2020年11月4日、フォルクスワーゲンは新型「ゴルフR」を発表した。

ゴルフ4のボディに3.2L VR6エンジンと4WDを搭載した「ゴルフR32」が登場したのは2002年のこと。以来、ゴルフのRモデルはシリーズの最強グレードとして君臨し続けてきた。ゴルフ6時代にはダウンサイジングコンセプトによりエンジンが2L直列4気筒ターボに変更になり、その流れはゴルフ7、そして、ゴルフのRモデルとしては5代目となるゴルフ8Rに受け継がれている。

新型ゴルフRは、最高出力235kW(320ps)、最大トルク420Nmの、ゴルフ史上最強の2.0 TSIエンジンを搭載。7速DSGと4WDの4MOTIONが組み合わされ、0-100km/h加速は4.7秒を誇る。トップスピードは250km/hでスピードリミッターが作動するが、オプションの「Rパフォーマンスパッケージ」をオーダーすれば、270km/hまで引き上げることが可能となる。

Rパフォーマンスパッケージを選択すると、2ピース構造の大型ルーフスポイラーと1インチアップの19インチアルミホイールが装着される。さらに、標準で用意される4つドライビングプロファイル(「COMFORT」「SPORT」「RACE」「Indivisual」)に加えて、ニュルブルクリンク北コースに最適化した「Special」と、ドリフトが可能な「Drift」が利用できるようになる。

注目したいのが、Rモデル用に開発された4MOTION。エンジンのトルクをフロントとリヤアクスルに配分するだけでなく、リヤアクスルの左右のトルク配分を自在にコントロールし、コーナリング性能を高める「Rパフォーマンス トルクベクタリング」が標準で搭載されるのだ。その実現のために、リヤアクスルには2個の湿式多板クラッチが搭載され、リヤの外輪により多くのトルクを配分することで、コーナリングしやすい状況を生み出すのだ。

さらに、ビークルダイナミクスマネージェーが、4MOTIONやDCCなどを統合制御。前述のSpecialモードを選んだ場合、ニュルブルクリンク北コースのラップタイムが、ゴルフ7Rの8分10秒から、7分51秒に短縮できたという。

これには、旧型に比べて10%ハードにチューンされたスプリングやスタビライザー、18インチの2ポッドブレーキシステム(前)などが貢献している。また、ESCはトラクションコントロールがオフになるESCスポーツに加えて、完全に切ることができるESCオフが選べる。

新型ゴルフRのエクステリアは、標準モデルに比べてよりアグレッシブな印象に仕上げられている。専用のフロントバンパーには大型のエアインテークとフロントスプリッターを装着。ラジエターグリルにはRのバッジとブルーのラインが配される。マットクロームのミラーカバーもゴルフRを識別するポイントだ。

一方、ゴルフRのリヤは、ハイグロスブラックのリヤディフューザーや左右4本出しのエキゾーストパイプなどにより精悍さが際立つ。Rのロゴは、テールゲート中央のVWエンブレムの真下に移された。アクラポヴィッチ製のRパフォーマンスチタンエキゾーストシステムはオプションだ。

インテリアは、ブルーのステッチとRボタンが装着されるRパフォーマンスステアリングホイールが目を惹く。Rボタンを操作すれば、ダイレクトにRACEモードを選択することが可能となる。さらに、SPORTとRACEモードでは、専用デザインのメーター表示が利用可能だ。

このように、魅力的に進化を遂げた新型ゴルフR。ヨーロッパでは11月5日から予約が開始され、11月末にはデリバリーが始まるという。

ゴルフGTIやゴルフGTIクラブスポーツとともに、日本上陸が楽しなホットハッチである。

(Text by Satoshi Ubukata)