しかし、走行性能については、少なくともスペックを見る限り、最上位モデルであるGTIと通常のID. Poloとの差はそれほど大きくない。価格についても同じことがいえる。

(Text by Jan Götze /Photos by Volkswagen)