「どうしてここまでのめり込んだのだろう?」ということが、誰にでもひとつやふたつはあると思います。僕の場合はフォルクスワーゲン。この10年間に買ったフォルクスワーゲン車は、プライベートが5台、会社名義をあわせると10台を数えます。さらに2008年11月には11台目となるゴルフヴァリアントを購入。自分でも呆れるくらいですから、傍からは相当のフォルクスワーゲン・マニアに見えるんでしょうね(笑)
どうしてこうなったのか? 転機を迎えたのは1998年の夏でした。4代目ゴルフが日本に上陸した頃で、当時の僕はそのゴルフ4をフィーチャーした"一冊丸ごとフォルクスワーゲン"という内容のムック(巷では"赤本"と呼ばれていたようですが)の編集に明け暮れていました。人手がないので、試乗車を返しては別なクルマを借りて取材する毎日が続き、事務所に戻れば原稿の執筆と編集、集まってくる写真(当時はまだポジでした)の整理が待ち構えているという、まさに限界ギリギリの状況です。いま振り返ると、われながらよく逃げ出さなかったなぁと感心するくらいです。

そんなフォルクスワーゲン漬けの生活を続けていたある日、「フォルクスワーゲンって自分にあってるかも!?」と突然思ったのです。女友達に恋心を抱いた瞬間にも似た心境でした。それまで意識しなかったフォルクスワーゲンの魅力、たとえば、包み込むような安心感や疲れ知らずの快適性、スペックだけでは読み取れない実用性などが、身も心も疲れていた僕のなかにすうっと染み込んできたんでしょうね。

これに追い撃ちをかけたのが、ゴルフ1の試乗でした。当時すでに15年落ちのゴルフGTI(試乗車はさらに稀少なエッティンガー仕様でした)があまりに軽快で楽しく、それでいて高速を矢のように突き進む安定感に脱帽! ゴルフって初代から凄かったんだと、つくづく思い知らされました。

無事ムックを完成させた後も興奮は醒めるどころか盛り上がる一方で、1999年、勢いにまかせて仲間たちとフォルクスワーゲン専門誌「Breeze」を創刊。後ろ盾なく始めてしまったために、台所事情は厳しいものでしたが、フォルクスワーゲンファンのひとりとして、興味の赴くままに好き勝手なことができたのは、僕にとっては大きな財産になりました。

残念ながら2004年秋号(第19号)をもって休刊になりましたが、いつか形を変えて復活できたら......と思っていたところ、ひょんなことから「Breezeのようなコンセプトで、フォルクスワーゲンやアウディのポータルサイトをつくりたい」という人たちと出会い、あれよあれよといううちにオープンに漕ぎ着けたのがこの「8speed.net」というわけです。

僕のここでの役割は、モータージャーナリストとして、あるいはフォルクスワーゲンの"いち"オーナーとしての経験から得た情報を多くの方と共有すること。その際に僕は、自分自身がフォルクスワーゲンやアウディのファンであることを常に意識していたいと思っています。つくり手の目線ではなく、あくまでユーザーの目線で、大好きなフォルクスワーゲン/アウディを見つめていきたい。夢はフォルクスワーゲン/アウディのファン日本代表! もちろん非公認ですが(笑)。

ということで、これからもよろしくお願いします。