up!に関しては、2011年秋に国際試乗会が開催され、8speed.netにも
昨年のフランクフルトショーでup!を見ましたが、あらためてエクステリアやインテリアをチェックすると、これがとっても魅力的! 個人的に一番のお気に入りはup!のフロントマスク。最近のフォルクスワーゲンは、左右のヘッドライトを水平のラジエターグリルで結びつけているのが特徴です。このup!はラジエターグリルの代わりに1本のスリットがヘッドライトを結びつけています。これもまた、フォルクスワーゲンの"ブランドフェイス"のひとつなのですが、小さなクルマにはこのくらい愛嬌のある顔のほうが似合っていると思います。
インテリアも、シンプルなデザインのメーターやボディ同色のパネルなどが楽しい雰囲気づくりに貢献しています。チープさ、子供っぽさとは無縁なのもうれしいところです。
フォルクスワーゲンCCの試乗会は南仏のリゾート、ニースで開催されました。ニースからモナコは目と鼻の先......ということで、以前在籍していた会社の先輩でもある小川フミオさんとふたりで、モナコを目指すことにしました。
まずは小川さんがドライブ。助手席に乗っている僕にも、ボディのしっかり感が伝わってきます。シートのつくりもしっかりしていています。小さいからといって「手を抜いちゃった!」という感じがしないのは、さすがフォルクスワーゲンです。
そうこうしているうちにモナコに到着。モナコGPの中継で見慣れたカジノや、"ローズヘアピン"脇の「フェアモント・モンテカルロ」をかすめたあと、ピットレーン......ではなく、どこかの路地裏で第2ドライバーの僕にチェンジ(笑)
グランプリコースになっている道も狭いんですが、路地裏はそれに輪をかけて狭いです。さすがに写真の道は一方通行ですが、鋭角に曲がるコーナーなどはかなり気を遣いそう。ところがこのup!だと、そんな心配は無用。路地裏に迷い込んだのがフォルクスワーゲンCCじゃなく、up!でよかった(笑)
さっそく走り出すと、1Lの3気筒エンジンがなかなか活発で、街中の加速はこれで十分というレベル。回すと3気筒ならではのサウンドが耳に飛び込みますが、吹け上がりは意外にスムーズで、回転を上げるのが苦になりません。高速の加速ではもう少しパワーがほしいな......とは思いましたが、それでも、遅くて後続車に迫られることはありませんでした。
一方、小さいくせに落ち着いた走りっぷりや直進安定性の高さはフォルクスワーゲンの面目躍如です。小川さんとふたり、約2時間のドライブでしたが、僕はこのup!がすっかり気に入ってしまいました。
そうなると、気になるのが日本仕様と価格です。2ドアがなかなか売れない日本ですから、日本仕様はおそらく4ドアのみ。日本導入が2012年第4四半期というのは、"4ドア待ち"ということでしょう。
今回試乗できませんでしたが、トランスミッションは当然オートマチックになるはずです。ただ、このオートマチックは、トルコン式のATではなく、マニュアルのクラッチ操作を自動化した、シングルクラッチタイプです。DSGに慣れた身体にはじれったく感じる場面もありそうで、それが受け入れられるかどうかがひとつの課題でしょうか? まあ、シングルクラッチタイプのフィアット500が2011年に約4500台、スマートが約1200台売れていることを考えれば、あまり心配する必要はないのかもしれません。個人的にはマニュアルがほしいんですけどね(笑) 限定でもいいからマニュアル仕様を売らないかな?
それはさておき、日本導入が待ち遠しいup!。フォルクスワーゲンらしいサプライズ価格で登場することを期待しています。
(Text&Photo by S.Ubukata)