フォルクスワーゲン本社のあるドイツ・ウォルフスブルクで「GTI Fanfest」が初開催。熱気に包まれた会場の様子をレポートする。

2024年7月26日〜28日、ウォルフスブルクはいつも以上に多くのGolfとファンで溢れていた。1982年からオーストリアのヴェルター湖畔で開催されてきた「GTIミーティング」に代わるイベント、「GTI Fanfest 2024」がサッカースタジアム「Volkswagen Arena」とその周辺で行われたのだ。

イベントのテーマは「Icons Coming Home」。Golfの誕生から50年を迎えた記念すべき年に、フォルクスワーゲンの象徴であるGTIが、生まれ故郷のウォルフスブルクに里帰りするのを祝い楽しむというものだ。

イベントの主役は、もちろんGolf GTIをはじめとするフォルクスワーゲン車のオーナー。Volkswagen Arenaの第1・第2駐車場には700台限定のスペースが用意され、ドイツをはじめ、ヨーロッパ各地から駆けつけた参加者が自慢の愛車を披露。その様子や他のプログラムを見るために、計2,500台、15,000人以上のファンが会場に詰めかける。周囲の道路では、一時大渋滞が発生するほどの混雑ぶりで、渋滞の最後尾車両がイベントにまにあうのか、心配になるほどである。

さっそく指定の駐車場を覗いてみると、もちろんそのほとんどがフォルクスワーゲン車ではあるが、初代Golf GTIの多さに驚かされる。1976年に誕生し、1983年まで生産された初代Golf GTI。GTIではない普通の初代Golfを含めて、ほぼ50年前のクルマだというのに、大切に乗られているものがこれほど残っているとは、あらためてGolf1 GTIの偉大さとオーナーの愛を感じずにはいられなかった。

指定駐車場にはいまや日本ではあまりお目にかかれないGolf2 GTIやGolf3 GTIから、最新のGolf8 GTI/R、さらにはPolo GTIやLupo GTI、Sciroccoといったモデルが並び、私を含め、来場者の目を楽しませてくれる。一方、以前、ヴェルター湖畔のGTIミーティングでは相当数のAudiを見かけたが、フォルクスワーゲンの故郷で開催されるGTI Fanfest 2024ではすっかり少数派になってしまった。ド派手なカスタマイズドカーもその数が減った印象だ。

それ以上に様変わりしたのが会場の雰囲気。これまでは点在する駐車スペースに仲間が集まり、大音量の音楽をならし、BBQで盛り上がる姿がいたるところで見られたのだが、ここGTI Fanfestでは参加車両が整然と駐車し、落ち着いた雰囲気で仲間や来場したファンとの会話を楽しんでいる。

参加者のなかには、この行儀の良さや、夜9時には会場が閉鎖されることに寂しさを訴える人もいたが、昼夜を問わずお祭り騒ぎをした結果、GTIミーティングが継続できなくなったことを考えると、GTI Fanfestを持続可能なイベントとするにはやむをえない措置。一方、見学する立場としては、むしろ落ち着いた雰囲気で参加者とコミュニケーションが図れるのがうれしく、おかげで、たくさんの参加者に話しかけることができた。

一方、Volkswagen Arenaの外周には、フォルクスワーゲンをはじめ、パーツメーカー、オーナーズクラブなどが展示を行い、指定駐車場とはまた違う熱気に包まれていた。Volkswagen Classicによる「50 Years of Sporty Golf」も一般に公開された。Volkswagenの公式ショップも盛況で、イベントのために制作された記念Tシャツは、初日に2000枚が完売になったという。名物“カリーブルスト”のキッチンカーはいつも長蛇の列。27日の夕方には、隣接するAutostadt(アウトシュタット)でライブが行われ、昼間とはまた違う盛り上がりを見せた。

特設ステージでは、来場者が愛車とともに登壇し、愛車自慢が繰り広げられた。

最終日には、フォルクスワーゲン本社工場内を参加車両がパレードランし、イベントはフィナーレを迎える。

フォルクスワーゲンでは、今回の参加者や来場者の声をもとに、今後、GTI Fanfestを継続するかどうかを検討するということだが、ぜひとも定期的にこのような里帰りイベントを開催してほしいと思う。

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(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Volkswagen Japan, Volkswagen AG, Satoshi Ubukata)