フォルクスワーゲンは2024年3月29日、ちょうど50年前の本日、ウォルフスブルグで「Golf」の量産が開始され、現在までに3,700万台以上が販売されたことを発表した。これは過去50年間、世界中で毎日2,000人以上のユーザーが新しいGolfを購入したことを意味する。

初代Golfは、1974年7月にディーラーのショールームに登場。それ以前は、2,150万台以上生産され、何十年にもわたってリヤにエンジンを搭載した「Beetle」が販売の主力となっていたが、フロント横置きエンジンの時代が到来したことを意味する。

Volkswagen reinvents itself.

「Beetle」の後継車としてジョルジェット・ジウジアーロ氏とフォルクスワーゲン デザインによって開発されたGolfに対して、ユーザーはモダンなドライブコンセプト、多用途なインテリア、新しいデザインに感銘を受け、1976年10月までに100万台のGolfが生産されることとなった。

The Golf principle.

1974年、フォルクスワーゲンは、大きなテールゲートを備えた新しいクルマについて「“Golf”は最大限のスペースと安全性を提供します。そして、妥協なく実用性を追求しました。低いベルトラインはドライバーにクリアな視界をもたらし、傾斜したボンネットは車両のすぐ直前の道路の状態を確認することができます。リヤウィンドウは、低い位置まで伸びているため、後退時により良く後方を確認することができます」とアピール。これは現在までに製造されたすべてのGolfに当てはまる。

The Golf and the factory.

ウォルフスブルグのフォルクスワーゲン工場とその従業員も、初代Golfの順調なスタートにより恩恵を受けた。現在までに、ウォルフスブルグだけで2,000万台以上のGolfが生産されている。これまでにドイツの他の工場に加え、ベルギー、ブラジル、中国、マレーシア、メキシコ、スロバキア、南アフリカなど、ウォルフスブルグ以外の場所でも1,700万台のGolfが生産された。

Golf I – A reflection of progress.

初代「Golf GTI」(1976年)で、フォルクスワーゲンはコンパクト クラスにダイナミックな走行性能を備えたクルマを導入。「Golf D」(1976年)と、その後の「Golf GTD」(1982年)では、コンパクト セグメントの車両にディーゼルエンジンを搭載して、画期的な進化を遂げた。1979年、フォルクスワーゲンは「Golf Cabriolet」を発売し、一時は世界でもっとも多く販売されたオープンカーとなった。初代Golfは派生モデルも含めて、1983年までに世界中で合計690万台が販売され、初代Golfが「Beetle」の後継者としてふさわしいことを証明した。

Golf II – The milestone.

現在のフォルクスワーゲン ブランド チーフデザイナーであるアンドレアス・ミント氏は「それは、初代“Golf”から2世代目“Golf”への切り替え時でした。当時、フォルクスワーゲン チーフデザイナーを務めたヘルベルト シェーファーの判断は全て正しかった。シェーファーは2世代目で“Golf”をアップデートしましたが、初代のDNAはそのまま残しました。このDNAの継承とは、“Golf”の歴史において非常に重要なことです。歴代“Golf”は、常にこのオリジナルモデルをさらに発展させたものであり続けています。それが“Golf”が特別な車である理由であり、この功績はヘルベルト シェーファーにあります」と述べている。 酸化触媒、ABS、4輪駆動などのテクノロジーは、2世代目Golfで初登場している。Golf IIには初めてワゴンタイプも設定されている。1983年から1991年の間に、合計630万台の2世代目Golfが生産された。

Golf III – Safety first.

1991年8月から販売された3世代目Golfで、フォルクスワーゲンは、安全性の新時代をスタートさせている。1992年からはフロント エアバッグを備えた最初のGolfがラインナップされ、ボディ設計の分野における大きな進歩により、衝突安全性も大幅に向上。歴代Golfの他のマイルストーンの多くは、1997年までに480万台が生産された3世代目Golfに搭載されている。その一例は、初の6気筒エンジン(VR6)、クルーズコントロール システム、初のサイド エアバッグなどが挙げられる。

Golf IV – The style icon.

