2026年5月15日、Volkswagenは、GTI誕生50周年の節目に、ブランド初のフル電動GTIとなる「ID.Polo GTI」を発表した。世界初公開の舞台はニュルブルクリンク24時間レースで、ドイツでは今秋に受注を開始する予定である。価格は3万9000ユーロ弱、日本円では約720万円弱に相当する。

ID.Polo GTIは、1976年に登場した初代「Golf GTI」から続くGTIの系譜を、電動化時代に引き継ぐモデルである。Volkswagenはこの新型車を「新しい時代のGTI」と位置づけ、GTIらしい前輪駆動の走り、専用デザイン、日常での使いやすさを、EV専用技術と組み合わせた。

パワートレインにはAPP290ドライブシステムを採用し、最高出力は166kW(226PS)、最大トルクは290Nmを発生する。0-100km/h加速は6.8秒、最高速度は175km/hと公表された。駆動方式は前輪駆動で、標準装備の電子制御式フロントディファレンシャルロックにより、強力なトルクを効率よく路面に伝え、高いコーナリング性能を狙っている。

シャシーは、GTI専用に開発されたプログレッシブステアリングと、可変ダンピングシステムのDCCを標準装備する。さらに新たに「GTIドライビングプロファイル」を設定。ステアリングホイール上のボタンを押すと、モーターの出力特性、ステアリング、DCCを含むシャシー制御がスポーティーな設定に切り替わり、コクピットの表示も専用カラーとグラフィックに変化する。単に加速が速いEVではなく、GTIらしい操作感や演出まで含めて作り込んだ点が、このモデルの大きな特徴である。

バッテリーは52kWh(ネット)のNMCタイプで、WLTP航続距離は最大424kmとされる。DC急速充電は最大105kWに対応し、10%から80%まで約24分で充電できる。スポーツモデルでありながら、日常利用を前提とした航続距離と充電性能を備えている点も、従来のGTIが持っていた「普段使いできる高性能車」という性格を受け継ぐ部分といえる。

エクステリアは、Volkswagenの新デザイン言語「Pure Positive」をベースに、GTI伝統のモチーフを再解釈した。フロントには赤いストライプを配し、左側に3DのGTIロゴを組み込む。その上にはLEDライトストリップ、イルミネーション付きVWバッジ、標準装備のIQ.LIGHT LEDマトリックスヘッドライトを水平に配置。下部にはGTIらしいハニカムパターンのエアインテークを設け、左右にはモータースポーツの牽引フックを思わせる赤い縦型エレメントを採用した。

サイドビューでは、初代Golfを想起させるCピラーが大きな特徴となる。標準装備の19インチアルミホイールと低く構えたシルエットにより、コンパクトながら力強いスタンスを表現している。リヤには中央で分割された専用ルーフスポイラーを備え、IQ.LIGHT仕様のテールランプ、赤く光るVWロゴまわり、ブラックの2分割リヤディフューザーによって、GTIであることを視覚的に示している。

インテリアは赤と黒を基調とする。GTI専用スポーツステアリングには赤いステッチと12時位置の赤いマーカーを備え、ダッシュボードにも細い赤いラインが横方向に伸びる。前席のプレミアムスポーツシートには、歴代GTIでおなじみのタータンチェック柄を現代的に解釈したファブリックを採用。ヘッドレスト一体型シートにはGTIエンブレムが組み込まれる。

デジタルまわりにも遊び心がある。10.25インチのDigital Cockpitと12.9インチのインフォテインメントディスプレイを備え、ステアリングのViewボタンで「レトロディスプレイ」を選ぶと、メーター表示が後期型Golf I風に変化する。インフォテインメント側にも当時を思わせるグラフィックが表示され、楽曲表示には1980年代を象徴するカセットテープ風の演出も用意される。伝統を単なる外観モチーフにとどめず、ユーザーインターフェースにも取り込んだ点は、GTIファンの関心を集めそうだ。

パッケージング面では、EV専用アーキテクチャーの利点を生かしている。全長4096mm、全幅1816mm、全高1513mm、ホイールベース2599mmというコンパクトなボディながら、従来の内燃機関版Polo GTIより室内空間は拡大。荷室容量は351Lから441Lへと25%以上増え、後席を倒すと最大1240Lまで広がる。さらに、75kgの垂直荷重に対応する脱着式ボールカップリングを用意し、2台のeバイクを積むサイクルキャリアにも対応する。ブレーキ付きトレーラーでは最大1.2トンの牽引能力も備える。

先進運転支援では、MEB+と最新ソフトウェアを採用し、多くの支援システムを標準装備する。オプションとして用意される次世代Travel Assistは、オンラインデータを活用することから「Connected Travel Assist」と呼ばれ、システムの範囲内で赤信号を検知し、自動的に停止する機能も備える。また、アクセル操作だけで強い減速が可能なワンペダルドライビングも新たに導入される。

オプション装備としては、425Wの出力と10スピーカーを備えるHarman Kardonの高級サウンドシステム、大型パノラマサンルーフ、電動12ウェイ調整式フロントシート用の空気圧式マッサージ機能などを設定。さらに走りを重視するユーザー向けには、ID.Polo GTI専用に開発されたBridgestone Potenza Sportの19インチプレミアムスポーツタイヤも用意される。

GTIはこれまで、手の届くサイズと価格、日常性、そして走る楽しさを両立するモデルとして支持されてきた。ID. Polo GTIは、その基本思想をEV時代に置き換えたモデルである。内燃機関のサウンドや変速感は持たない一方で、瞬時に立ち上がるトルク、低重心パッケージ、電子制御ディファレンシャル、専用シャシー制御によって、新しいGTI像を提示する。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。