【Auto Bild】「ID.Buzz」に初試乗

T1遺伝子搭載の電気自動車「ID.Buzz」の走りをインプレッションする。フォルクスワーゲンは、ID.Buzzとそのカーゴバンの仕様を発表した。まずは後輪駆動、204PSの仕様からデリバリーが始まる。

※この記事は「Auto Bild JAPAN Web」より転載したものです。

モデル概要と価格：ID.Buzzは現在注文受け付け中

フォルクスワーゲンのアイコンであるブリ（Bulli＝ワーゲンバス）の電動化。ID.Buzzは、ショートオーバーハング、ツートーンペイント、大きなロゴなど、「T1バス」世代をイメージしたビジュアルになっている。また、先代と同様に後輪駆動を採用している。5人乗りの乗用車版と、2人乗りまたは3人乗りで、広い荷室を持つカーゴ仕様がある。

フォルクスワーゲンによると、欧州では早ければ、2022年9月中に最初の台数が納車される予定で、それに先立ち5月末から受注を開始している。5人乗りのID.Buzzの価格は、64,581ユーロ（約904万円）からとなっている。

カーゴ仕様は最低でも54,431ユーロ（約762万円）。こちらも、よりパワフルなバージョンで、まずは9月中に納車される予定となっている。2023年には、バスとバンのバリエーションに、ロングホイールベースのモデルも登場する予定だ。トランスポーターと内燃機関搭載の新型マルチバンは、当初は並行して提供される予定となっている。

実際に購入する場合には、環境ボーナスが基本価格から差し引かれる。補助金を差し引くと、ID.Buzz Proは56,606ユーロ（約792万円）から、カーゴバージョンは46,455ユーロ（約650万円）からとなる。また、フォルクスワーゲンはすでに完全自律走行版のID.Buzzを公開しており、2025年から乗り合いタクシー「MOIA」向けにサービスを開始する予定だ。

外観とサイズ：ID.Buzzは、オリジナルのブリに近づけたい

ID.Buzzのデザインは、フォルクスワーゲンバスのT1を強く意識している。V字型のくぼみを持つ特徴的なフロントシールドは、当時すでに最も印象的なデザイン要素の一つであり、ニューモデルでもそれがテーマとなっている。また、追加料金でバスのアイコンであるツートーンカラーの塗装を施すことも可能となっている。

オーバーハングが短く、窓の面積が大きく、フロントのロゴも大きい。ID.Buzzは、現行モデルの中で最も大きなフォルクスワーゲンエンブレムを冠している。Dピラーのエアインテークは、T1とは関係ない。「T2」、「T3」シリーズで採用された、エンジンの空気取り入れ口の「耳」をイメージしたものだ。

全長は短くてもホイールベースは現行マルチバン並み

寸法を見ると、ID.Buzzは現行の「T7」よりも短く、低くなっているものの、ホイールベースはほぼ同じだ。しかし、ID.Buzzの幅はT7マルチバンより8センチ広くなっている。

走行テスト：ID.Buzzは見ためどおりよく走る

我々はこの電気バンを走らせる。出発地はコペンハーゲンだ。デンマークの首都は、自転車密度がアムステルダムを上回って久しいが、ここでは紛れもなく未来への兆しが見えている。ID.Buzzを放し飼いにするには理想的な場所だ。

そして実際、ツートーンカラー塗装を施した5人乗りID.Buzzは、非常に高い評価を得ている。どこでも注目され、親指を立てられる。意外かもしれないが街に溶け込む。ID.Buzzが意図的にそうしていることは、尊敬に値する。

快適な足回り、良好なステアリング、少ない走行音

車内も、明るい雰囲気になっている。マルチバンと比べると、ID.Buzzは少なくとも1クラス上の存在だ。「MEB」プラットフォームは、精巧なステアリングとリアアクスルのためのスペースを作り出し、その上に駆動部もぶら下がっている。ID.Buzzは20インチホイール（21インチも可能）を装着しているが、驚くほど滑らかで、ベルベットのような転がり方をする。

その心地よい正確なステアリングは、駆動の影響を受けることなく、全長4.71mのID.Buzzを、まるで皿の上で回転しているような滑らかさで走らせる。

30分で80%まで充電可能

最高速度は145km/h。新しいソフトウェア3.2では、ついに音声コマンドが直接実装され、ナビゲーションシステムが充電ストップを自動的に計算するようになっている。

77kWhのバッテリー（ネット）とエアロダイナミクス（Cd値：0.29）の組み合わせで、約420kmの航続距離を確保できるはずだ。最大170kWの出力で、残量5％の状態から80％の充電が30分で可能となっている。

テクニカルデータ：ID.Buzz

(Text by Katharina Berndt, Andreas Huber and Sebastian Friemel / Photos by Volkswagen AG)