2025年10月16日、VolkswagenはフラッグシップSUV「Touareg」の現行型を締めくくる特別仕様車「Touareg FINAL EDITION」を発表した。現行型の生産は2026年に終了する予定で、このFINAL EDITIONはそのラストイヤーを飾るモデルとなる。欧州市場では2026年3月末まで受注を受け付け、価格は7万5025ユーロ(約1220万円)からとしている。

23年の歴史に幕を下ろすフラッグシップSUV

Touaregは、Volkswagenが2002年に初代モデルを発売したプレミアムSUVである。セダンの「Phaeton」とともに、同社がプレミアムセグメントに進出するきっかけとなったモデルであり、これまでに世界39カ国で累計120万台以上を販売してきた。ブランドの頂点に位置するラグジュアリーSUVとして、快適性や高い走行性能に加え、最先端の安全・運転支援技術を導入してきたことでも知られる。

今回のFINAL EDITIONは、外装・内装に専用のデザイン要素を採用。リヤドアのウインドウフレームには「FINAL EDITION」の文字がレーザーで刻まれ、シフトレバーのレザー部にも同ロゴがエンボス加工される。上級グレード「Elegance」以上ではマルチカラーアンビエントライトが標準装備となり、イルミネーション付きダッシュボードトリムやサイドシルにも「FINAL EDITION」の銘が浮かび上がるなど、特別仕様にふさわしい演出が施されている。

技術革新で築いた3世代の歩み

初代Touareg(2002〜2009年)は、6段階調整式エアサスペンションや電動式ロールスタビライザーを備えた本格SUVとして登場。最上位の「V10 TDI」は当時のVolkswagenとしては最強エンジンを搭載し、5.0L V10ディーゼル(313PS/750Nm)によって2.5トンの車体を7.8秒で100km/hまで加速させた。水深58cmの渡河性能や45度の登坂能力など、卓越したオフロード性能も備えていた。

2010年に登場した2代目は、全幅・全長を拡大して上級感を強調するとともに、Volkswagen初のハイブリッドモデルを投入。スーパーチャージャー付きV6ガソリンエンジンと電動モーターを組み合わせたシステムは、最高出力380PS、最大トルク580Nmを発生した。これにより8.2L/100kmという燃費を実現し、快適性と環境性能を両立。安全支援システムの拡充も図られ、約48万台を販売した。

現行の3代目(2018年〜)では、スチールとアルミを組み合わせた軽量ボディとデジタル化されたインテリアを採用。先進運転支援「Travel Assist」などの高度な電子制御技術を導入し、プレミアムSUVとしての存在感を確立した。2020年以降はプラグインハイブリッドの「Touareg R eHybrid(462PS/700Nm)」が最上位モデルとして設定され、快適性とパフォーマンスを高次元で両立している。牽引能力は最大3.5トンに達し、実用性でも他の追随を許さない。

記録と伝説を刻んだ名車

Touaregはモータースポーツでも輝かしい実績を残した。ダカールラリーでは「Race Touareg」が2009年から2011年にかけて3連覇を達成し、Volkswagenのオフロード技術を世界に示した。また、2005年には自動運転車「Touareg Stanley」が米国防高等研究計画局(DARPA)のグランドチャレンジで優勝し、自動運転技術の発展に大きく寄与している。

さらに、2006年には「Touareg V10 TDI」がボーイング747(約155トン)を牽引するという前代未聞の挑戦を成功させ、強靱な構造とパワーを証明した。2011年には冒険家ライナー・ツィートロウ氏がV6 TDIで南米ティエラ・デル・フエゴからアラスカまでの全長2万2750kmをわずか11日17時間22分で走破し、耐久性と信頼性の高さを世界に知らしめた。

2002年の誕生から23年、Touaregは技術革新と信頼性の象徴としてVolkswagenの歴史に名を刻んだ。その最後を飾るFINAL EDITIONは、ブランドのプレミアムSUVとしての歩みを象徴する一台となる。

(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen AG)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。