突然ですが、純正ナビゲーションシステム“Discover Pro”の「デモモード」をご存じですか?

おそらく多くのDiscover Proユーザーにとって、「知らない」、あるいは、「メニューで見たことはあるけど、使ったことはない」機能ではないでしょうか。

デモモードは、クルマが停止した状態でも、ルート案内が確認できるシミュレーションモードで、案内を始めたい地点を登録したあとは、いつもどおり目的地を設定し、ルート案内を開始すると、あとは勝手に地図が動いていくというものです。

これを使えば、実際にクルマを走らせなくても、ナビがどんなルート案内をするかを知ることができるのです。しかも地図上のクルマは実際の数倍の速さで動いていきますので、旅の予習にはもってこいの機能です。

なぜ、デモモードの話が出てきたかというと、高速道路を走行しているときの画面を撮影したかったから。たまたま大渋滞に巻き込まれて、クルマが停止していれば画面撮影は可能かもしれませんが、そう都合良く渋滞は起こりませんし、サービスエリアに寄り道すると、微妙に表示が変わってしまうのです。

そこで思い出したのがデモモードで、これを利用すれば実際にその場所にいなくても高速道路を走行中のナビ画面が撮影できるというわけです。

それで何を見てほしかったかというと、2画面表示の補助マップです。ゴルフ7に搭載されるDiscover Proは「MIB2」と呼ばれる旧世代ですが、これだと、下の写真のように、画面上に補助マップを表示して、高速道路を走行する際にはインターチェンジやサービスエリアの情報を確認することができます。

個人的には、走行中に「○○SAまでは5kmで、その次の××SAは25kmだから、昼飯は××SAにしよう」みたいなことを考えたり、高速道路のどのあたりを走っているかを把握するうえでとても重宝していました。

ところが、最新世代の「MIB3」の純正ナビゲーションシステムでは、フォルクスワーゲン、アウディともにこの表示がなく、とても不便に思えるのです。

また、MIB2の“Car-Net”対応機種であれば、Googleを使った施設検索がとても便利。施設名がわからなくても、その特徴や施設名の一部で検索ができるうえに、音声入力に対応しているので、ほとんどこれだけで目的地設定ができるのです。

ところが、フォルクスワーゲンのMIB3の純正ナビゲーションシステムではこの機能がなくなってしまいました(アウディにはあるのですが……)。

MIB3は、eSIM内蔵の通信モジュールを搭載することで、新たにモバイルルーターなどを持ち込んだり、スマートフォンでテザリングしなくても、常時オンライン接続が可能。新サービスの「We Connect」により、各種オンライン情報の提供に加えて、車両のドアの施錠・解錠がスマートフォンのアプリで可能になったり、地図データの自動更新が行えたりと、さまざまなメリットがあるのがうれしいところです。

その一方で、ナビゲーションシステムのソフトウェアについては、MIB2世代のバージョンのほうが使いやすかったかなというのが正直な感想です。ぜひともソフトウェアのバージョンアップで、使い勝手が向上するのを期待します。

このところ新型車の試乗が続いていて、MIB3の操作にストレスを少し感じていただけに、MIB2の純正ナビゲーションシステムが装着されるeゴルフに乗ると、なんだかホッとします。乗り心地も良いし、静粛性も高いし、加速性能も十分すぎるほど……などと考えると、まだまだこのクルマは手放せません(笑)

(Text & photos by Satoshi Ubukata)