2019年12月11日、8speed.net読者を対象にしたドライビングレッスン「8speed.net Driving Lesson in FSW」を富士スピードウェイで開催しました。
一般道ではなかなか体験できないさまざまなシチュエーションを、安全な場所で繰り返し練習することで運転の基本を学ぶとともに、いざというときに危険を回避する能力を身につけてもらうのを目的にスタートした8speed.net Driving Lesson in FSW。参加者からの「また開催してください!」という声に応えて、第5回目を迎えることができました。
会場の富士スピードウェイ第2駐車場(P2)には、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェが計8台来場。年末ということで開催直前にキャンセルが出てしまい、いつもに比べると参加台数が少ないのですが、そのぶん内容の濃いレッスンになりました。
インストラクターを務めるのは、モータージャーナリストの齋藤 聡さんです。業界屈指のドライビングスキルを誇るばかりか、ドライビングレッスンのインストラクターとしても経験豊富な齋藤さんが、運転の基本をわかりやすく教えてくれます。
さらに、アウディオーナーにはおなじみの須田 力さんが、アシスタントインストラクターを務めました。
さっそくレッスンといきたいところですが、まずは齋藤さんから、タイヤのグリップの仕組みやESCの働きなど、これだけは知っておきたい運転の基礎知識の説明が行われます。
そして、安全運転の基本として、ブレーキによる危険回避を学びます。いざというときに事故を防ぐには、しっかりとブレーキを踏めるかどうか、また、ブレーキをかけながら危険を避けるようステアリング操作ができるかどうかがカギになります。これを事前に経験しくと、いざというときに躊躇せずにフルブレーキがかけられるのです。
ブレーキなんて簡単と思うかもしれませんが、いざやってみると、ブレーキペダルが踏み切れていなかったり、タイミングが遅かったりと、慣れないと簡単なようで実は難しいんです。
しかし、走行後にインストラクターからアドバイスを受けた参加者の皆さんは、回を重ねるごとに理想的なブレーキが踏めるようになっていきました。
フルブレーキができるようになったところで、次は障害物を避ける練習です。現代のクルマにはABSが装着されているので、ブレーキをかけながらステアリングを操作すれば、クルマの向きを変えることができます。いざというときに、ブレーキとステアリングを同時に操作できると、危険を回避できるチャンスは高くなりますので、実践的なセーフティドライブにはとても重要です。
危険回避のプログラムが終わると、次はタイヤの能力を生かして、気持ち良くクルマを曲げるためのテクニックを学びます。
タイヤのグリップには限界があります。加速しながらステアリングを大きく切ると、クルマは思った方向には曲がってくれません。うまく曲がるには、速度調整と前後タイヤの荷重移動、そして、適切なステアリング操作し、いわゆるアンダーステアを出さずに走ることが重要です。
そのコツをオーバルコースの走行で学んでいきます。最初のうちはコースを大回りしてしまう参加者が少なくありませんでしたが、インストラクターからのアドバイに耳を傾け、少しずつ運転を修正することで、スムーズで無駄のないドライビングができるように変わっていきました。今回は参加台数が少なく、そのぶん走行する回数が多くなったこともあり、参加者の上達ぶりは舌を巻くほどでした。
そして午後には、特設のハンドリングコースでコーナリングの腕を磨きます。今回はコースをいくつかのセクションにわけ、セクションごとに走り方を学んでいきます。走行後には必ずインストラクターからアドバイスを受けますが、その甲斐あって、徐々にコーナリングスピードが上がっていくのがわかります。
そして最後はレッスンの仕上げをかねて、ハンドリングコースでタイムアタック。じっくりと練習できたおかげで、本番でミスコースする参加者はなく、各自がすばらしい走りを見せてくれました。そして、どの参加者もレッスンを受ける前に比べて、自信を持って運転しているように見えました。
一般道ではなかなか体験できないさまざまなシチュエーションを安全に体験してもらうことで、皆さんの危険回避能力が高まったり、荷重移動を感じながら運転することで、よりスムーズで気持ちのいいドライビングにつながったり、そして、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの持つ基本性能の高さを、あらためて確認できたり……。参加者の皆さんがそんな体験ができたとしたら、運営スタッフとしてはうれしいかぎりです。
今回は年末の慌ただしい時期ということで参加できなかった方、今後も不定期ですがドライビングレッスンを開催していきますので、ぜひふるってご参加ください!
(Text by Satoshi Ubukata)