日本特有のアイス路面でのグリップ性能にこだわったネクセンのスタッドレスタイヤが「WINGUARD ice2(ウインガード アイス 2)」。この新製品を実際に「フォルクスワーゲン ゴルフ トゥーラン」に装着して実力をチェック。後編は雪上での印象をレポートする。

※前編はこちら

ウインガード アイス 2は、スノー、アイス、ドライと、日本のさまざまな冬の路面に対応し、なかでもアイス性能を重視したノルディックタイプ(ソフトコンパウンド使用)の乗用車用スタッドレスタイヤである。

その実現のために「アドバンスド・ソフトコンパウンド」「3Dサイプ」「非対称トレッドパターン」の3つの新技術を採用する。

「アドバンスド・ソフトコンパウンド」は、低温域でも柔軟性を失わず、高温域ではゴムの剛性を保つ新開発のソフトコンパウンドで、氷雪路でのブレーキング性能を向上させている。

また、「3Dサイプ」は、接地面を確保しながら、サイプ同士が噛み合うことでブロックの倒れ込みを防ぎ、グリップと走行安定性を確保する。

さらに、「非対称トレッドパターン」を採用し、イン側では雪上のトラクション性能を、アウト側ではコーナリング性能とグリップ力をアップしている。

商品の詳細やサイズラインアップについては、公式サイトをご覧いただくとして、引き続き今回も標準タイヤと同じ215/55R17 94Tサイズを純正アルミホイールに装着してその性能をチェックしている。

この日は編集部がある横浜から、長野県のとあるスキー場を目指した。途中、ドライ路面を走る時間が長かったが、一般道から高速道路まで、タイヤの剛性感が高く、直進安定性が高いウインガード アイス 2は、乗り心地の良さやロードノイズの低さとあいまって、とても快適なドライブをサポート。ドライ路の走行が多い非降雪地域のユーザーにとってはうれしいかぎりだ。

高速道路を降り、スキー場に向かって山を登るにつれて、路面はシャーベット状の雪道に変わるが、ウインガード アイス 2を装着したゴルフ トゥーランは、事もなげに安定した走りを続ける。雨で濡れた路面を走るのと、さほど変わらない感覚で運転ができた。

さらに標高が高くなると、路面は圧雪の状態に。ゴルフ トゥーラン TDI プレミアムは、340Nmの強力なトルクを発生する2.0 TDIエンジンを搭載する前輪駆動モデルだが、発進時のホイールスピンはさほど大きくなく、動き始めてからのトラクションも十分高いので、安心してアクセルペダルを踏んで加速ができる。

コーナーでも、ウインガード アイス 2がしっかりと路面を掴んでいる印象で、安全な速度を保っていれば、ほぼ思いどおりのラインで走ることが可能。ついうっかりオーバースピードでコーナーに突っ込んでしまったときや急なハンドル操作をしてしまったときでも、滑り出しが穏やかなため、慌てずに対応できるのも、安心につながっている。

たまに氷が露出した部分を通過しても、タイヤがスリップしてクルマの動きが乱されるということは少ない。乗り心地がマイルドなぶん、凸凹した氷の路面でもしなやかに接地し、快適性を保つのはこのウインガード アイス 2の美点。制動力もスタッドレスタイヤとしては十分なもので、目的のスキー場まで、不安のないドライブが楽しめた。

個人的にはウインガード アイス 2の剛性感が好ましいと思うが、降雪地域のユーザーのなかには国産スタッドレスタイヤの極端にソフトな感触に安心感を覚えるという人も少なくないと聞く。それだけに、ウインガード アイス 2の適度なしなやかさが、アイス路面などでは少し頼りないと感じる人もいるかもしれない。しかし、アイス路面での実際の挙動やグリップ性能は国産スタッドレスタイヤに比べて見劣るところはないので、あとは好みにあわせてタイヤを選択すればいいと思う。

まさに、日本のさまざまな冬の路面に対応できるウインガード アイス 2。NEXEN TIREは、フォルクスワーゲンやポルシェにメーカー承認タイヤを納入する技術力を持ち、価格もリーズナブルなだけに、冬の「SMART CHOICE(良い製品をお求めやすい価格で)」として、選択肢のひとつに加えておきたいウインガード アイス 2である。

(Text by Satoshi Ubukata / Photos by Hiroyuki Ohshima)

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