スポーツモデルのポテンシャルを引き出すには、それに見合うタイヤ選びが重要だ。数あるスポーツタイヤのなかから、今回紹介するのが、高次元のハンドリング性能とブレーキ性能を両立するTOYO TIRESのプレミアムスポーツタイヤ「PROXES Sport 2(プロクセス スポーツツー)」。これをホットハッチの代名詞である「Golf R」に装着し、その実力を確かめた。

Golf Rにふさわしいスポーツタイヤの条件とは

ワインディングロードを駆け抜けたり、スポーツドライビングに汗を流したりと、スポーツモデルの楽しみ方はさまざまだが、街乗りもロングドライブも一台でこなすオールラウンダーのGolf Rにとっては、ドライ路面での高いグリップだけでなく、軽快なハンドリングやドライ/ウェットのブレーキ性能、さらには快適性などを兼ね備えるプレミアムスポーツタイヤが理想といえる。

そんなスポーツカー乗りの要望を満たしてくれるのが、TOYO TIRESのPROXES Sport 2である。「PROXES」はTOYO TIREがグローバル・フラッグシップタイヤブランドと位置づける重要なシリーズ。なかでも、Golf Rをはじめとするヨーロッパのスポーツカーにふさわしい性能を誇るのが、プレミアムスポーツタイヤのPROXES Sport 2である。

PROXES Sport 2がとくに重視するのは、高次元のハンドリング性能とブレーキ性能を両立。いつもの街角を曲がった瞬間にもスポーツを感じ、また、あらゆる路面、天候にも安心してドライブを楽しめるブレーキ性能を追い求めたというわけだ。

PROXES Sport 2を開発するにあたっては、スポーツカーの聖地として知られるドイツ・ニュルブルクリンクで開催される耐久レースに参戦し、その厳しい環境下で得られた知見を市販タイヤの開発に生かすことで、目指す性能を実現したという。

ふたつの非対称が生み出すハイレベルな走り

さまざまな性能を高い次元で両立するために、PROXES Sport 2が採用するのが“非対称トレッドパターン”と“非対称トレッドコンパウンド”。つまり、タイヤのイン側とアウト側で、別々のレッドパターンとコンパウンドを使用し、それぞれ異なる特性を持たせているのだ。

たとえば、アウト側では、大きなパターンを形づくる“高剛性リブ”や、“リジッドコンパウンド”と呼ばれる剛性の高いゴムにより、ハンドリング性能を向上させている。

一方、イン側は、エッジのある縦溝“トラクショングループエッジ”や、柔軟性に優れるゴムである“フレキシブルコンパウンド”により、ドライ/ウェット時のグリップを高める。さらに、フレキシブルコンパウンドは、ミクロレベルで路面の凹凸に追従し、接地性を高めるという役割を果たす。

さらに、サイド部のたわみを最適化する新プロファイル形状が、レーンチェンジやコーナリングの際にタイヤの変形を抑えることで、ハンドリング性能の向上に寄与する

こうした取り組みが功を奏して、PROXES Sport 2は従来品(PROXES Sport)に比べて制動距離が、ドライ路面で4%、ウェット路面で16%短縮したという。

ロングドライブで実感する楽しさと安心

PROXES Sport 2の実力をチェックするため、今回はGolf RにDCCパッケージ装着車と同じ235/35R19を装着してロングドライブに出かけることにした。

走り出してすぐに気づくのが、プレミアムスポーツタイヤの“プレミアム”な性格だ。街中を走るペースでも、スポーツタイヤ特有のザラついた感触ではなく、しっとりと路面を捉える感じが実に心地よいのだ。乗り心地にも硬さはなく、さらに、ロードノイズもスポーツタイヤとしては控えめで、快適なドライブが楽しめるのは、良い意味で期待を裏切ってくれた。

一方、街中の交差点でもスポーツタイヤとしてのポテンシャルを垣間見せる。ステアリングの動きにあわせて素直に向きを変え、PROXES Sport 2がもたらす軽快さが、いつもの街乗りさえもスポーティに彩ってくれるのである。

高速道路に入り、スピードを上げていくと、直進性に定評のあるGolf Rと、センターフィールに落ち着きがあるPROXES Sport 2の組み合わせが、ドライバーをリラックスさせ、ロングドライブでも疲れ知らず。速度域が上がるにつれて、タイヤと路面とのコンタクトがさらにスムーズさを増すのは、タイヤのイン側に配されるフレキシブルコンパウンドが効いているのだろう。

高速道路を走行中に、突如、豪雨に見舞われることもあった。道路上には水たまりができている場所もあるほどだったが、挙動が乱されることはほとんどなく、安心してペースを維持できたのには驚くばかりだった。

街中でも感じていた軽快さは、ワンディングロードでは確信に変わる。ステアリングの操作に対して、間髪入れずにクルマがインに向かうというか、クルマが積極的に曲がりたがるような動きを見せるのだ。コーナーからの脱出に向けてアクセルペダルを踏むと、タイヤがしっかりと路面を捉え、Golf Rの2.0 TSIのパワーを余すところなく加速に変えていくのがわかる。この一連の動きこそ、PROXES Sport 2を手に入れたGolf R一番の魅力といっても過言ではない。

無事にロングドライブを終え、PROXES Sport 2が重視する軽快なハンドリング性能やウェットでの安定性に加えて、スポーツタイヤとしては期待以上の乗り心地の良さ、そして、静粛性を実感。試乗を通じて、プレミアムスポーツタイヤを名乗るのにふさわしい実力の持ち主であることが確認できた。

あらゆるシーンでドライビングプレジャーを加速し、安心と快適さを提供するPROXES Sport 2は、スポーツカーの楽しさを満喫するには打ってつけのアイテムといえるだろう。ぜひ、読者の皆さんも、その実力を試してほしい。

Golf Rなどスポーツモデルはもちろんのこと、Audi Q3 Sportbackなどのようにスポーティな走りが楽しめるSUVにも、PROXES Sport 2は打ってつけだ。

(Text by Satoshi Ubukata)

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