具体的にはどのようなものだったのでしょうか? ちょっと想像してみましょう。タイプ1はもともと、F・ポルシェ博士の国民車構想に当時の政権を掌握していたヒットラー総統が共感し開発されたモデルです。その国民車構想のイメージは、以下のようなものだったようです。
・ 大人4人が快適に乗車できる空間を確保すること。
・ リーズナブルな価格設定であること。
・ 高い高速巡航性能(当時は100km/h前後)を有していること。
・ 高い整備性を有していること。
・ 維持費が安いこと。
ここでなにかお気付きになりましたか? そうです。これらの要件はそのまま初代ゴルフへと受け継がれ、現在のポロやゴルフにも当てはまる要件です。さらに現在、世界中のすべてのコンパクトモデルに求められる要件そのものです。フォルクスワーゲンがその後世界中の自動車メーカーのベンチマークとなっている理由は、遡るとこんな史実に辿り着くのです。もちろん、これらは単なる作り手の目標ではなく、フォルクスワーゲンフリークの皆さんが、乗るたびに満足感を覚えるポイントともなっていますよね。
私は、コンパクトモデルを観察すれば、その自動車メーカーの力量を推し量ることができると考えています。コンパクトモデルは、文字どおり小さなクルマです。小さいボディであることによる機動性がコンパクトモデルを購入するユーザーの最大の理由でしょう。しかし、実際に購入するユーザーは、ボディサイズが小さいからといって決して妥協はしませんよね。人間が過ごす空間はできるだけ広いほうがいいですし、ラゲッジスペースだって荷物がたくさん入るほうが嬉しい。小さいからといって安全性まで損なわれてしまっては困るし、運転する楽しさだって忘れてはいけない。もちろん、できるだけスタイリッシュなスタイリングが・・・という具合です。
こんなニーズに対して、自由度の高いボディサイズが大きなクルマであれば、エクステリアデザインも室内空間もコンパクトモデルよりはニーズに応えやすいのです。ところが物理的な制約の多いコンパクトモデルの場合は、なかなかそうはいきません。そこで、各自動車メーカーはさまざまな技術やアイディアを駆使して開発を進めているのです。そんなことから、コンパクトモデルを観察すると自動車メーカーの力量がわかるというわけなのです。
そこでフォルクスワーゲンです。前述のとおりポロやゴルフは、世界中の自動車メーカーのベンチマークとなっています。つまり開発目標です。それは、プロダクトとして優れているというだけではなく、タイプ1から始まったクルマを開発する企業姿勢、ポリシーなどに当時から現在までいっさいのブレがないということの証です。フォルクスワーゲンとは、そんな希少なブランドなのです。
・ 大人4人が快適に乗車できる空間を確保すること。
・ リーズナブルな価格設定であること。
・ 高い高速巡航性能(当時は100km/h前後)を有していること。
・ 高い整備性を有していること。
・ 維持費が安いこと。
私は、コンパクトモデルを観察すれば、その自動車メーカーの力量を推し量ることができると考えています。コンパクトモデルは、文字どおり小さなクルマです。小さいボディであることによる機動性がコンパクトモデルを購入するユーザーの最大の理由でしょう。しかし、実際に購入するユーザーは、ボディサイズが小さいからといって決して妥協はしませんよね。人間が過ごす空間はできるだけ広いほうがいいですし、ラゲッジスペースだって荷物がたくさん入るほうが嬉しい。小さいからといって安全性まで損なわれてしまっては困るし、運転する楽しさだって忘れてはいけない。もちろん、できるだけスタイリッシュなスタイリングが・・・という具合です。
こんなニーズに対して、自由度の高いボディサイズが大きなクルマであれば、エクステリアデザインも室内空間もコンパクトモデルよりはニーズに応えやすいのです。ところが物理的な制約の多いコンパクトモデルの場合は、なかなかそうはいきません。そこで、各自動車メーカーはさまざまな技術やアイディアを駆使して開発を進めているのです。そんなことから、コンパクトモデルを観察すると自動車メーカーの力量がわかるというわけなのです。
(Text by S.KIKUTANI)
菊谷 聡(きくたに さとし)
輸入車最大手ディーラー勤務後、CARトップ編集部副編集長を経て現在は自動車専門コンサルティング会社を経営するかたわらエディターおよびライターとして活動。また、自動車を絡めたライフスタイルを中心とした講演、自動車メーカーのセールス研修コンサルタント&インストラクター、企業オーナーのパーソナルコーチとしても活動中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。伝説のVWバイブル"BREEZE"誌においても、生方編集長の元寄稿をしていた経歴をもつ。
輸入車最大手ディーラー勤務後、CARトップ編集部副編集長を経て現在は自動車専門コンサルティング会社を経営するかたわらエディターおよびライターとして活動。また、自動車を絡めたライフスタイルを中心とした講演、自動車メーカーのセールス研修コンサルタント&インストラクター、企業オーナーのパーソナルコーチとしても活動中。AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。伝説のVWバイブル"BREEZE"誌においても、生方編集長の元寄稿をしていた経歴をもつ。