今回の発表では、e-up!の受注を2015年2月1日から開始し、2015年央に納車を開始することが明らかに。また、e-ゴルフについては、2015年央の発表を予定している。
フォルクスワーゲンのヴィンターコルン会長は「2018年までに環境適合性において世界をリードする自動車メーカーになる」と明言しており、その核となるのがこのe-up!とe-ゴルフである。フォルクスワーゲンは、2台に共通している特徴として既存モデルを電動化していること、ベースモデルのデザインを受け継ぐこと、新しい感覚のドライビングを提供すること、そして、日本では急速充電規格の「CHAdeMO」に対応したことを挙げている。
e-up!やe-ゴルフにひと目で電気自動車とわかる専用デザインを与えないのは、電気自動車をガソリン車やディーゼル車と並ぶ選択肢として位置づけているから。これを実現するために、電気自動車のラインアップを前提にベースモデルを開発しているというのが、フォルクスワーゲンの主張なのだ。
実際、e-up!は、基本的にはガソリン車のデザインを踏襲しており、一見してEVかどうかはわかりにくい。しかし、よく見ると、専用の前後バンパーやサイドスカートなどによってエアロダイナミクスの改善を図っている。
また、フロントバンパーにはC字型のリフレクター(反射板)が装着される。ヨーロッパではLEDライトとなるこの部分は、フォルクスワーゲンのEVやプラグインハイブリッドに共通のデザインアイテムである。
インテリアはシートやステアリングホイールにブルーのアクセントを施すとともに、専用のメーターパネルや車両情報ディスプレイ「touch+more」を搭載している。
搭載する電気モーターは、最高出力60kW(82ps)/3000〜12000rpm、最大トルク210Nm(21.4kgm)/0〜2500rpmのスペックを持ち、0-100km/h加速は12.4秒、最高速130km/hをマークする。
バッテリーは床下に12セル×17モジュール=204個のリチウムイオンバッテリーを搭載。総電力量は18.7kWhで、JC08モードでの航続距離は185kmに及ぶ。リチウムイオンバッテリーには8年16万kmの保証が付く。
充電は200Vの普通充電と、CHAdeMOによる急速充電に対応する。普通充電はボンネット内のポートを使い、約8時間でフル充電が可能。一方、急速充電用ポートはガソリン車の給油口にあたる位置にあり、約30分で80%までの充電が可能だ。
e-up!の導入を機に、フォルクスワーゲンでは「Car-Net」と呼ばれるサービスを開始する。これは、PCやスマートフォンからクルマの状況を確認したり、事前に空調を作動させたりできるものだ。使用料は3年間無料だ(スマートフォンの通信料はユーザーの負担)。
気になるe-up!の価格は366万9000円。補助金の額は不明だが、2014年度並みの金額となれば、実際の購入価格は300万円台を切ることが期待される。
一方、e-ゴルフも、ひと目でゴルフとわかるデザインを踏襲しながら、専用デザインの前後バンパーやアルミホイール、そして、フロントのLEDライトにより、フォルクスワーゲンのEVファミリーであることを示している。フロントグリルとヘッドライトを貫くブルーのラインも、エクステリアの特徴である。
インテリアは、e-up!同様、専用のメーターパネルが設置される。また、純正インフォテインメントシステム「Discover Pro」では、電力消費やエネルギーフローなどが確認できる。随所にブルーのアクセントが施されるのもe-up!と共通だ。
e-ゴルフに搭載される電気モーターは、最高出力85kW(116ps)/3500〜7000rpm、最大トルク270Nm(27.5kgm)/0〜2500rpmで、0-100km/h加速は10.4秒、最高速140km/hだ。
床下に搭載されるリチウムイオンバッテリーは、総電力量24.2kWhで、JC08モードでの航続距離は215kmを誇る。
e-ゴルフの価格は後日発表されるということだが、400万円台後半となる見込み。e-ゴルフのあとにはプラグインハイブリッド車「ゴルフGTE」の日本導入も控えており、フォルクスワーゲンにとって2015年は日本おける「e-モビリティ元年」になりそうだ。
(Text by S.Ubukata)