デビューから4年を経てマイナーチェンジした「ザ・ビートル」をプレス試乗会でチェックする。

※2016年10月の記事を再構成して掲載しました。

ザ・ビートル 2.0 R-Line

今回のマイナーチェンジのハイライトは、エクステリアデザインのリニューアルやボディカラーの追加、安全性の向上、そして、コネクティビティの充実といったところで、パワートレインは従来のものを踏襲している。

下の写真は「ザ・ビートル デザイン」で、全体のシルエットは変わらないものの、フロントバンパーのラジエターグリルをハの字型にデザインし、左右にクロームのパーツを配置するなどして、スポーティな雰囲気を強めている。

ザ・ビートル デザイン

一方、インテリアはメーターパネルやステアリングホイールのデザインが微妙に変わっているものの、見た目はほぼそのまま。試乗車にはメーカーオプションの純正ナビ「714SDCW」が装着されていたが、標準のオーディオが「Composition Media」になり、Appleの"CarPlay"やGoogleの"Android Auto"が利用できるようになったことで、今後は純正ナビを選ばない人が増えるかもしれない。

ザ・ビートル デザイン

1.2 TSIエンジンと7速DSGがもたらす動力性能は、必要十分な加速を示し、日常使ううえでは不満がない。215/60R16タイヤが装着されるザ・ビートル デザインは乗り心地もマイルド。快適なドライブが楽しめるのはこれまでどおりだ。

ザ・ビートル デザイン

これまでの「ザ・ビートル ターボ」に代わるグレードとして設定されるのが「ザ・ビートル 2.0 R-Line」だ。搭載されるエンジンが211ps/280Nmを誇る2.0 TSIというのは変わらないが、クロームストリップを備えるフロントバンパーや、ブラックペイントのサイドスカート/フェンダーアーチ、リヤスポイラーなどにより、ザ・ビートル デザインとは明らかに印象の異なるエクステリアに仕立て上げられている。

ザ・ビートル 2.0 R-Line

インテリアでは、油温計、ストップウォッチ、ブースト計が収まる3連メーターが標準で装着されるのはこれまでどおりだ。

2.0 TSIには6速DSGが組み合わされるが、1.2 TSIから乗り換えると低速から明らかにトルクに余裕があり、動き出しも力強い。もちろん、アクセルペダルを深く踏み込めば、2000rpm後半から力強さを増し、さらに4000rpmを超えたあたりからはスポーティなサウンドを伴いながら勢いづいていく。

それを235/45R18タイヤで受け止めることになるが、引き締まったサスペンションが組み合わされるとあってやや硬めの乗り心地を示すが、もちろん十分許容できるレベルに収まっている。

ということで、マイナーチェンジ後も無難な仕上がりを見せるザ・ビートル デザインと、スポーティなイメージを強めたザ・ビートル 2.0 R-Line。キャラクターがよりはっきりしたこともあって、これまで以上に幅広い層から注目されるのではないだろうか。

ザ・ビートル 2.0 R-Line

そしてこちらが、マイナーチェンジした「ザ・ビートル」の発表から約1カ月半遅れで登場した新グレード「ザ・ビートル R-Line」。個人的には現行ザ・ビートルのなかで最も注目したいクルマである。

ザ・ビートル R-Line

というのも、このザ・ビートル R-Lineにはレギュラーモデルとして初めて1.4 TSIエンジンが搭載されるからだ。1.4 TSIは過去に限定車の「ザ・ビートル・デューン」に搭載されたのだが、その走りは思いのほか気持ちが良く、限定車だけではもったいないと常々思っていたのだ。

ザ・ビートル R-Line

そのうえ"R-Line"だけに、「ザ・ビートル ベース/デザイン」に対してエクステリア、インテリアともにスポーティな雰囲気に仕上げられており、それでいて2.0 TSIを積む「ザ・ビートル 2.0 R-Line」に比べて51万4000円も安いというのがうれしいところだ。

ザ・ビートル 2.0 R-Lineに標準装着される3連メーターとバイキセノンヘッドライト、ダークティンテッドガラスが、このザ・ビートル R-LineではオプションのCoolsterパッケージ(21万6000円)として用意され、これを装着すると価格差は30万円ほどに縮まるが、それでも手頃に思えることに変わりはない。

実際に走らせてみると、1.2 TSIエンジンを積むザ・ビートル ベース/デザインよりも軽い動き出し。1.2 TSIでも不満のない加速性能だが、1.4 TSIはこれに余裕が上乗せされ、低回転からトルクの厚みが感じられるのだ。

アクセルペダルを大きく踏み込んだときの吹け上がりや加速感もなかなか爽快。もちろん、絶対的な加速は211psの2.0 TSIエンジンには敵わないが、十分にスポーティな走りが楽しめる。

一方、乗り心地は、215/55R17サイズのタイヤを履くこともあり、235/45R18を装着するザ・ビートル 2.0 R-Lineよりもマイルドで、それでいてスピードを上げたときのフラット感はまずまずと実にバランスが良い。

というわけで、もし私がこれからザ・ビートルを買うなら、このザ・ビートル R-Lineを選びたい。欲をいえば、このカブリオレ版があったら......と思うのは私だけだろうか?

ザ・ビートル R-Line

(Text & photos by Satoshi Ubukata)