フォルクスワーゲン Golf 5/Golf 6/Golf 7:祝「フォルクスワーゲン Golf」50周年!ドイツの中古車市場に見るGolf直近3世代の状況と魅力。中古車を買うなら「フォルクスワーゲン Golf」だ。

Photo: Christoph Boerries / AUTO BILD

2024年に誕生50周年を迎える「フォルクスワーゲン Golf」は、世界でもっとも成功したクルマのひとつである。1974年の発売以来、8世代にわたって3,500万台以上が販売されてきた。しかし、すべての世代が同じように顧客に支持されてきたわけではない。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

特に2003年以降に販売された5代目は、丸みを帯びたモダンなデザインがGolfの購買層には受け入れられず、苦戦を強いられた。生産開始から約6年が経過し、販売台数もそこそこだったため、全面的なモデルチェンジが必要となり、「Golf 6」が華々しく登場した。「Golf 6」は「Golf 5」と同じプラットフォームをベースにしていたため、今日までしばしば「Golf 5のフェイスリフト」と呼ばれている。より印象的なフォルムと数々の最適化により、広く受け入れられ人気となった。

2012年から生産された「Golf 7」は、より大きく、より広く、より軽く、より効率的なデザインに焦点を当てた。成功のチャンスを逃さないため、フォルクスワーゲンは現在も多くのモデルに使われているMQBプラットフォームを採用した。特筆すべき弱点がほとんどなく、首尾一貫したデザインと「Golf 8」へ続く急進的なデジタル化により、「Golf 7」は今日に至るまで絶大な人気を誇っている。

フォルクスワーゲン Golf 5/Golf 6/Golf 7:の中古車概要を「Golf 7」から順に詳しく見ていこう。

フォルクスワーゲン Golf 7

2016年末、Golf 7はフェイスリフトされ、新しいLEDヘッドライトと新しい1.5 TSIガソリンエンジンが搭載された。走りはやや荒いが、非常に効率的だ。Photo: Tobias Kempe

◎Golf 7:リスクは低いが中古価格は高い
・製造期間:2012年〜2021年
・パワー:85~310ps
・推奨エンジン:1.5 TSI 130ps
・平均燃費:16.9km/L
・価格:14,000ユーロ(約225万円)〜

新しいMQBワンダーキットは、初代「Golf 7」が世に出る前からその名を轟かせていた。新しいプラットフォームは、重量も軽く、広いスペースを確保できるため、全長4.30メートルほどのGolfには最適であった。Golfほどスペースを賢く利用できるコンパクトカーはこれまでのところ他にほとんどないため、ライバルは比較テストで負けることが多々あった。

その上、「Golf 7」はさらに静かで快適だった。特にマルチリンクリヤアクスル(122ps出力)を備えたウォルフスブクルク製コンパクトモデルは、オプションのDCCサスペンションがなくても、非常に自信に満ちたハンドリングと優れたサスペンションの快適性を示している。また、長年にわたり、天然ガス、ハイブリッド、電気駆動など、多くのエンジンオプションが登場してきた。

弱点:荒いDSGは長い間問題だったが、フェイスリフト(2016年末)以降は改良が進み安定している。タイミングベルトの寿命は20万km以上。しかし、遅くとも10年後には交換する必要がある。古い中古車の場合は、すでに交換済みかどうかの確認が必要だ。

フォルクスワーゲン Golf 6

フォルクスワーゲンはGolfで初めてDCCアジャスタブルシャシーをオプション設定した。その他、バイキセノンヘッドライトやパーキングアシストなどのアシスタンスシステムなど、新しいギミックが盛り込まれた。Photo: Roman Raetzke

◎Golf 6:より好ましく、より成熟したモデル
・製造期間:2008年〜2012年
・パワー:80~270ps
・推奨エンジン:122 psの1.4 TSI
・平均燃費:14.7km/L
・価格:5,500ユーロ(約88万円)〜

「Golf 6」が本当に快適になったのは、改良が非常に包括的だったからだ。とりわけ、フォルクスワーゲンはサスペンションを最適化し、Golfで初めてアジャスタブルダンパーをオプション設定した。ボディ全体の断熱フォームやドアシールの改良により、車内の静粛性も向上し、コンパクトなGolfは長旅のパートナーとしてふさわしいものとなった。ダッシュボード、ステアリングホイール、多くのスイッチ類、そしてシートも一新され「Golf 5」の面影はほとんどない。

弱点:「EA111」ではタイミングチェーンが弱点だ。とはいえ、お勧めは「1.4 TSI」で、調和がとれていて効率的なターボは、運転するのが楽しくなる。定期的なオイル交換とメンテナンスが必要。これが面倒だという人は、タイミングベルトとインテークマニホールド噴射の「Golf 6」の初期モデルを選ぶこともできる。「1.8 TSI(160ps)」と「GTI(211ps)」の「EA888」エンジンは、もっとも高価なウィークポイントである。オイルスクレーパーリングが不適切だと、極端なオイル消費を引き起こす可能性がある。修理には3,000ユーロ(約48万円)かかる。

厄介なことに、マッドガードのフォームウェッジが水を吸い込み、マッドガードとの接触部に錆が発生することがある。フロントとリヤのホイールアーチも同様で、シルにつながる部分に汚れが溜まる。

フォルクスワーゲン Golf 5

2003年、PQ35プラットフォームを採用した「Golf 5」が登場し、豊富な安全技術、優れた走行性能、経済的な駆動システムで印象付けた。Photo: Werk

◎Golf 5:エレガントではないが、非常にモダン
・製造期間:2003年〜2008年
・パワー:75~250ps
・推奨エンジン:102psの1.6
・平均燃費:13.3km/L
・価格:2,900ユーロ(約46万円)〜

顧客は、ぽっちゃりして、ふくよかな「Golf 5」を好きになれなかった。それが、販売台数が予想を下回った理由である。しかし、技術的な観点からは「Golf 5」の進化は印象的だった。ツイストビームの代わりに洗練された4リンク式リヤアクスルが初めて採用され、ドライビング挙動とサスペンションの快適性が新たなレベルに引き上げられた。

また、「Golf 5」が堅実な性能を持っていることは、インテリアの仕上がりの高さだけでなく、AUTO BILDの耐久テストでも証明された。20万kmを走行した後でも、目立った弱点は見られなかったのだ。

弱点:2005年末からターボチャージャーとスーパーチャージャーが装備され、その豊かなトルクカーブで一躍有名になった。その直後、経済的でパワフルなダウンサイジングエンジンの良いイメージは、特に頻発するタイミングチェーンの伸びによって大きく損なわれた。この問題は今日まで続いており、さらに「Golf 5」のシルはすでに錆に侵食されている。

ディーゼルの中でも、経済的でパワフルな「2.0 TDI」は、そのやや野蛮な走り(ポンプノズル噴射)だけでなく、オイル消費量が多いことでも有名だ。

結論:

Golfらしい質素な実用車は「Golf 5」まで。「Golf 6」から一気に高級感が備わるから、安くて質素なGolfらしいGolfが好きならば「Golf 5」を選ぶべきだ。購入後のメンテナンス費用を考えれば、当然「Golf 7」が有利だが、じっくりと「Golf 6」の「1.4 TSI」を吟味して探すことをお勧めしたい。

(Text by autobild.de)