■パサートCCは○ ではティグアンは?

年末年始になると雑誌などでよく目にするのが、一年を総括する「○と×」企画。「○と×」といえば自動車専門誌「NAVI」の看板企画で、実際、2009年3月号では「○と×スペシャル!」が巻頭特集になっていたりするのですが、まあそれはさておき、遅れ馳せながら僕としても2008年を総括しておこうかと。
名づけて「2008年フォルクスワーゲンの○と△」。×(バツ)ってことはないと思うので△(三角)としていますが、この判断が正しかったことを祈りつつ、まずはニューモデルから振り返るとしましょう。 

2008年に日本に上陸したニューモデルは「ティグアン」と「パサートCC」の2台。ティグアンは、ゴルフやパサートをベースに仕立て上げたSUVで、トゥアレグに比べるとサイズも重量も控えめながら、大人4人と荷物を積んで移動するには十分な室内スペースと動力性能を誇る、ほどよいコンパクトさが特長です。先行導入された"オフロードも行けるモデル"の「トラック&フィールド」なら、価格が400万円以下とお手頃なのもうれしい点。フォルクスワーゲンらしいクオリティも感じられ、○にふさわしい魅力を持っています。ただ、乗り心地などがまだ煮詰まっていないのと、全長のわりに回転半径が大きいのが△。4WDはあくまで生活ヨンク的な性能ですが、日常のアシとしては十分でしょう。2009年にはオンロード指向の上級モデルが導入されますが、実際の走りにどんな違いがあるのか、興味津々です。 

もう一台のパサートCCは、パサートをベースとしたスタイリッシュなセダンです。あえて"4ドアクーペ"を名乗るだけのことはあって、そのスタイリングにはいままでのパサートにはない強い個性や主張が感じられます。一方、写真で見るかぎりは、スタイリングを重視するあまり、居住性や快適性がなおざりになっているのではないかという心配がありましたが、実際に試乗してみると、セダンとしての実用性は十分に合格点をクリアしていて、また、全車標準の電子制御サスペンション「アクティブシャシーコントロール(DCC)」のおかげで乗り心地も快適。文句なく○が付けられるモデルでした。

■1.4L TSIシングルチャージャーは◎

最近のフォルクスワーゲンといえば、やはり話題はTSI。とくに1.4Lが人気す。こちらもめまぐるしく進化しました。まず、2008年1月に「ゴルフTSIコンフォートライン」が追加されました。それまでゴルフには170ps版"ツインチャージャー"搭載の「GT TSI」がありましたが、より快適な乗り心地や手頃な価格を望む顧客を取り込むための新グレードを設定。エンジンは同じツインチャージャーながら、出力を140psに抑えたのが特徴です。それでも十分に力強く、燃費も良好、乗り心地も快適と、個人的にはGT TSIよりも好ましく思うTSIコンフォートラインは間違いなく○。 

しかし、6月にエントリーモデルの「TSIトレンドライン」が登場すると、一気に影が薄くなってしまいしました。このTSIトレンドラインに搭載されるエンジンは、ターボだけの"シングルチャージャー"で、出力も122psとさらに控えめ。さらに、これまでの湿式6段DSGに替えて、新開発の7段DSGを採用することで、1速をローギヤード化してエンジンのパワーダウンを補うとともに、ワイドレンジ化したギアと伝達効率の高い乾式クラッチを組み合わせることでさらなる燃費の向上を図りました。実際に運転してみると、ツインチャージャーと6段DSGよりも動作は滑らかですし、街中から高速まで不満のない加速を見せてくれます。これで248万円(発売当時)ですから○では足りないくらい、◎といってもいいのはないでしょうか?

このシングルチャージャーと7段DSGの組み合わせはゴルフヴァリアントにも設定され、「ゴルフヴァリアントTSIトレンドライン」として8月に登場。さらに9月には、ツインチャージャー搭載のゴルフヴァリアントTSIコンフォートラインとジェッタTSIコンフォートラインに7段DSGが採用されています。これにともない、TSIコンフォートラインのツインチャージャーは最高出力が170psから160psにダウンしていますが、体感上はパワーダウンの影響はなく、一方、シングルチャージャーに迫る低燃費を実現するなど、うれしい進化を遂げています。ちなみに、TSIトレンドラインとTSIコンフォートラインのエンジン/ギアボックスの組み合わせは、ゴルフ6のパワートレインを先取りするもので、さらに進化しているはずのゴルフ6には期待が高まります。

■スポーツモデルも続々登場

2008年はスポーツモデルも続々と登場しました。まず、2月には「ポロGTIカップエディション」が発売されました。ドイツで開催されているワンメイクレースで使用されるカップカーのデザインを取り入れたこのモデル、ドイツ仕様と違ってエンジンがノーマルのままなのが少し△。5月には、ゴルフGTIのジェッタ版ともいえる「ジェッタGTスポーツ」が登場。ベースのジェッタ2.0TSIスポーツラインにプラス13万円でこのスタイルになるのは大変魅力的です。ただ、試乗していないので評価は控えておきます。 8月に登場した「パサートヴァリアントR36」は、Rシリーズの名にふさわしいスポーティなモデル。同じエンジンを積むパサートCC V6 4MOTIONとともに、フォルクスワーゲンの上級モデルとして、強い存在感を発揮してくれそうで、評価は○。

記憶に新しいところでは、10月に発売されたゴルフGTIピレリ。1983年に登場したゴルフ1GTIの限定車が、ゴルフ5版としてリメイクされたもので、18インチの専用ホイールとP-Zero、タイヤパターンを模したシートデザイン、ノーマルより30psアップの230psの2.0TSIエンジンなど、見どころはたくさんあります。モデル末期ということで熟成しきったゴルフGTI。その特別なモデルを手に入れようという人には格好のモデルかもしれません。もちろん○です。 というわけで、○が多かった2008年のフォルクスワーゲン。2009年はニューゴルフやシロッコなど、注目のモデルが次々と日本上陸を果たし、話題には事欠きませんが、果たしたその中身は○か×か? いまから試乗できる日が待ち遠しい!