2025年9月10日、ドイツ・ミュンヘンで開催された国際モーターショー「IAAモビリティ」において、フォルクスワーゲン グループは第4回「半導体サミット」を開催し、半導体の調達戦略を明らかにした。
今回の目玉は、米国EVメーカーの「リビアン(Rivian)」、および、フォルクスワーゲン グループ テクノロジーズと共同で開発した新たな調達モデルの発表である。この枠組みは50種類以上の半導体分野を対象とし、調達の効率化やコスト削減、将来のモデルに向けた供給の安定確保を目指すもので、自動車産業における半導体の重要性が一層高まる中、グループが積極的に打ち出す戦略となった。
自動車産業の変化と半導体の重要性
自動車の電動化やデジタル化が進む中で、半導体は車両性能や安全性、ユーザー体験を左右する不可欠な要素となっている。初代「Golf」には約30個の半導体しか搭載されていなかったが、現行モデルでは約8,000個に増加し、最新のEVである「ID.7」では約18,000個にも達する。単なる制御チップにとどまらず、航空宇宙産業並みの高機能を備えた先進半導体の比重も増しており、自動車メーカーにとって調達戦略は経営の根幹をなす課題となっている。
リビアンとの共同調達モデル
今回発表された新しい調達モデルは、フォルクスワーゲン グループとリビアンが設立した合弁会社を通じて進められるもので、欧州および北米のモデルに共通する電子ゾーンアーキテクチャーに基づき、両社のラインナップ全体で利用される予定だ。マイクロコントローラーやパワートランジスター、プリント回路基板など、車両の基盤を支える部品を対象とし、共同調達によってコスト効率と供給安定性を同時に実現する。
リビアンおよびフォルクスワーゲン グループ テクノロジーズの共同CEOであるカーステン・ヘルビング氏は、「両社の専門知識を組み合わせることで、ソフトウェア・ディファインド・ビークル(SDV)開発を見据えた先進的なソリューションを提供できる」と述べ、大規模かつスピーディな展開を可能にする点を強調した。
透明性と回復力を重視した半導体戦略
フォルクスワーゲン グループは過去の半導体不足を教訓に、調達戦略を全面的に見直している。その柱となるのが、複雑さの軽減、需要見通しの透明化、サプライチェーン全体にわたるコンポーネント追跡の仕組みだ。これにより、直接交渉や一括購入によるコスト効率が高まり、技術・ソフトウェア面での調整も迅速化される。さらに、車両性能に直結する重要部品に使用する半導体を明確化し、自社の能力強化につなげている。
フォルクスワーゲン ブランド調達担当取締役のディルク・グローセ=ローハイデ氏は、「新しい調達モデルを通じ、フォルクスワーゲン グループはグローバルなテクノロジー企業としての地位を確立し、信頼できるパートナーとして供給を確保していく」と述べ、積極的な姿勢を示した。
半導体サミットの役割
フォルクスワーゲン グループは2022年から「半導体サミット」を毎年開催しており、今年で4回目を迎えた。IAAモビリティの展示プログラムの一環として実施された今回のサミットには、大手半導体メーカー、自動車部品サプライヤー、研究機関の代表者らが参加し、「Past-Proven. Future-Driven.」をスローガンに掲げて、業界の将来像について議論を深めた。自動車産業と半導体産業の連携拡大は、モビリティの未来に直結するテーマとして注目を集めている。
フォルクスワーゲン グループは世界115カ所の生産拠点を有し、2024年のグローバル販売台数は900万台、売上高は3,247億ユーロに達した。電動化や自動運転、デジタル化、持続可能性への投資を強化する中で、半導体戦略はこれらの取り組みを支える基盤となる。リビアンとの協業を含めた新しい調達体制は、グループの競争力を高めると同時に、業界全体のエコシステム形成に寄与することが期待される。
(Text by 8speed.net Editorial Team / Photos by Volkswagen Group)
※本記事はプレスリリースをもとに、一部AIツールを活用して作成。編集部が専門知識をもとに加筆・修正を行い、最終的に内容を確認したうえで掲載しています。