2011年8月23日、大学自動車部を対象にした「フォルクスワーゲン カレッジリーグ ジョイント テストデイ」が筑波サーキットジムカーナ場で開かれた。『昔に比べて大学自動車部は縮小傾向にある』との話をよく聞くが、果たして本当にそうなのか? 8speed.netエディターの牧村が筑波サーキットに足を運んだ。
■ フォルクスワーゲン カレッジリーグとは!?

2010年8月、フォルクスワーゲン グループ ジャパンが『大学自動車部に在籍するクルマ好きの若者達を支援する』ことを目的に設立したのがフォルクスワーゲン カレッジリーグだ。活動内容として主に3つのプログラムが挙げられる。

ひとつめは「ゴルフ GTI カップ ジャパン」など、フォルクスワーゲン公認モータースポーツイベント(例えば、今年はゴルフ GTI カップ ジャパン)への参戦を支援する「Volkswagen Circuit Challenge Program」。ふたつめは、大学でのイベント時や自動車競技会に等参加するときなどにクルマを貸し出す「Volkswagen Experience」。そして、大学自動車競技会等に向けての練習の場を提供する「Volkswagen Fellowship Program」だ。
「インポーターとして、若者のクルマ離れを何とかできないのか? との思いからスタートしました」と、VGJ広報部の相澤さんが説明してくれた。個人的には、「いろいろな事情があるのだろうが、本来なら国産メーカーが率先して取り組むべきなのでは?」と少し思ってしまったが・・・。

それはさておき、「Volkswagen Fellowship Program」の一環として行われたジョイント テストデイ。当初は2011年中に3回開催される予定であったが、3月の震災が影響して、2回の開催となってしまった。それでも、決して潤沢な予算で活動しているとはいえない大学自動車部(かなり少ない予算で、さらにバイトをしながら運営している所が多いとか)にとって、自動車インポーターが合同練習会を主催してくれるのは、この上ないサポートであるに違いない。

■ 練習の合間に触れるフォルクスワーゲン

会場に到着すると、すでに朝早くから集まっていた各大学の自動車部が、練習走行の準備を着々と進めていた。そして午前9時、"幹事校"である日本大学体育会自動車部が設定したコースで練習走行がスタートした。

今回のジョイントテストデイにはユニークなポイントがひとつある。それは、ふだん一緒に練習することがない、全日本学生自動車連盟(通称:学連)系の自動車部と非学連系の自動車部が合同練習をすることだ。フォルクスワーゲン カレッジリーグの参加資格は「国内に拠点のある大学公認のクラブあるいは団体」とされているから、必ずしも学連に所属する必要はない。

このことについて、今年のGTIカップ第1戦の予選で2位という結果を出した、日本大学体育会自動車部の公木さんは「今までであれば、お互いに交わることはなかったと思うんです。それだけに、今後、合同練習会を続けていけば、お互いにいろいろと情報交換できてとても有益な場所になると思います」と話してくれた。

練習走行の様子を見ていると、懐かしい感じがこみ上げてくる。なぜなら、私が学生だった頃に新車だったクルマが、現役で競技車両と使用されているのだ。なんだかタイムスリップした感覚になった。スムースにコースを攻略していく上級者も、なかなか思い通りにコースを攻略できない初心者も、20年以上前のシビックやインテグラ、ミラージュやランエボ等を操り、みんな真剣に楽しそうに練習しているのが印象的だった。

ジョイント テストデイの会場には、実際にレースで使用されているゴルフ GTIカップカーが展示用として、また発表されたばかりのシッロコ TSIとゴルフ トレンドライン TSI プレミアムエディションが試乗用に用意された。試乗車は大学ごとに試乗時間が割り当てられ、一般道をドライブすることができる。

ふだんは、お世辞にも綺麗とはいえない競技車両に乗ることが多い学生たちは、ゴルフ GTI カップカーや、新車のゴルフやシロッコのまわりを囲んで、興味深そうにのぞき込んでいた。そんな光景を見ていると、「そういえば自分の若い頃もこんな感じだったなぁ」とまたまた懐かしい気持ちになってくる。

実際に試乗を終えた学生に話を聞いてみると「スムースで静かで良かった」「1.2リッターとは思えないほど、走りがしっかりしている」「DSGのシフトチェンジの早さとスムースさに驚いた」と、初めてドライブしたフォルクスワーゲンの感想を、やや興奮気味に話してくれた。

個人的に興味がある、いわゆる『若者のクルマ離れ』についても聞いてみた。「確かに免許を持ってない友達や、免許を持っていてもクルマを運転しない友達はいますね。でもここ数年、自動車部に入部する学生も徐々に増えているし、途中で辞める人がいなくなりました」「個人的には満員電車に乗るくらいなら渋滞にはまったほうが良いですよ! できれば、安くて、楽しい、遊べるクルマがあると良いんですけどね」なんて話をしてくれた。

おそらく、現在40代から50代のクルマ好き世代のお子さん達が、ちょうど大学生くらいの年代なのだろうか。クルマ好きDNAを受け継いでいる彼等が大学自動車部を盛り上げているのではないかと想像してしまった。

■ 今後のフォルクスワーゲン カレッジリーグ

初めて行われたジョイント テストデイは無事に終了した。「今後もできるだけ多くの大学に『カレッジリーグに参加して良かった』と思ってもらえるようなことできればと考えています。とりあえずは年内にもう1回くらいは合同練習会を行う予定です」と、VGJ広報部の相澤さん。

まだまだ、全国の大学にしっかりと認知されているとはいえないフォルクスワーゲン カレッジリーグだが、ジワリジワリと口コミで広がっているとか。ジョイント テストデイが行われた週末である27日・28日には、全日本自動車学生連盟主催の競技会が鈴鹿サーキットで行われ、全国から学連系の自動車部が集まった。ジョイント テストデイの直後だけに、鈴鹿サーキットではカレッジリーグの話題がいろいろと出たんだろうな・・・。そんなことを妄想していたら、またあの大学生たちに会いたくなった。

(Text by M.MAKIMURA)