空港からほど近い会場にズラッと並べられた新型ポロは、僕の目にとても見魅力的に映った。女性的な優しさを感じさせていた先代MC前のモデルや、ゴテッとしたMC後のモデルと比べると顔つきはかなりスッキリしている。ゴルフ6にも通じる直線基調のグリルは、VWデザインを統括するワルター・デ・シルバの意向が強く反映されたものだが、彼が考えるVWらしさは、僕の考えるVWらしさと見事にオーバーラップする。一時期、VWは「エモーション・イン・モーション」なるキーワードを好んで使っていたが、VWのエモーションは機能性のなかに存在するべきだと思うのだ。そういう意味で、新型ポロのデザインテイストは「エモーション・イン・ファンクション」というVW伝統を強く感じさせる。
ポロを魅力的に魅せているのはデザインだけではない。全体からそこはかとなく醸し出される高品質感も、魅力度を高めている大きな理由だ。大きなところでは、美しいディテールをもつヘッドランプ。細かいところではグリルやフロントエアコンテークにあしらった美しいクローム。その他、美しい下地に厚い塗膜を載せた素晴らしい塗装品質や、組み付け精度の高さを物語るチリの小ささ、シャープなキャラクターラインなども品質感向上に一役買っている。
そしてインテリア。精緻なシボが刻まれたダッシュボードはコストのかかるソフトパッド製。日本車ではアテンザやレガシィでも使えていない高級素材だ。
スムースでいながらカチッとしたクリック感をもつスイッチ類の操作フィールや、ステアリングホイール、シート、メーターパネルにも手抜きは一切ない。コスト制限の厳しいはずのコンパクトカーでなぜここまでできるのか、本当に不思議である。
唯一、コストダウンを感じたのがバックドアトリムが廃止されたこと。先代はコンパクトカーでは珍しくバックドアの室内側にも立派なトリムを取り付けていたが、新型はこれがない。理由を聞くと、ユーザー調査を実施した結果、重要度が低いという結論が出たのだという。また、今のところ日本への導入予定のない最廉価グレードのダッシュボードにハードプラスティックを使っているのもコストダウンが目的だという。価格にシビアな東欧やロシア市場を意識したとのことだが、このハードプラスティック、キッチリとした表面処理が施され、触ってみなければソフトパッドとほぼ見分けが付かない。このレベルまで仕上がっているのなら、日本にも最廉価グレードを入れる価値は大いにあるだろう。
関連リンク:
【試乗記】New Polo Impression by 岡崎五朗 - 1
【試乗記】New Polo Impression by 岡崎五朗 - 3
(Text: G.OKAZAKI , Photo: Volkswagen Group Japan)
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