OZを語るうえで、欠かすことのできないモデルが「Rally Racing」です。第2回でも紹介したとおり、そのルーツはWRC(世界ラリー選手権)の現場にあります。オーゼットジャパンの代表を務める内山晶弘氏は、特徴的なデザインについて、「グラベルでは小石がブレーキに噛まないように開口部を小さくした」とその必然性を説明します。

つまり、Rally Racingのスタイルは、“見た目ありき”で生まれたものではありません。競技の現場で必要とされた機能を突き詰めた結果、あの独特のデザインにたどり着き、それがやがてOZを象徴するスタイルになったのです。

ラリーは、整備されたサーキットだけを走るレースとは環境が大きく異なります。舗装路はもちろん、砂利が敷き詰められたグラベルやぬかるんだ路面を駆け抜け、ときにはジャンプすることもあります。それだけにホイールには、軽さだけでなく、大きな衝撃に耐えることや、泥や砂利といった異物への対策も求められます。

内山氏は、競技で使われるホイールについて「あれ、アルミなら粉々になりますよ」と話し、過酷なラリーの現場に対応するために、マグネシウム製ホイールが採用されてきた背景を説明します。

そんな厳しい環境で培われたノウハウとデザインが、市販モデルのRally Racingにも受け継がれています。ストリートで目を引くあのスタイルには、実は競技の現場で磨かれてきた歴史が詰まっているのです。

そして近年、Rally Racingは日本市場でも新たな広がりを見せています。そのひとつが、16インチのRally Racingをジムニー向けに展開したことです。これは本国イタリアのラインアップをそのまま日本へ持ち込んだものではありません。

「今までイタリアがやらなかったサイズを、日本から提案した」と内山氏。「そのサイズはやらないんでしょ? じゃあいいでしょ」とイタリア側に掛け合い、ロイヤリティを支払う形で日本独自の展開を実現しました。その結果は上々で、「ものすごい数を売って伸ばしている」といいます。

海外で生まれた製品を輸入して販売するだけではなく、日本のユーザーが求めているものを見つけ、それを本国へ提案し、実際の商品へとつなげていく。そこには、オーゼットジャパンならではの役割が見えてきます。

WRCの過酷な舞台から生まれ、ひと目でそれとわかるスタイルを築いたRally Racing。そして現在は、日本独自のニーズにも応えながら、その活躍の場をさらに広げています。

競技のために生まれた“必然のデザイン”が、時代を超えてストリートでも支持され続ける――。それこそが、Rally Racingが単なる往年の名作ではなく、いまなお現役の人気モデルであり続ける理由なのかもしれません。

次回は、こうした日本市場から生まれた取り組みに、さらにスポットを当てて紹介します。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Wataru Tamura)