Volkswagen伝統のキャンピングカー「Volkswagen California」がモデルチェンジ。新しいプラグインハイブリッドと4WDシステムにより、ブリ(Bulli)はEV走行が可能となった。Volkswagen商用車部門は、PHEVになったことで日常使いにおける実用性を強調しているが、キャンパーバンユーザーにとって、そこにどのような付加価値がもたらされるのだろうか。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

新型Volkswagen Californiaついては、すでに多くの記事が書かれてきた。しかし、この伝説的クラシックの新世代モデルの物語は、まだ終わっていない。Volkswagen商用車部門は、Volkswagen Californiaに独自のプラグインハイブリッド4WDシステムを搭載することを決断した。

1.5L直列4気筒ターボガソリンエンジンに、最大95kmのEV走行が可能な電動パワーシステムを組み合わせ、ゼロエミッション走行と長い航続距離、そして最大限のトラクションを両立させる狙いだ。この「比類なきシステム」は、技術面や走行性能面でいかなる妥協もすることなく、3つの駆動方式の長所を融合しているという。これは当然ながら、われわれの関心を強く引きつける。一方で、われわれにとって重要なキャンピング性能についても、改めて検証していく。

19.7kWhのバッテリーは、最大95kmのEV走行が可能。充電も迅速だ。

そして、ここにその姿がある。Volkswagen Californiaは、完全に新しいベース車両を採用している。Volkswagenは初めてトランスポーターのプラットフォームから離れ、新型「Volkswagen Multivan」をベース車両に選択した。これは乗用車により近いコンセプトを持ち、日常使用での実用性を高めることを目的とした車両だ。しかし、この決定はファンから必ずしも歓迎されたわけではない。彼らの懸念は、Volkswagen Californiaが典型的なブリ(Bulli)らしさ、その本質を失ってしまうのではないか、という点にある。

外観についても、延長されたボンネットやサイドウインドウの造形により、この車両はバンというより、Volkswagenの「Volkswagen Sharan」や「Volkswagen Touran」といったファミリーカーを思わせる印象が強い。T6、T5、T4との違いは明確だ。さらに、新型Volkswagen Californiaのプラットフォームは全体的に車幅が狭くなっており、その影響はキャンパーとしての室内空間で特に顕著に感じられる。

Volkswagen California eHybrid 4Motion
エンジン1.5 TSI eHybrid 4Motion
排気量1,498cc
最高出力130kW(177PS)/5,500rpm
最大トルク350Nm/1,500rpm
最高速度200km/h
トランスミッション/駆動6速DSG/4WD
バッテリー容量19.7kWh
燃料タンク45L
全長×全幅×全高5,173×1,941×1,972mm
ホイールベース3,124mm
タイヤサイズ215/65R16
スリーピングエリア2,050×1,140mm
室内高(クローズド/オープン)1,297/2,108mm
冷蔵庫37L
オンボードバッテリー80Ah/LiFePO4
水タンク(フレッシュ/排水)29/22L
ベース価格99,574ユーロ(約1,840万円)
テスト車価格107,815ユーロ(約1,990万円)

新しいプラグインハイブリッド4WDの採用により、ハノーファーの開発陣は少なくとも一貫して自ら選んだ方向性を追求しており、乗用車的なフィーリングと日常的な使いやすさを重視する姿勢を明確にしている。この点については評価がわかれるところで、家族それぞれが、この車両をキャンパーバンとして使う頻度と、通常の乗用車として使う頻度をどう考えるかが問われる。もし主に日常の足として使用し、キャンピング用途は時折にとどまると判断するのであれば、新型Volkswagen Californiaはその用途において、より完成度の高い選択肢となる。

キャンピング装備に関しては、ポップアップルーフ、簡易キッチン、回転式フロントシート、そしてリヤシートを展開して作る追加ベッドなど、このクラシックモデルに期待される要素はひと通り揃っている。ただし、新しいベース車両の採用により、いくつかの点は変更された。最も目立つのは、運転席側に追加された2枚目のスライドドアだ。キッチンユニットは運転席よりも大きく後方まで伸びており、乗り降りがしやすくなっている。

