フォルクスワーゲン グループは2024年3月20日、フォルクスワーゲンは、自動運転の分野でモービルアイ(Mobileye)とのパートナーシップを強化していると発表した。
両社は協力して、新しい自動運転機能を量産車に導入予定だ。モービルアイは、「Mobileye SuperVision」および「Mobileye Chauffeur」プラットフォームに基づいて、部分的および高度な自動運転のためのテクノロジーを提供する予定だ。
将来的には、アウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェの各ブランドは、これらのテクノロジーを使用して、すべてのパワートレイン・タイプのモデルに、プレミアム指向の運転機能を迅速に導入する予定だ。これには、許可されたエリアおよび条件で、複数車線の高速道路における自動追い越し、赤信号や一時停止標識での自動停止、交差点やロータリーでのサポートなど、高速道路や市街地走行のための高度な支援システムが含まれる。
モービルアイは自動運転用のさらに高度なテクニカル コンポーネントをフォルクスワーゲン商用車に供給する予定であり、長期的には、フォルクスワーゲン グループは、完全に独自に開発した社内システムを採用することを目指している。なお、すべての運転支援システムは、フォルクスワーゲン傘下のカリアドが開発したソフトウェア アーキテクチャーをベースとしている。
フォルクスワーゲン グループおよびポルシェAG最高経営責任者(CEO)のオリバー ブルーメ氏は「私たちの目標は、最先端のテクノロジーを備えた優れた製品を世界中のお客様にお届けすることです。新しい自動運転機能により、利便性と安全性が大幅に向上します。私たちのブランドや製品に合わせたこれらの機能により、あらゆるドライブを、これまで以上にパーソナライズできるようになります。私たちは、一流のパートナー企業のモービルアイとともに、この自動車の未来を一緒に形成していきます」と述べている。
フォルクスワーゲン グループとモービルアイは、先進運転支援システムに関して、既に協力関係にあり、将来的にはモービルアイはフォルクスワーゲン グループ内でレベル2の自動運転機能(「部分自動運転」)を強化したテクノロジーも提供する予定だ。
さらに、レベル3の自動運転機能(「高度な自動運転」)についてもモービルアイと協力している。レベル3では、指定されたエリアで車両が一時的に運転操作を引き継ぐことができ、ドライバーはシステムを継続的に監視する必要がない。フォルクスワーゲンとモービルアイは、これらのテクノロジーを、傘下ブランドの共通システムとして共同開発中だ。
また、モービルアイは、プレミアム指向の新しいE3 1.2ソフトウェア アーキテクチャー向けに、量産可能な特定の機能も、フォルクスワーゲングループ内でアウディ、ベントレー、ランボルギーニ、ポルシェが段階的に導入する予定となっている。
フォルクスワーゲン商用車ブランドには、レベル4(「完全自動運転」)を実現するためのソフトウェアとハードウェアが、モービルアイから供給される予定だ。フォルクスワーゲン グループの子会社であるフォルクスワーゲンADMTは、フォルクスワーゲン「ID. Buzz.(アイディ. バズ)」をベースにした電気自動車開発プラットフォームに、これらのコンポーネントを実装することとなる。フォルクスワーゲンADMTの目標は、自動運転機能を備えた「ID. Buzz」を、モビリティおよび輸送サービス向けに量産することにある。
モービルアイ社長兼CEOのProf. アムノン シャシュア氏は「私たちは、フォルクスワーゲン グループと緊密に連携して、運転の未来を、より安全に、より自動化し、より価値あるものにすることに誇りを持って取り組んでいます。フォルクスワーゲン グループは、これらのプログラムを通じて、AIを活用した先進運転支援技術を世界中の消費者に提供し、自動運転車による新しいサービスを開発するという点で業界をリードしています」と述べている。
フォルクスワーゲン グループ、運転支援システムの開発戦略を強化
将来のE3 2.0アーキテクチャーの開発に向けて、フォルクスワーゲン グループは、そのリソースと開発責任をソフトウェア子会社のカリアドで強化し、統合することを計画中だ。
カリアドはボッシュと協力して、グループ独自の完全なシステムの開発を目指している。このシステムは、将来的に、電気自動車専用に開発され、完全にデジタル化され、拡張性の高いメカトロニクス グループのプラットフォーム、スケーラブル システムズ プラットフォーム(SSP)に統合されることになる。
フォルクスワーゲン グループ研究開発責任者で、ポルシェAG研究開発担当取締役を兼任するミヒャエル シュタイナー氏も「私たちはお客様重視の姿勢をさらに強化すると同時に、運転支援システムの開発戦略を強化しています。迅速かつ信頼性の高いシステムの供給に注力しています」と述べている。
(Text Toru Matsumura)