275馬力と367Nmをただきだす秘密のGolf計画「A59」。VW Golf A59は、1994年のモンテカルロ ラリーで優勝するはずだった。ホモロゲーションには2,500台が必要だったが、ワンオフにとどまった。
1994年、VWは再び世界ラリー選手権に参戦し、モンテカルロで優勝を果たしたいと考えていた。フュルト(バイエルン州)近郊のシュミット モータースポーツは、ヴォルフスブルク社のためにホモロゲーションに規定された競技車とロードカーを製作した。
※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。
1992年からのGolfの秘密計画は、シュミット モータースポーツがオーダーナンバー59、略して「A59」として社内で管理していた。しかし、VWの財政難により、3代目「VW Golf A59ターボビースト」の野性味あふれる姿に終止符が打たれた。
「Golf 3」の実績ある「827」エンジンでは想定される圧力条件に耐えられなかったため、「A59」のために排気量2リットル、シリンダーあたり4バルブ、電子燃料噴射のまったく新しいアルミ製エンジンが開発された。
レース用に400psが計画されていた
KKKスーパーチャージャーとインタークーラーのおかげで、唯一の公道走行可能なプロトタイプの「飼いならされた」エンジンは、275馬力/6000rpmと、最大トルク367Nm/3500rpmを発揮する。レース用には400馬力が計画されていた。
ラリーカーのプロトタイプは、ヴォルフスブルクのVWにある。彼ら自身が認めているように、2番目のショーバージョンはまだフランコニア人が所有しているが、エンジンは付いていない。
VW Golf 3 A59は、初心者ドライバー向けではない
「A59」のステアリングを握る者は、自分が何をしているのかを知っておく必要がある。確かに、ヴォルフスブルクの速いクルマは、6速ギアボックス、全輪駆動、センターデフ(フロントおよびリアアクスル)の3つのコンピューター制御ロックを備えている。これらは、4つの車輪にインテリジェントに推進力を配分する。
しかし、"毒々しい"4気筒のパワーは、あまりに突然で、骨を砕くようなものなので、経験の浅いドライバーはほとんどミスをするようにプログラムされている。それもそのはず、「A59」はコーナーから全力で加速し、最悪の場合、横転するように設計されているからだ。
ラリー界のレジェンド、ヴァルター ロールは、当時、ノルドシュライフェで「A59」をテストし、ラリーGolf のメーカーによると、そのハンドリングに魅了されたという。「Golf 3」のチューニングシーンでは、以前から「A59」のようなスタイルのボディキットを求める声があったが、実現されることはなかった。
(Text by Lars Hänsch-Petersen / Photos by Roman Raetzke)