洗練された家具デザイン、優れたライティングコンセプト、そして改良されたポップアップルーフ。Californiaは多くの点で依然としてトップクラスの存在である。

折りたたみ式テーブルは、キッチンユニットに室内外の両方で取り付けられるようになった。これにより、屋外で立ったまま調理ができるという実用的な進化を遂げている。その一方で、キッチンスペースはやや縮小され、ガスバーナーは従来の2口から1口へと減らされた。冷凍庫は引き出し式のクールボックスに置き換えられている。29Lの水タンクを備えたシンクは引き続き装備される。全体として、インテリアは非常に上質でスタイリッシュな印象を受ける。Volkswagenは明らかにコストを惜しんでおらず、キャンパーバン分野のリーディングメーカーとしての地位にふさわしい仕上がりとなっている。

水量や照明を管理するデジタルコントロールパネルも好印象で、説得力がある。リヤのベンチシートは2つの独立したシートに置き換えられ、より高い柔軟性が確保された。これらを倒すことで、全長約2m、幅1.06mのベッドスペースが生まれる。

最大の問題点:就寝時の快適性が犠牲になっている

そして、ここで新型Volkswagen Californiaの最大の問題に行き着く。それが就寝スペースだ。このクルマをファミリー向け車両として売り出すということは、父と母がすでにお互いにうんざりしており、もはやダブルベッドを共有しない、という前提に立っているかのようだ。というのも、幅が1mに満たないスペースに、大人2人が快適に寝ることは事実上不可能だからである。少なくとも、快適とは言えない。

幅1.06mのベッドは、残念ながら大人2人で使うにはやや厳しい。惜しい点だ。

残念ながら、ポップアップルーフ内の状況も同様だ。ここでの就寝スペースの幅は1.14mしかなく(T6では1.20mだった)、大人2人が快適に眠るにはあまりにも狭い。さらに、数cm程度しかない薄いマットレスと相まって、この価格帯のキャンパーバンとしては明らかに不十分だ。

ただし、新しいテント生地(ベローズ)は明確な進化点である。2重構造となり、ようやく室内をしっかりと遮光できるようになった。それでも、日常使いを重視した設計の代償は、とくに夜間に顕在化する。3人以上での旅では、どうしても窮屈になる。完成度の高いデザインと緻密な設計、そして期待される装備をほぼすべて備えているだけに、これは惜しい点だ。

走行性能:快適性と最新テクノロジーの融合

非常に快適だ。数多くの運転支援システム、USB-C充電ポート、大型ディスプレイ、Apple CarPlayなどを備え、車両は完全に現代的な仕様となっている。これに新しいパワートレインが組み合わさり、全体として完成度の高いパッケージに仕上がっている。

長く伸びたフロントエンドによって「ブリ(Bulli)」らしさや商用車的なキャラクターは失われたが、乗り心地自体は非常に優れている。

最大95kmの航続距離を誇るEV走行は、とくに市街地走行に適している。航続距離が短いと感じる人もいるかもしれないが、都市部での移動距離の多くは50km未満であることを考えれば十分だ。日常使用において、新型Volkswagen Californiaは事実上の電気自動車となる。もちろん、静かな電動発進は、キャンプ場でも大きな利点となる。

2基の電動モーターが前後のアクスルを駆動し、最大限のトラクションを確保する。これにより、雪道やシャーベット状の路面も問題にならないはずだ。長距離走行では、ターボガソリンエンジンが必要なスタミナを担う。

バッテリー残量が尽きた場合でも、電動リヤアクスルは作動する。必要な電力はTSIエンジンと、この場合は発電機として機能する電動フロントアクスルによって生み出される。このシステムは非常に快適だ。さらに、エコやスポーツといった複数のドライビングプロファイルを通じて、好みに応じた設定が可能となっている。たとえばスポーツモードでは、最大システム出力が発揮され、130km/hまで4WDが維持される。

こうした選択肢を重視し、主に市街地走行と休暇時の旅行用として1台を求める人にとって、Volkswagen Californiaは従来どおり「高品質な妥協点」となるだろう。ただし、新しいパワートレインと新しいベース車両の採用によって、その重心は明確に日常使い寄りへと振れている。

結論

走行快適性という点では、プラグインハイブリッド4WDを備えたVolkswagen Californiaは新たな基準を打ち立て、競合である「Mercedes-Benz Marco Polo」との大きな差を縮めた。キャンパーとしての架装もモダンでスタイリッシュ、高い期待に応える仕上がりだ。しかし、日常使いを重視した代償は小さくない。たとえばベッドは明らかに狭く、ガスバーナーが1口のみのキッチンも、やや簡素に感じられる。

(Text by Jan-Philipp Chluba / Photos by Stefan Rogge Photography)