1997年に発表された4世代目Golfは、今日に至るまでスタイルアイコンとみなされている。このモデルはGolfラインナップの明確な特徴となっているCピラーのデザインにより、1974年に登場した初代Golfとの繋がりを強く印象付けるモデルだ。同時に、ESPを搭載したことによって、安全に関するテクノロジーの大衆化にも貢献した。2002年、フォルクスワーゲンは、第4世代をベースにした最高速度250km/hを誇る「Golf R32」を発表。2003年には、フォルクスワーゲンとして初めてダイレクト シフト ギアボックス(DSG)を採用している。4世代目Golfは490万台が生産された。

Golf V – Class limits abolished.

2003年に発売された5世代目のGolfは、レーザー溶接されたボディにより、ねじり剛性が35%向上して、スタビリティが強化された。また、初めて最大8個のエアバッグも搭載された。2008年までに340万台が生産された5世代目Golfには、新しい4リンク リヤ サスペンション、バイキセノン ヘッドライト、初の7速DSGが搭載された。

Golf VI – High-tech compact class.

2008年に導入された第6世代のGolfは、2012年7月末までのわずか4年間で、360万台が生産された。先代モデルと同様にレーザー溶接されたボディは、高いスタビリティを備えており、ユーロNCAP衝突安全テストで最高の5つ星を獲得。このモデルは、ライトアシスト(高度なメインビーム コントロール)、パーク アシスト、ヒルスタート アシスト、アダプティブ シャシー コントロール(DCC)などの新技術により、その当時のもっとも先進的なコンパクトカーの1台として、2009年の「ワールド カー オブ ザ イヤー」を受賞した。

Golf VII – Less weight, less consumption.

2012年9月、フォルクスワーゲンは7世代目Golfを世界初公開した。先代モデルに比べて重量が最大100kg軽減され、燃料消費量も最大23%削減された。一連の運転支援システムには、オートマチック ポストコリジョン ブレーキシステム、アダプティブ クルーズ コントロール、シティ エマージェンシー ブレーキ システムを含むフロント アシストなどの新しいテクノロジーが採用されている。そして2014年、「e-Golf」を発表。e-モビリティの時代へと舵を切った。7世代目Golfは2019年までに合計630万台が生産された。

Golf VIII – The progressive modern era.

2019年10月には8世代目のGolfが発表された。新しいマイルド ハイブリッド ドライブとプラグイン ハイブリッド ドライブを搭載し、コンパクトクラスの電動化を実現。また、トラベルアシストによる運転支援システムを搭載した最初のコンパクトカーの1台となった。エントリーレベルのバージョンでも、レーンアシスト、フロントアシスト、LEDヘッドライト、LEDテールライト クラスター、オート エアコンディショナーなどの機能が標準装備された。オプションのアダプティブ シャシー コントロール DCCおよびビークル ダイナミクス マネージャーと組み合わせることで、8世代目のGolfは、快適性重視の設定とダイナミックな設定を、このクラスでは前例のないレベルで幅広く調整することが可能だ。8世代目のGolfは、これまでに100万台以上が販売されている。

そして今回、2024年に第8世代のGolfが新たな進化を遂げた。新型Golfは、次世代のインフォテインメント システム、より直観的な操作コンセプト、よりシャープなフロントおよびリヤエンドのデザイン、そしてより効率的な駆動システムを特徴としている。

新しいラインナップには、電動モードの航続距離が100kmを大幅に超える、プラグインハイブリッド ドライブも含まれる。また、Golfでは初めて、イルミネーション付きのフォルクスワーゲン ロゴ2がフロントに装着されている。さらに、ボイスコントロールとAIベースのチャットボット、ChatGPTを利用可能な新しい機能も搭載される。

(Text Toru Matsumura)