自動車をはじめ、さまざまなジャンルのスプリングを手がける「スプリングのプロフェッショナル」が、ドイツのアイバッハ(Eibach)。そんな彼らが手がけた、優れた乗り心地と耐久性で好評を博している減衰力固定式車高調整キット「プロストリートS(PRO STREET S)」をチェックした。
愛車のカスタマイズに興味がある人なら、誰もが知っているスプリングのブランドがアイバッハ。ヨーロッパでは純正パーツとしての採用も多く、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェの市販車をはじめ、レーシングカーなどにも広く搭載されている信頼のブランドだ。
また、同社の「プロキット(Pro-Kit)」は、純正ショックアブソーバーを残したまま、乗り心地を犠牲にせずにローダウン可能なスプリング。車検にも対応するということで、非常に高い人気を誇っているのはご存知だろう。
プロキットの次のステップとして、アイバッハが用意するのが、減衰力固定式車高調整キット「プロストリートS」だ。
「プロストリートSは、車高調に興味がある人に対し、ファーストステップともいえるサスペンションキットです」
そう話すのは、アイバッハの輸入元の阿部商会で同ブランドを担当する平井孝治氏。「プロストリートSは、アイバッハのスプリングに、その特性にあわせたショックアブソーバーを組み合わせることで、適度なローダウン量と快適な乗り心地を両立。車検にも対応しており、“車高調は初めて”という人に最適なサスペンションキットです。もちろん乗り心地が快適といっても、ドイツのアウトバーンを飛ばせるだけの、安定した挙動を示す実力を持っています」と語る。
カタログを見ると、フォルクスワーゲンやアウディの幅広い車種に対応しており、価格も20万円前後とお手頃。今後ますます人気が高まりそうな製品ということで、今回はプロストリートSが装着されたゴルフ7.5GTIを試乗することにした。
試乗車には、アイバッハ プロストリートに加えて、LAGUNA FORGED LA-F02(8.5J×19)&コンチネンタルタイヤ SportContact6を装着。さらに、REMUSのエキゾーストシステムがおごられていた。
運転席に着くと、ノーマルのゴルフGTIに比べて、アイポイントが少し低いことに気づく。ローダウン量は30mm前後だそうだが、いつもとは少し違う風景が見える。
さっそく走らせると、タイヤ&ホイールが標準の17インチから2インチアップされているにもかかわらず、突き上げを抑えた、比較的マイルドな乗り心地が印象的だ。一般道で段差を越えるときや、首都高速で道路の繫ぎ目を通過する際にもショックが巧みに遮断され、GTIとしては十分すぎる快適さが確保されている。
それでいて、安定性が確保されているのがうれしいところで、レーンチェンジやコーナリング時のロールはよく抑えられているし、高速巡航時のフラット感や直進安定性も抜群。アイバッハが提供するサスペンションキットだけに、スプリングレートと減衰力のマッチングも申し分なく、バランスの高さが光る走りを見せてくれた。
肝心の見た目も、低すぎず、それでいてノーマルよりもスタイリッシュな印象に仕上がっている。ゴルフGTIが持つ優等生的な雰囲気を崩すことなく、大人のカスタマイズを行うためのアイテムとして、アイバッハのプロストリートSは、今後多くのユーザーに支持を集めるのではないだろうか。
なお、アイバッハではコーナリング時のロールを抑え、よりスポーティで安定した挙動を実現するアンチロールキットを用意。スポーツモデルはもちろんのこと、スタンダードなグレードでより落ち着いた挙動を求める人に、ぜひお勧めしたい。
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