■BORA ■一汽-大衆汽車有限公司 ■1/18

ボーラです。ゴルフ4とおなじ世代の4ドアセダンです。3世代目はヴェントと呼ばれていましたが、4世代目で突然ボーラを名乗りました。

一方、アメリカでは初代からずっとジェッタと呼ばれています。同じクルマなのにすでに名前が三つも出て来た。紛らわしいのです。

ゴルフにトランクを増設するというコンセプトは初代から変わらず……ですが、この4世代目のボディパネルはゴルフとの共通部品が少ないそうで、4ドアセダンならではのデザインが施されています。

このミニカーは、中国市場でボーラを生産していた一汽大衆(FAW-VolkswagenAutomotive Co., Ltd.)がつくっていた公式モデルで、ミニカーメーカーのブランド名は刻印されていません。

ナンバープレートには「宝来」とあり、音と意味のいいとこ取りをしている秀逸なネーミングと思います。ちなみに、かつてマセラティにもボーラというクルマがありましたが、由来は同じです。

ボーラはヨーロッパの中部からアルプス山脈などを超えて吹き下す寒冷風のことで、ときには風速40m(150km/h)にもなる強風だそうで、そのスピード感あるイメージでクルマの名前に採用されているのでしょう。

そして、ジェッタはジェット気流から、ヴェントもイタリア語では風という意味ですので、3種類の名はすべて風が由来という、バラバラなのに一貫性がある面白い事態になっています。

名前の話ばかりになりましたが、ミニカー自体は一汽-大衆公式、ということできっちりつくられており、エンジンルームから内装まで1/18スケールの標準的なクオリティです。

中国フォルクスワーゲンの公式ミニカーでは、ドアが4枚とも開いたり、フュエルリッドが開閉できたり、というものもあるので、これはそこまでは力が入ってないけれど、デスクトップで実車のありようを愛でるには十分なクオリティです。

デビューから20年超え、街ではなかなか見かけなくなりましたが、歴史を伝えるにはこういうしっかりしたスケールモデルもお役に立ってるのかも。

das kleine Golfgang(ダス クライネゴルフガング)は、ゴルフのミニカー、"Golf玩具"にまつわるコラム。1974年に実車が誕生して以来、古今東西でつくられてきたゴルフのミニカーたちの小さなボディに垣間見えるストーリーを、小さく紹介しています。101回目以降、ゴルフ以外の水冷VWも紹介していきます。