3月19日 晴れ レッキ

1年ぶりのラリーということで、出発するときからドキドキでしたが、何度やってもペースノートづくりは難しい。コ・ドライバーの山田政樹さんとの新城ラリーは2回目ですが、昨年つくったものは二人ともいまひとつ納得がいってないペースノートだったため、確認しながらつくり直すことにしました。

というか、鬼久保SSはコースが延長された部分もありましたし、ましてや雁峰北SSは政樹さんと走るのははじめてでしたから。でも、ペースノートを新たにつくっている人と、確認している人とではレッキのペースが違うので、邪魔にならないように避けるのが忙しい。狭い林道の中では、避ける場所ひとつ探すのも結構難しいんですよね……。そうしてアタフタしている間に、どこを走っているのかわからなくなっちゃって……(汗)

このあたり、まわりに迷惑をかけず、気持ちで負けず、できるようになればいいのですが、一朝一夕にはいきません。でも、今年はこの後の参戦が、まったくはじめて走るところばかりになるので、レッキの練習もしないとダメだねぇ~と、二人で早くも反省しきりでした(笑) せめてもと、サービスパークに戻ってきてから、ビデオを穴があくほど見て、なんとか穴埋め方式でペースノートはつくってはみましたが……。どうなることやら(笑)

3月20日 晴れ DAY1

よかったぁ~!いいお天気♪ 長年モータースポーツに携わっている私ですが、自分でハンドルを握ったレースで雨に見舞われたのはたったの1回。しかも予選のみ。それくらい雨は降らないんです。にもかかわらず、まぁなぜかラリーはよく雨が降る……なんでかしら。

だからこそ! 2021年のラリーは初日晴れだぞぉ~♪と気分は上々、でも初戦ということで、いつも以上のかなりのド緊張状態ではありましたけど。

そして、そんな状態で送り出されたSS1では、その緊張に追い打ちをかけるように、タイヤの空気圧が予想より上がってしまったんです。「え~ん(涙)、接地感が薄いよ~。どんどん上がってるよ~」と、できるかぎり頑張ってはみたものの……。狙いよりも0.2キロ上まで急上昇。

次の鬼久保SSはハイスピードなので、どうしても接地感が欲しいということで、フロント0.2キロ、リヤ0.1キロ空気圧を落とすことに。そしたら、これが大正解! 手応えバッチリ!

ところがですね、この鬼久保SSの後半、1kmちょっとは今回新しく設定されたコースだったんです。ここでのレッキがあまり上手にできていなかったので、恐る恐るフィニッシュしたタイムは、やはりう~む。納得できずで終わってしまいました。

気を取り直して午後からのセクション2は、サービス出発時に空気圧を朝よりも低めにセット。これがバッチリ決まり、SS1と同じコースを走るSS3は、確実に10秒はタイムが上がった! と自分では思ったのですが……。なんと!ほぼ変わらず(涙)。「ウソでしょぉ~⁈」。

続くSS2と同じコースのSS4は、スタート前にさらに0.1キロほど空気圧を下げ、接地感もバッチリ。SS2よりもライン取りも上手くいったので、アクセルペダルを開けている時間も間違いなく長かったから、絶対、もう絶対タイムアップしたと、私だけじゃなく、助手席の政樹さんも強く感じたそうなのですが……。これまた、ほぼ変わらず(涙)。ウソでしょぉ~?! 

「おかしいなぁ。僕も絶対タイム上がったと思ったんだけどねぇ。でもなんだか、クルマが前に進んでいない気がするんだよね。少なくとも昨年よりも前に進んでいない気がするんだわ。でも他のドライバーは、SS2よりSS4の方がタイム落としている人多いから、圭ちゃんの走りはよかったんだと思うんやけども……。でもおかしいなぁ~、なんでやろ」と、首を捻る政樹さん。私もまったく同感。ということで、これは次戦までにいろいろ確認が必要ということになりました。

3月21日 豪雨 DAY2

昨日の晴天とは打って変わり、天気予報どおりの雨(涙)。いえ雨なんて優しいものではなく、サービスパークに着いて、パルクフェルメ(車両保管場所)に向かうころには、すでに長靴が欲しいほどの路面、傘は斜めに差してちょうどよいくらいの風雨、というより、しっかり持っていないと、いわゆるオチョコになってしまいそうなくらいの荒れ模様になっていました。

その後も、どんどんお天気は悪化。もはや、空気圧が云々とか、ペースノートが云々というレベルでもないくらいのお天気になっていったんです。スタート前からフロントガラスが曇りだしたので、躊躇せずにエアコンオン! これまでSSの途中でフロントガラスが曇ることはあっても、スタート前から曇りだしたのは初めてのことでした。

それでも2日目の1本目に当たるSS5は、木が生い茂った狭い林道なので、風はある程度防がれるし、速度もそこまで上がらないレイアウトのため功を奏しましたが、それでもかなり水溜まりは多く深く、少しストレートになったところでは、私の速度域でもハイドロプレーニング現象が起きるほど水が溜まっていたんです。

そして! いやはや今回は正直驚きました。モモポロちゃん、今まで以上の勢いで、電子制御でエンジンパワーを絞り切るくらい絞ってきたんです。一昨年はグラベルラリーにも出ているんですが、それより路面μが低く、滑りを感じたということなのでしょう。もう止まりかけるくらい、エンジンパワーを絞ってきたんです。それでなくてもこの天候と路面に、私のリミッターならぬ、“ビビッタースイッチ”が入っておりまして、さらにモモポロちゃんの超安全制御リミッターが入るものですから、もはやレーシングスピードで走れるわけもなく……。

続くSS6の鬼久保SSはコースレイアウトや路面を考えても、もう少し走りやすいかな?と想像していたのですが、これが甘かった。コースはとんでもないことになっていました。

スタートに到着してみると、数台マシンが溜っていました。しばらく待たされた後「SOSで止まったクルマがいるのでSS6はスルーになりました。ゆっくり気をつけてSSを通過してください」とオフィシャルの方からの通達。というわけで、ゆっくりSSを通過していったのですが……。かなりのレベルの水溜まりがいくつもできていたんです。

そんな場所ではもう、助手席の政樹さんが苦笑してしまうくらい、電子制御が入るのですが、思いもかけずに深かった水溜まりもありまして、ボンネットはおろか、フロントガラスの半分くらいまで水を被るほどのところも。あわや停止寸前という事態も発生しましたが、「ここで止まったら終わりだ!」とばかりアクセルを踏み込み、なんとか抜けることができました。しかし、あとで確認したところ、このときの水圧で、なっなんと!ナンバープレートが曲がってしまっていたんです。

何とも歯切れの悪いラリーになってしまいましたが、また気を引き締めなおして次戦に向かおうと、気持ちを切り替えました。そのためにも、全日本ラリー選手権の次戦となる丹後ラリーの前に、練習したいところ。不安を打ち消すためには、経験値を積み重ねる。それがいちばんの特効薬ですからね。二人とも仕事との両立が大変ではありますが、頑張ります。引き続き温かい応援を、どうぞよろしくお願いいたします。

「いくつになってもチャレンジはできる! 眠れなくなるほどの大きな夢を、竹岡圭と一緒に追いかけて、叶えてください~!」

(圭rally project 竹岡 圭)