Volkswagenが最高のマーケティング用語で「ロックスター」と宣伝する「T-Roc」のニューモデルの登場だ。ウォルフスブルクのこのクルマはロックスターではないが、200万台以上が生産された初代T-Rocは大ヒット商品であることは確かだ。
7年以上を経て、より大きく、よりモダンになった後継モデルが登場。このコンパクトSUVは11月から出荷が開始される。
価格:30,845ユーロ(約530万円)から
新しいT-Rocは、4つの装備ライン(Trend、Life、Style、R-Line)で注文可能。価格は1.5 eTSI(85kW/115PS)が30,845ユーロ(約530万円)からで、初代「T-Roc 1.0 TSI(マニュアルトランスミッション)」の30,065ユーロ(約517万円)よりも高くなる。それでも、ベストセラーになることは変わらないだろう。
デザイン:T-Rocが大人になった
全長4.37mの新型T-Rocは、前モデルよりも12cm以上も長くなり、ホイールベースも3cm近く伸びて2.63mになった。T-Rocは大人になったのだ。
外観は、その兄貴分である「Tiguan」と「Tayron」に共通のフロントとリヤに連続したライトバーとイルミネーション付きVWロゴ(要追加料金)、最大20インチのホイール。そしてT-Rocの特徴であるブラックのコントラストルーフ(オプション)はそのまま残っている。写真のR-Lineの車両は、人目を引く「カナリアイエローユニ」のボディカラーで、このルーフと完璧に調和している。多くの顧客が実際にT-Rocをイエローで注文するかどうかは、今後明らかになるだろう。
新型ではディーゼルエンジンが選べない
まず、T-Rocは2種類の1.5Lガソリンエンジン(116PS、220Nmまたは150PS、250Nm)を搭載する。いずれもマイルドハイブリッドで、前輪駆動と7速DSGを搭載しており、マニュアルトランスミッションは設定されない。
2026年以降、Volkswagenはトヨタの領域に進出する。すでに2種類のフルハイブリッドが発表されている。短期間販売された「Volkswagen Jetta」を除いて、これまでVolkswagenはフルハイブリッド車をラインナップしていなかった。ここでも1.5L 4気筒エンジンがベースとなり、出力は136PSまたは170PSだ。どのトランスミッションが採用されるかは未定で、現時点ではVolkswagenはハイブリッドモジュールについてのみ言及している。
また、2026年には204PSの「2.0 TSI」と4WDモデルが続き、2027年にはトップモデルの「T-Roc R」が発売される予定だ。そしてディーゼルは……選べない!
インテリア:ステアリングホイールボタンが復活
インテリアは、本当にエキサイティングな部分だ。操作性と素材の選択は、これまでVolkswagenの弱みとされてきた。その批判を真摯に受け止めたことは、とてもうれしいことだ。
新型T-Rocでは、不満をいう余地はほとんどない。嫌われていたステアリングホイールのタッチパネルは、他の最新のVolkswagenモデルと同様、従来のボタンに置き換えられた。音量調節ボタンも、ドライビングエクスペリエンススイッチに組み込まれて復活している。インフォテインメントは「MIB4」をベースにしており、反応が速く信頼性が高く、クイックアクセス機能により操作が簡単になっている。まさに理想的だ!
素材の選択も、ようやく適切になった。高級な生地がダッシュボードを覆い、フロントドアパネルは発泡材で覆われ、傷が付きやすいピアノブラックは見当たらない。
コックピットは整頓され、明確に構造化され、環境に配慮して製造されている。なぜなら、各T-Rocには40kgのリサイクル素材が使用されているからだ。素敵なディテール:センターコンソールのスマホ充電トレイにピクトグラムの形で施された小さなイースターエッグも見逃せない。
初登場:ヘッドアップディスプレイ
注目すべきはドアオープナーがドア上部のエリアからアームレストに移動したこと。10インチのデジタルメーターと10.4インチまたは12.9インチのインフォテインメントタッチスクリーンに加え、T-Rocでは初めてヘッドアップディスプレイがオプションで利用可能になった。加えて、アシスタンスシステムも強化された。T-Rocは、今後、車線変更のサポートが可能になり、「Park Assist Pro」により、自動で駐車および出庫もできるようになった。
フロントシートは広々としていて、後部座席も狭さを感じることはない。ただし、ホイールベースが3cm長くなったことは、あまり実感できない。それでも、トランク容量は20L増え、465Lになった。
結論
デザインに実験的な要素はないが、その代わりに、より広いスペースと優れたインテリアが提供されている。市場投入時点には、エンジンラインナップは少ないが、徐々に拡大される予定だ。ディーゼルエンジンを好む人は、残念ながら選択肢がない。結論として、Volkswagen T-Rocは、優れた総合パッケージを提供しているといえる。
(Text by Jan Götze / Photos by Volkswagen AG)