2019年10月25日〜27日、三重県の鈴鹿サーキットでWTCRが開催されました。このレースに、4台のフォルクスワーゲンゴルフGTI TCRがエントリー。33号車を操るのが、ベンヤミン・ロイヒター選手です。
実はこのロイヒター選手、「ゴルフGTIクラブスポーツ S」(日本未導入)でニュルブルクリンク北コースを7分49秒21で走り、当時の市販FF車のコースレコードを更新したご本人です!
ゴルフGTI TCRでWTCRにも参戦し、まさに“世界一のゴルフGTI使い”なのです。
ロイヒター選手は、ゴルフGTIクラブスポーツの後継モデルである市販版の「ゴルフGTI TCR」の開発にも関わったということで、鈴鹿サーキットで行われたこの限定車の発表イベントにも登場しました。
クルマの概要については上記のニュースをご覧いただくとして、ロイヒター選手によれば、搭載されるエンジンはパワーこそ違っていますが、レーシングカーと市販版は基本的に同じもので、「レーシングカーの走りのフィーリングが市販版でも感じられるはず」と話していました。
驚いたのは、市販版のゴルフGTI TCRのテストが世界各地が行われたということ。ニュルブルクリンクの走行に加えて、北欧でのウインターテスト、アメリカでの耐暑テストなどを1年半ほどかけて実施したうえで、市販に漕ぎ着けたといいます。マイナス40℃という環境下で行われたスウェーデンのテストにはロイヒター選手も参加し、「あらゆるコンディションで素晴らしい走りができるよう仕上げた」そうです。
ゴルフGTIクラブスポーツのオーナーとしては、市販版ゴルフGTI TCRがGTIクラブスポーツからどんな進化を遂げたのか、気になるところ。その点については、サスペンションとブレーキを強化し、さらにエンジンのパワーアップによって、「より速く走れて、より速く止まれるクルマになった」とのことです。
WTCRの予選とレース1が行われる10月26日には、走行の合間を縫って、ロイヒター選手じきじきにレーシングカーの解説をしてくれました。
レーシングカーと市販車では約65%ものパーツが共用されているそうですが、個人的に興味深かったのが、レーシングカーにはシーケンシャルギヤボックス仕様に加えて、DSG仕様があり、耐久レースにはDSG仕様が向いているとのこと。さらに、DSG仕様の場合には、電子制御式油圧多板クラッチを用いたフロントディファレンシャルロックが搭載され、ステアリングホイールのボタンでロック量が変えられるそうです。こんなところにも、市販版とレーシングカーとで共通点があるとは、驚きでした!
話を聞けば聞くほど、興味が高まる市販版のゴルフGTI TCR。ゴルフGTIクラブスポーツのオーナーにとっては、気になって仕方がないクルマです(笑)
いつかこの2台を乗り比べてみたいですね!
(Text by Satoshi Ubukata)