3代目に生まれ変わったミッドサイズSUV「Tiguan」をドイツで試乗。待望のTDI×4MOTION仕様の仕上がりは?

フルモデルチェンジにより3代目に生まれ変わったTiguanは、新型「Passat」同様、MQB evoアーキテクチャーを採用する最新世代のフォルクスワーゲンだ。従来に比べてボンネットの位置を高くすることでSUVらしさを強める一方、15インチの大型タッチディスプレイを用いたインフォテインメントシステムのMIB4や、DCC Pro、プラグインハイブリッドシステムなどの採用により、より魅力的なクルマに進化したという。

新型の概要については上記のニュースをご覧いただくとして、今回、「Volkswagen Driving Experience」の協力のもと、ドイツで「Tiguan TDI 4MOTION R-Line」に試乗することができた。

“バーシモンレッドメタリック”のボディカラーにブラックのアクセントが鮮やかな試乗車は、細いラジエターグリルやシャープなヘッドライト、それらを結ぶLEDライトストリップで構成されるフロントマスクが、最新のフォルクスワーゲンであることを物語っている。先代に比べてすっきりとしたデザインには威圧感や嫌みがなく、実に好感が持てるのもフォルクスワーゲンらしいところだ。

エクステリア以上に様変わりしたのがコックピットだ。デジタルメーターの「Digital Cookpit Pro」は“庇(ひさし)”がないデザインになり、その隣には15インチの「Discover Pro Max」のタッチパネルが鎮座したことで、一気にモダンな雰囲気となった。センターコンソールからシフトレバーが消え、かわりにステアリングコラムの右側にステアリングコラムスイッチが設けられたのも新しい。

Tiguanの全長は先代よりも30mm長い4540mm(R-Lineの場合)だが、ホイールベースは従来と同じ2675mm。それでも後席は大人が座っても余裕たっぷりで、前後スライドやリクライニングが備わるのもうれしいところだ。ラゲッジスペースは、後席を使用している状態で奥行きが約90cm、後席を倒せば150cm超えのスペースが現れ、ボディサイズ相応の収納スペースが確保されている。

試乗車に搭載されるのは、EA888 evo TDIと呼ばれる最新の2L直噴ディーゼルターボエンジンで、最高出力142kW(193ps)、最大トルク400Nm(40.8kgm)の実力を誇る。排ガス中のNOxを低減するために、SCR触媒コンバーターを2個直列に配置した“ツインドージング”システムを採用しているのもこのエンジンの特徴だ。これに7速DSGが組み合わされ、4WDの4MOTIONにより4輪を駆動する。

さっそく走り出すと、すぐにTDI×4MOTIONの高い実力に感心する。2.0LのTDIエンジンは、動き出しから余裕ある加速を見せ、アクセルペダルの動きに素早く反応。街中をドライブするには打ってつけの性格だ。

しかもこのTDIエンジンは、先代に比べて明らかにノイズや振動が抑え込まれており、走行中の快適さが向上している。エンジンの洗練度はクラストップレベルといって良いだろう。

アウトバーンの合流や追い越しの場面でアクセルペダルを深く踏み込めば、4500rpmを超えたあたりまでスムーズで力強い加速が続くのも実に頼もしい。

試乗車には可変ダンピングシステムのアダプティブシャシーコントロール“DCC Pro”が装着されていたが、その効果は期待どおり。重心が高いSUVにもかかわらず、走行中の挙動は落ち着いていて、アウトバーン走行時のフラット感も上々。さらに、直進安定性の良さは4MOTIONならではといったところだ。

R-Lineということで255/40R20サイズのタイヤが装着され、その硬さが気になる場面もあったが、乗り心地はマイルドで快適性も概ね良好。「これが18インチタイヤだったらさらに乗り心地が良いかもしれない」と考えると、日本仕様の「Tiguan TDI 4MOTION Elegance」を試す日が待ち遠しい。

残念ながら今回はオフロード走行を試すチャンスはなかったものの、少なくともオンロードでは仕上がりの良さが感じ取れた新型Tiguan。TDI×4MOTIONに復活により、アクティブなライフスタイルの持ち主にとっては、格好のパートナーとなるに違いない。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Volkswagen Japan)