ヨーロッパ各地から「ID.ファミリー」のオーナーが集う「ID.TREFFEN」を初訪問。スイスのリゾート地・ロカルノで開催されたイベントの模様をお届けする。

ロカルノ市中心部の「ラ・ロトンダ」広場に描かれた「WE ♡ VW」。

スイス南部の都市・ロカルノは、マジョーレ湖畔にある人気のリゾート地。歴史的な建造物と新しいマンションが共存するこの街では、野外音楽祭や映画祭が開かれることでも知られている。そんなロカルノで最近スタートしたイベントが密かに注目を集めている。

それが「ID.TREFFEN」。英語風に表現すると“ID.Meeting”といったところで、ヨーロッパ各地のID.3やID.4、ID.5、そして、ID.Buzzがあわせて130台集まり、そのオーナーや家族がさまざまなアクティビティに参加。なかでも、9月8日にはロカルノ市中心部の「ラ・ロトンダ」広場で、ID.ファミリーが“人文字”ならぬ“クルマ文字”を描き、イベントはハイライトを迎えることに。

同じ場所では、フォルクスワーゲンなどが手がけたコンセプトモデルやテスト車両などが所狭しと並べられ、さらに、「ID.7」をベースにフォルクスワーゲンが手がけたコンセプトカー「ID.X Performance」がワールドプレミアを果たすなど、単なるオーナーミーティングを超えた存在であることがわかる。

今年3回目を迎えたID.TREFFENを主催するのは、ダニエル・オット氏を中心とする運営チーム。ID.3オーナーであるオット氏は、以前に「Golf GTI」や「Golf R」を所有しており、オーストリアのヴェルター湖畔で行われてきた「GTIミーティング」のようなイベントをID.ファミリーのオーナーとともに開催できないかと考えた。そこで、まずは自身のウェブサイト「Swodish EV」を通じで仲間を募り、さらに、フォルクスワーゲンが運営するID.オーナーのコミュニティ「ID.Drivers Club」(会員約15,000人)のサポートを得ることで、ID.TREFFENの開催が実現したのだ。

伝説のGTIミーティングのようなお祭り騒ぎはないが、美しい景色を見ながらツーリングを楽しんだり、ウインドファームを見学したり、リゾートホテルで食事をしながら会話を楽しんだりして過ごす時間は、参加者にとってとても刺激的だ。

一方、イベントのパートナーを務めるフォルクスワーゲンは、「エキスパートトーク」と銘打ったワークショップを開催し、フォルクスワーゲン本社の担当者がID.ファミリーの最新情報を提供したり、ID.のオーナーと意見交換したりできる場を設けている。これを楽しみにID.TREFFENに参加するオーナーもいて、フォルクワーゲンとオーナーとの距離が、いままで以上に近づいているように思えた。

ID.TREFFENの参加者には、ID.ファミリーの各モデルを所有する以前からフォルクスワーゲンを愛用していた人が多いという。いいかえれば、クルマがエンジンからモーターに変わっても、長く親しんできたフォルクスワーゲンに乗り続けたいと考える人が数多く存在するということだ。今年のクルマ文字「WE ♡ VW」は、そんな彼らのVW愛をカタチにしたものなのだろう。

(Text by Satoshi Ubukata)